【Alox分析】アラーム分析ランキング -2020年2月~2021年1月-

著者:塙 大輔
投稿:2021/10/06 16:35

【アラーム分析ランキング】

例年通り、有価証券報告書に記載された財務諸表をアラーム管理システムにて分析した結果を公表致します。

【『格付速報』を知っていますか?】

14年前、『会社四季報』『日経会社情報』とは違うジャンルの“上場企業の分析情報”を提供するという意気込みで、日本証券新聞社のご協力頂き、『格付速報』が出版されていました。

2004年から2006年12月までの販売ではあったが、一部の投資家や企業審査の方には評判となり、今でも再開を期待する根強いファンがいます。

とにかく辛口な分析が評判でした。
当時は、「何でこんなに点数が低いんだ!」、「競合のA社より点数が低いのは何でなんだ!」
「あと1点で100点となるが、どうすれば点数が上がるのか?」などの多数のお問い合わせやご意見を頂き、『格付速報』の担当者が苦労していたのをよく目にしました。

今回の分析結果は、『格付速報(2021年度版)-下位55社と100点企業特集-』と言っても差し支えない代物です。ご参照ください。

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<アラーム管理システムとは>
2期分以上の財務諸表(BS、PL、脚注)から、企業を100点満点で評価。
40点以下を「資金繰りの破綻リスクが高い」と評価する。
詳細については、下記URLをご参照ください。
 

 
http://alox.jp/sevices/alarm/

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【下位55社と100点企業】

<下位55社>

 

 
下位55社と100点企業の全データは下記URLをご参照ください。

〔A4横2枚印刷用〕
http://alox.jp/dcms_media/other/210921ranking_yoko.pdf
〔A4縦1枚印刷用〕
http://alox.jp/dcms_media/other/210921ranking_tate.pdf

【評点分布の推移】

2021年配信 40点以下:275社 100点:10社
2020年配信 40点以下:216社 100点:17社
2019年配信 40点以下:180社 100点:12社
2018年配信 40点以下:184社 100点:10社
2017年配信 40点以下:177社 100点:11社
2016年配信 40点以下:169社 100点:8社

100点満点企業の数は減少し、40点以下の企業は59社増加した。
コロナの影響が直撃している企業は、売上が前年比50%以下になるなど、
未曽有の危機に直面している。

【下位55社の傾向】

55社中、26社は赤字が常態化※している。
55社中、14社はコロナが直撃している業界
(小売り、ホテル、旅行、エンターテインメント)である。
55社中、19社が昨年もランクインしていた。

昨年は、半数以上が下位ランキングの常連だったが、
今年は新規にランクインする企業が多い。

新規にランクインした企業の大半は、コロナが直撃している企業である。


3期連続赤字の会社を「赤字の常態化」と定義。

【急落ベスト3】

前年の評点から急落した企業は、下記である。
 

 

【評点が急落した理由は?】

(株)和心
→売上は、30億(2019年12月)から12億円(2020年12月)に激減。
債務超過に陥る。

ベルトラ(株)
→売上は、43億円(2019年12月)から8億円(2020年12月)に激減。
現金・預金も39億円(2019年12月)の9億円(2020年12月)となった。

藤田観光(株)
→売上は、689億円(2019年12月)から266億円(2020年12月)に激減。
2020年12月の借入金は、長短合わせて、200億円増加して、647億円に。

【総括】

恐ろしい程に、コロナの影響が決算書に顕在化している。
直撃している業界(小売り、ホテル、旅行、エンターテインメント)の企業は、売上が半減し、借入金が増加している。

当然だが、これから、その借入金を返済しなければならない。

しかし、銀行や政府の“太陽政策”にも限界がある。

特に銀行は、政府・金融庁主導のもとに「銀行の数を減らす方針」が示されている関係から、合併や提携先との交渉で優位な立場を確保するために、「貸出先の選別を行い、不良債権のリスクを極力少なくしたい」というインセンティブが働く。

業績不振企業の大半は、金融機関からの融資が命綱であり、“蜘蛛の糸”である。
この糸が切れたら、倒産するしかない。

銀行から、
「当行は、これ以上の融資はできません。」
「当行は、これ以上の返済猶予はできません。」
「貸出条件の財務制限条項(純資産が一定額を下回る、赤字など)に抵触しているため、
返済してください。※」と言われたら、最後通牒である。

粉飾の目的は、資金繰り確保であり、キレイな整った決算書を作成し、融資を得るためだ。

「“今は非常事態だ、やむを得ない”と考え、粉飾に手を染める経営者がいる」
という前提で、取引先や上場企業の決算書を読まなければならない。


金融庁は金融機関に対して、借手が財務制限条項に抵触しても、
直ちに債務償還等を要求しないように要請するとともに、
財務制限条項の変更、猶予の相談についても迅速かつ真摯に対応することを求めている。


【データについて】
<データ件数>    3624社

<データ作成方法>
EDINETから入手した財務情報をアラーム管理システムにて分析して作成

<データ抽出条件>
(1)最新決算年月が2020年2月から2021年1月までのデータ
(2)連続した決算書は3期分以上
(3)連結と単独の決算が両方ある場合は、連結を優先
(4)アラームの分析対象外業種(銀行、生損保、証券)は除く

※ 毎年の掲載企業数が違うのは、同率ランクの企業数等の影響で、キリの良い数字の抽出が難しいためです。
今年は、キリの良い数字ではありませんが、55社とさせて頂きました。

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配信元: みんかぶ株式コラム