■今後の見通し
3. 中期経営計画
キャリアリンク<6070>は毎年3ヶ年の中期経営計画を策定しており、現在は2024年3月期までの業績計画を公表している。2024年3月期の業績目標値は、売上高で46,980百万円、営業利益で4,240百万円、経常利益で4,235百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で2,910百万円としている。2021年2月期を起点とした3年間の年平均成長率は、売上高、営業利益、経常利益で15%台となり、年率2ケタ成長を目指していく方針だ。
事業別ではすべての事業で売上拡大を見込んでいるが、引き続きBPO関連事業部門を中心とした事務系人材サービス事業がけん引していくことに変わりない。利益面では、受注力・運用力・品質管理などのレベル向上のために必要な人的リソースの増強やITシステムなどへの投資を継続しながら、業務効率向上に向けたRPAやAIの活用、各種書類の電子化促進などDX化の取り組みも推進していくことで、2024年3月期に営業利益率9.0%と2021年2月期並みの水準を目標としている。
事業規模拡大に向けた投資のうち、人材投資については引き続き受注案件の多様化に対応するための中核人材の採用に注力していくほか、次世代中核人材の育成も推進していく。ITシステム整備では、人材育成を効率的に進めていくためのナレッジマネジメントツールの拡充や、スタッフ管理機能の強化に着手している。そのほか、製造系人材サービス事業における新規エリアへの拠点展開、従業員・顧客・スタッフの安全性確保と新たな働き方に対応したインフラ投資等にも取り組んでいく予定にしている。
業績目標を達成するうえでポイントとなるのは、2021年2月期から急拡大した官公庁向けを中心としたBPO関連事業部門がポストコロナにおいても成長を継続できるかということになる。同社では官公庁、自治体におけるBPOサービスに対する需要は今後も拡大が続くこと、そのなかで同社のシェアはまだ小さく、新規取引先の開拓等による成長余地は依然大きいと弊社では見ている。また、短期スポット案件での運用能力が高く評価されており、既存取引先から窓口業務や基幹業務など長期案件を直接受託するケースも増えてきており、安定した売上基盤を構築しつつある。
加えて、BPO事業者やSIerなど新規のビジネスパートナー数が、2021年2月期以降大幅に増加している点も見逃せない。同社の2010年2月期以降の業績を見ると、売上高が大きく伸長した後に収益が大きく悪化するケースが2回あったが、これは特定顧客先における特定案件の売上依存度が大きく、同案件が縮小したことが収益悪化要因となっていた※。この経験を生かし、現在はビジネスパートナーを幅広く持ち、特定業務に偏重しないようバランスよく受注することでリスク分散を図っている。こうしたビジネスパートナーを経由した受注も今後拡大することが見込まれ、短期案件と長期案件をバランスよく受注していくことで持続的な成長を目指していく戦略だ。
※売上構成比で見ると、2012年2月期は(株)もしもしホットライン(現 りらいあコミュニケーションズ<4708>)が65.9%を占め、2016年2月期はトッパン・フォームズ<7862>が43.8%を占めるなど1社に偏重していた。2021年2月期は上位2社で28.2%となっており、2022年3月期はさらに分散化が進む見通しとなっている。
注力する主要テーマとして、マイナンバー・マイナポイント関連業務や自治体基幹業務及びスポット案件、民間企業の基幹業務、金融分野などを挙げており、これらの案件を直接受託または業務提携・協業先を通じて獲得していくことになる。同社がプラットフォーマーとしての役割を果たし、その強みを深化・拡張していくことで中期経営計画の達成を目指していく。
また、製造系人材サービス事業は、「コンプライアンスを重視した外国人労働者に対しての遵法経営」が顧客からも高く評価されており、そのナレッジの積み重ねと習熟を図りながら営業エリアを拡大し、売上成長を目指す戦略となっている。製造系派遣市場のなかで同社のシェアはまだ低く、既存顧客の他拠点に横展開していくだけでも成長余地は大きいと見られる。派遣スタッフに占める外国人労働者の比率が5割強と高いことが特徴で、今後もその運用ノウハウを生かしてコスト競争力の高いサービス提供することで、事業規模の拡大を図っていくことになる。
営業系人材サービス事業については、事業を開始して3年が経過し、広域にわたる新規商材獲得といった営業活動に関するナレッジマネジメントを蓄積してきた。コロナ禍で直近は苦戦が続いているが、既存の主要顧客からの継続受注だけでなく、「新規商材×広域」をキーワードとした案件を受注していくことで成長を目指していく。
なお、同社では中期ビジョンの業績目標として売上高500億円、営業利益50億円、親会社株主に帰属する当期純利益30億円を掲げている。弊社では、BPO市場だけでなく、製造系・営業系人材サービス市場においても成長余地が大きいことから、前述の成長戦略が軌道に乗れば目標達成は十分可能と見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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3. 中期経営計画
キャリアリンク<6070>は毎年3ヶ年の中期経営計画を策定しており、現在は2024年3月期までの業績計画を公表している。2024年3月期の業績目標値は、売上高で46,980百万円、営業利益で4,240百万円、経常利益で4,235百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で2,910百万円としている。2021年2月期を起点とした3年間の年平均成長率は、売上高、営業利益、経常利益で15%台となり、年率2ケタ成長を目指していく方針だ。
事業別ではすべての事業で売上拡大を見込んでいるが、引き続きBPO関連事業部門を中心とした事務系人材サービス事業がけん引していくことに変わりない。利益面では、受注力・運用力・品質管理などのレベル向上のために必要な人的リソースの増強やITシステムなどへの投資を継続しながら、業務効率向上に向けたRPAやAIの活用、各種書類の電子化促進などDX化の取り組みも推進していくことで、2024年3月期に営業利益率9.0%と2021年2月期並みの水準を目標としている。
事業規模拡大に向けた投資のうち、人材投資については引き続き受注案件の多様化に対応するための中核人材の採用に注力していくほか、次世代中核人材の育成も推進していく。ITシステム整備では、人材育成を効率的に進めていくためのナレッジマネジメントツールの拡充や、スタッフ管理機能の強化に着手している。そのほか、製造系人材サービス事業における新規エリアへの拠点展開、従業員・顧客・スタッフの安全性確保と新たな働き方に対応したインフラ投資等にも取り組んでいく予定にしている。
業績目標を達成するうえでポイントとなるのは、2021年2月期から急拡大した官公庁向けを中心としたBPO関連事業部門がポストコロナにおいても成長を継続できるかということになる。同社では官公庁、自治体におけるBPOサービスに対する需要は今後も拡大が続くこと、そのなかで同社のシェアはまだ小さく、新規取引先の開拓等による成長余地は依然大きいと弊社では見ている。また、短期スポット案件での運用能力が高く評価されており、既存取引先から窓口業務や基幹業務など長期案件を直接受託するケースも増えてきており、安定した売上基盤を構築しつつある。
加えて、BPO事業者やSIerなど新規のビジネスパートナー数が、2021年2月期以降大幅に増加している点も見逃せない。同社の2010年2月期以降の業績を見ると、売上高が大きく伸長した後に収益が大きく悪化するケースが2回あったが、これは特定顧客先における特定案件の売上依存度が大きく、同案件が縮小したことが収益悪化要因となっていた※。この経験を生かし、現在はビジネスパートナーを幅広く持ち、特定業務に偏重しないようバランスよく受注することでリスク分散を図っている。こうしたビジネスパートナーを経由した受注も今後拡大することが見込まれ、短期案件と長期案件をバランスよく受注していくことで持続的な成長を目指していく戦略だ。
※売上構成比で見ると、2012年2月期は(株)もしもしホットライン(現 りらいあコミュニケーションズ<4708>)が65.9%を占め、2016年2月期はトッパン・フォームズ<7862>が43.8%を占めるなど1社に偏重していた。2021年2月期は上位2社で28.2%となっており、2022年3月期はさらに分散化が進む見通しとなっている。
注力する主要テーマとして、マイナンバー・マイナポイント関連業務や自治体基幹業務及びスポット案件、民間企業の基幹業務、金融分野などを挙げており、これらの案件を直接受託または業務提携・協業先を通じて獲得していくことになる。同社がプラットフォーマーとしての役割を果たし、その強みを深化・拡張していくことで中期経営計画の達成を目指していく。
また、製造系人材サービス事業は、「コンプライアンスを重視した外国人労働者に対しての遵法経営」が顧客からも高く評価されており、そのナレッジの積み重ねと習熟を図りながら営業エリアを拡大し、売上成長を目指す戦略となっている。製造系派遣市場のなかで同社のシェアはまだ低く、既存顧客の他拠点に横展開していくだけでも成長余地は大きいと見られる。派遣スタッフに占める外国人労働者の比率が5割強と高いことが特徴で、今後もその運用ノウハウを生かしてコスト競争力の高いサービス提供することで、事業規模の拡大を図っていくことになる。
営業系人材サービス事業については、事業を開始して3年が経過し、広域にわたる新規商材獲得といった営業活動に関するナレッジマネジメントを蓄積してきた。コロナ禍で直近は苦戦が続いているが、既存の主要顧客からの継続受注だけでなく、「新規商材×広域」をキーワードとした案件を受注していくことで成長を目指していく。
なお、同社では中期ビジョンの業績目標として売上高500億円、営業利益50億円、親会社株主に帰属する当期純利益30億円を掲げている。弊社では、BPO市場だけでなく、製造系・営業系人材サービス市場においても成長余地が大きいことから、前述の成長戦略が軌道に乗れば目標達成は十分可能と見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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