「堅調スタート、上方の壁を突破できるか?」~黒岩の眼(朝刊)

著者:黒岩泰
投稿:2021/08/24 08:56

チャートは弱気形状 上方の壁が上値を抑える

http://chart.fisco.co.jp/mado

 昨日の米国株式相場は上昇。ダウ工業株 30 種平均は 215.63 ドル高の 35335.71、ナスダック総合指数は 227.99 ポイント高の 14942.65 となった。また、時間外取引の日経平均先物(円建て)は 27660 円付近での推移。したがって、本日の日経平均は堅調スタートを想定。上値を試すものと思われる。

 日経平均の日足チャートでは昨日、大陽線が出現。強気のたすき線となっており、やや底入れ感の強い形となっている。ただ、上方にはファンダメンタルズの壁(割高の壁)が位置しており、執拗に上値を抑えることが予想される。本日は買い先行となることで、この壁を突破できるのかが焦点となりそうだ。

 もし、チャートが買い転換になるためには、終値ベースでの窓空けが必要。その場合には、この壁が消滅することになり、短期的には上方の窓(27833.21 円-27949.33 円)までのリバウンドが期待できる。

 ただ、現時点でチャートは弱気形状であり、基本的には戻り売りスタンス。寄り付きで空ける窓も消滅し、弱気形状が継続することを前提にしたい。その場合には上方のファンダメンタルズの壁を再確認することになり、その後の株価下落の予兆となる。

 もちろん今週の注目材料は、週末のジャクソンホール会合だ。ここでパウエル FRB 議長がどのような発言をするのか。「テーパリングの程度」が焦点となる。市場予想よりも早期のテーパリングだったり、想定以上のタカ派発言が飛び出せば、市場はすぐに嫌気するだろう。

 あとは菅首相の求心力だ。先の横浜市長選での敗北は、自民党で「菅では戦えない」という雰囲気を醸成している。自民党権力者の1人が反旗を翻せば、流れは一気に菅降ろしに動き出すだろう。それが政治の不透明感を高め、株安につながる原因となるかもしれない。

黒岩泰
株式アナリスト
配信元: 達人の予想