コスモスイニシア Research Memo(7):事業別業績の増減に差はあるが基礎的な利益はしっかり確保へ(2)

配信元:フィスコ
投稿:2021/07/19 15:17
コスモスイニシア<8844>の業績動向

(3) 宿泊事業
2021年3月期の業績は、売上高593百万円(前期比95.3%減)、営業損失3,017百万円(同4,179百万円減益)と非常に厳しい業績となった。ホテル開発物件の販売を見合わせ翌期以降に時期を変更したこと、コロナ禍の影響でインバウンド宿泊需要が大幅に減少したことが要因。一時「Go Toキャンペーン」で盛り上がったが、期を通じて感染症拡大の影響を受けた。このため、通期の稼働率が低調に推移、平均稼働率・客室単価ともに低下した。なお、アパートメントホテル「MIMARU」では、需要回復に合わせて営業再開を進めており、2021年3月末時点で12施設が営業中となっている。2022年3月期の業績見通しについて、同社は売上高12,500百万円(同約21倍)、営業損失1,700百万円(同1,317百万円の増益)を見込んでいる。前期見合わせたホテル開発物件の販売を計画に織り込み、ホテル稼働は感染症対策を徹底しながら2021年4月以降段階的に回復することを前提とし、増収増益を見込んでいる。しかし、今期末時点でコロナ禍影響以前の水準に回復していないという想定にもなっているため、営業利益の黒字転換はしばらく先となりそうだ。

インバウンド宿泊需要が回復するまでは、国内需要による稼働の維持・向上を図る。そのため、家族やグループ、修学旅行など国内需要獲得に向けたプロモーションを強化する。デザイナーなどとのコラボレーションによる付加価値の創出や認知度の向上も進める。一方、非日常の上質空間を提供するアウトドアリゾート「ETOWA(エトワ)KASAMA」をオープンした。国や地方自治体が所有し遊休化している公共施設をリノベーションすることで、新たな価値を創出する考えで、現在、千葉県木更津市で第2号プロジェクトが進行中である。宿泊事業は、業績的にすでに底を打っていることから、短中期的にワクチンの普及、中長期的にはインバウンド宿泊需要の回復に期待がかかってくる。

(4) 工事事業
2021年3月期の業績は、売上高14,083百万円(前期比2.8%増)、営業利益744百万円(同113.2%増)となった。オフィス工事や建築工事に対する需要はコロナ禍においても堅調に推移しており、収益性の高い大型オフィス工事案件を受注、売上総利益率も改善した。2022年3月期の業績見通しについて、同社は売上高14,200百万円(同0.8%増)、営業利益400百万円(同46.2%減)を見込んでいる。引き続きオフィス工事や建築工事に対する需要が堅調に推移するとの前提だが、一方で前期の反動もあり、増収減益という見通しとなった。社宅からマンションへと大規模リノベーションした「リノア北赤羽」が完成・開業、そのうちコミュニケーションを引き出す共用部と入居者ごとにカスタマイズ可能な住戸内に関して設計・施工を実施した。また、インクルーシブデザインを取り入れた屋外型スポーツ施設や常設展示の美術館などの施工にも携わった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)


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