今週も28500~29500円のレンジの中で上下動のある相場か

著者:出島 昇
投稿:2021/11/01 17:42

先週は、28500~29500円のレンジの中の大きな上下動

先週の予測では、前週の28500~29500円のレンジの中で、29000円水準から上は、上値の重い展開になるとしました。その理由は、日米で決算発表が本格化するものの、日本では31日(日)の衆議院選挙の開票の結果を見極めたいという様子見が続き、又、27~28日の日銀金融政策決定会合、日本郵政の売り出し価格の決定(10月25日)もあるため方向感が不透明な状況があるからでした。

結果的に、1週間を振り返れば、安値は25日(月)の28472円、高値は26日(火)の29160円まであり、その後は29000円を上値にもみあい、週末の29日(金)も28475円まで下げて上値は29000円をつけ、28892円で引けました。

先週は、ほぼ28500~29000円の500円幅の値動きとなりました。

結局、短期筋による先物の売買によって動いている状況が続きました。先週末の米国の時間外取引でナスダックの先物の下落を利用して前場に売り仕掛けをしても28475円で下げ止まり、日経平均の先物買いで上昇しても買い材料がないために上値を買い進むことができず29000円まで上昇して終値は△72円の28892円でした。

25日(月)は、前週末の米国市場は、NYダウは終値での史上最高値を更新したものの、ナスダックが下落したことで、日経平均は値ガサ株が売られ、ファーストリテイリング、ソフトバンクが軟調で、一時▲332円の28472円まで下げ、終値は▲204円の28600円でした。

26日(火)は、前日の米国市場で3指標そろって上昇し、NYダウとS&Pは連日の最高値更新となっていたことで、日経平均は△327円の28927円で寄り付き、後場になると先物買いを支えに上げ幅を拡大し、一時△560円の29160円まで上昇し、終値は△505円の29106円と4日ぶりの29000円台となりました。

27日(水)は、前日の米国株式は3指標とも小幅の上昇でしたが、前日の大幅高の反動、上海株、ハンセン指数の下落、31日の衆議院選を前に様子見もあり、先物主導で、一時▲235円の28870円まで下げ、終値は▲7円の29098円と小幅反落でした。

28日(木)は、前日の米国市場でNYダウが4日ぶりの▲266ドルの下げとなったことを嫌気し、日経平均は▲266円の28871円で寄り付いて、すぐに▲405円の28693円まで下げましたが、決算予想の上方修正や配当の増額などに物色が向かい、▲278円の28820円の下落で終りました。

週末の29日(金)は、前日の米国市場は、3指標とも大幅上昇するものの、時間外取引の米国株先物が、アップル、アマゾンの下落を嫌気し、日経平均も前場は一時▲345円の28475円まで下げました。その後は押し目買いが入り、後場には一時△180円の29000円まで上昇するものの、買い進む動きとはならず。△72円の28892円で引けました。31日の衆議院選の結果を見極めたいということなのでしょう。

週末の29日(金)の米国市場は、3指標とも最高値更新となりました。決算が予想を下回ったアップル、アマゾンは下落したものの、マイクロソフト、テスラ、ネットフリックスなどが上昇し相場を押し上げました。長期金利の低下でドルも買われ、円も一時114円台をつけたこともあり、シカゴ日経先物は△210円の28990円でした。

今週も28500~29500円のレンジの中で上下動のある相場か

先週の日経平均の動きは、28500~29500円のレンジの中で29000円水準から上は31日の衆議院選を終えるまでは上値が重いとし、結果的に28500~29500円水準の中での大きな上下動となりました。

今週は、米国株式は3指標そろって最高値更新したことや、衆議院選を終えて不透明感が1つ消えるので28500~29500円のレンジの中で下値は堅く29500円の上値を試す可能性もあります。

但し、11月の第1週間は3日(水)の祝日があり立会い日数は4日間であり、FOMCでは年内のテーパリング開始は確定路線となっており、今週、実行されなければ来月となります。今週、テーパリングが開始される場合は、タイミング的に米国株式は高値圏にあり、テーパリング開始をいったん材料出尽くして利益確定売りで下げる可能性もあり、その場合は日経平均も連動することになります。もう1つの見方は、11月2~3日に開かれるFOMCでテーパリングが開始されると焦点である利上げ時期の前倒しについてマーケットは一定程度織り込んでいると思われ、FRBの人事(FRB議長の指名や続投)をきっかけに上昇するパターンもあります。

今週の日経平均は、昨日31日の衆議院選の結果で自民党が単独過半数の議席を獲得したことで、株式市場にはプラスとなり、むしろ強弱の材料になるものが多く、例えば、1日の中国10月財新製造業PMIと米11月ISM製造業景況指数、3日に米ADP雇用統計、5日に10月雇用統計があります。これを考えると今週も28500~29500円のレンジ内の動きとなりそうです。衆議院選やテーパリングでアク抜け感があっても、このレンジの上限への重さということになると思われます。

相場自体は、煮詰まってきていますが、上にいくか下にいくかはわかりません、上にぬけていく場合は、10月20日につけた29489円をぬけるかどうかがポイントで、逆に下にぬける場合は10月25日につけた28472円の安値を切るかどうかとなります。29500円を上にぬけてくると3万円のせから9月14日の30795円を試すことになります。

本日1日(月)は、寄り付きは、買い優勢で始まり、昨日10月31日の衆議院挙で自民党が単独で国会を安定的に運営できる絶対安定多数の議席を確保したことが好感され、また前週末の米主要株式の最高値更新も支援材料となり、終日、堅調な動きとなって△754円の29647円で引けました。

ただ、市場からは、衆院選が好結果という国内のネタで上昇しましたが、今後は政策にらみとなります。また、FOMCを控えマーケットは海外に目が向くことになります。

(指標)日経平均

先週の予測では、基本的に28500~29500円のレンジの動きだが、29000円水準からは上値の重い展開の可能性があるとしました。それは政治の変化を嫌う外国人投資家は自民党の議席数の減少は31日の衆議院選の開票を確認するまでは、どの程度か分からないからです。相場の本格的な動きは11月に入ってからとなります。

先週は、想定通り28500~29500円の水準のレンジの中で先物主導の値幅の大きい上下動となり、週の終値は29000円をつけて△72円の28892円でした。

今週は、昨日の衆議院選で自民党が過半数の議席数を獲得したことで、株式市場にとってはプラス要因となって、下値は限定的で28500~29500円のレンジの中での荒い動きの可能性があります。

米国では、FOMCによるテーパリングが開始されて目先材料出尽くしとなるのか、また週末の雇用統計、FRB人事の結果を受けて米国株式への影響はどうなるのか。又、国内の主要企業の決算が注目となります。材料が多い週ですので方向感は出ても、レンジの中での動きとなります。柴田罫線では10月26日に29106円で「ろく買」が出ており、上に行く確率が高い法則です。
 

 

(指標)NYダウ

先週が、ハイテク株の一部が予想を下回る決算となっていましたが、全般的に決算好調で3指標とも上値は重いものの、年初来高値を更新する動きとなりました。

週末の米株式は、ナスダックは5日続伸、S&Pも続伸となってザラ場と終値で最高値を更新しました。NYダウも3日ぶりに終値での最高値更新でした。

今週も先週に続き、企業の好決算が相場をサポートすることになりそうです。FRBがFOMCを開催するほか、10月の雇用統計など重要な経済指標が目白押しとなっています。FOMCではテーパリングが実施される予定ですが、市場ではほぼ織り込み済みとみられます。

10月雇用統計は、伸びが拡大する予想で新型コロナの収束の兆候がみられ、経済活動は一段と活発化する方向にあります。しかし、一方でサプライチェーンの混乱は2022年まで続く公算でインフレがしばらく高止まりする可能性があります。
 

 

(指標)ドル/円

●先週の動き…ドル強含む

先週は、10月26日の9月新築住宅販売件数、10月CB消費者信頼感指数が市場予想を上回ったことで、早期利上げの可能性が高まり、ドル買い・円売りが活発化しました。ドル・円は一時114.31円まで買われましたが、27日発表の9月耐久財受注が予想を下回ったことで、ドル・円は113円台に反落しました。その後、29日にドル・円は113.37円まで下落後、114.10円まで戻したあと、早期利上げ観測が高まり114.01円で引けました。

●今週の見通し…米利上げに根強い期待

今週、開催予定のFOMCはハト派寄りの政策と予想され、長期金利の上昇は一服することから、ドル売り優勢の可能性があります。11月2~3日に開催のFOMCではテーパリングの開始を決める公算で、早ければ11月中に債権買入れの縮小を開始し、2022年半ばまでに完了するシナリオが既に織り込まれているようです。
ECB総裁は、10月28日の記者会見で「高インフレ局面は想定以上に長期化する」と述べており、将来的な利上げの思惑が浮上しています。
 

 

配信元: みんかぶ株式コラム