■イチネンホールディングス<9619>の今後の見通し
1. 2022年3月期の業績見通し
進行中の2022年3月期の業績は、売上高が117,000百万円(前期比3.9%増)、営業利益が7,000百万円(同6.9%減)、経常利益が7,000百万円(同6.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が4,430百万円(同46.9%増)と予想されている。パーキング事業、合成樹脂事業は回復(増益)が予想されているが、自動車リース関連事業は前期に仕入れ価格が下落したことで大幅増益となった燃料販売事業の反動減や、メンテナンス委託料金の値上げに伴うメンテナンス原価の増加などが予想されること、機械工具販売事業では倉庫新設に伴う経費先行が見込まれることなどから減益予想となっている。しかし全体的にかなり保守的な予想と思われ、今後の状況によっては上振れする可能性もありそうだ。
(1) 自動車リース関連事業
セグメント売上高51,569百万円(前期比0.3%減)、セグメント利益3,840百万円(同19.4%減)を見込んでいる。リースにおいては、引き続き比較的競合の少ない地方市場及び中小口規模の企業をメインターゲットとして新規販売を積極的に行い、契約台数及び契約残高の増加を図っていく。そのほか、購買原価の低減、走行距離に応じた適切な料金設定、メンテナンスコストの抑制並びに車両処分方法の多様化を図り収益向上に努めるとしている。自動車メンテナンス受託においては、今後も独自の自動車整備工場ネットワークによる高品質なメンテナンスサービスを強みとするべく、EV等の次世代自動車に対応したメンテナンスサービスネットワークの構築に取り組むとともに、契約台数及び契約残高の増加を図っていく。車体修理に関する総合管理業務については、法人顧客の新規開拓に注力し、収益の拡大を目指す。燃料販売は、主に自動車用燃料給油カードの需要が低燃費車の普及により減少傾向にあるが、既存顧客に対する満足度の追求、新規顧客の拡大を図り販売数量の増加に努めるとしている。
(2) ケミカル事業
ケミカル事業においては、セグメント売上高11,562百万円(同3.0%増)、セグメント利益1,172百万円(同0.7%減)を見込んでいる。コロナ禍の影響による顧客の製造拠点の稼働低下に伴うケミカル製品の売上減少等の影響が続いているものの、今後もセールスエンジニアの育成を行い、特定の専門業界への販売、新たなマーケットへの参入模索、新製品の開発及び既存製品・商品のリニューアルに取り組んでいく。また、バイオマス燃料用添加剤等の脱炭素社会を見据えた製品開発を強化し、国内・海外を問わず販売先・販売数量の拡大を目指していく。
(3) パーキング事業
セグメント売上高5,715百万円(同12.4%増)、セグメント利益491百万円(同110.6%増)を見込んでいる。長期的に安定した収益基盤を築くため今後も営業力を強化し、駐車場数の拡大を図っていく。また、キャッシュレス決済の導入促進等により他社との差別化を図り、既存駐車場の売上拡大に注力していく。また病院や商業施設等に附帯した駐車場にも積極的に取り組み、安定的な収益を稼ぐ事業に育成していく方針だ。
(4) 機械工具販売事業
セグメント売上高34,843百万円(同2.8%増)、セグメント利益675百万円(同24.3%減)を見込んでいる。増収にもかかわらず減益予想であるのは、東京の新木場に新しい倉庫を集約するため、またこれに関連した経費が先行して出費される見込みのためとしている。施策としては、取り扱いアイテムの拡充及び自社オリジナル製品の開発・販売力を強化するとともに、脱炭素社会に向けた商品等の取り扱い品目を拡大し、国内外のマーケットシェアの拡大を目指していく。また、事業セグメント内で重複する機能を集約することによる経営の効率化、商品一括仕入機能の強化による商品調達コストの軽減、適正な在庫水準の実現、物流の内製化等の取り組みを推進し、課題である収益性の改善に注力していく方針だ。さらにネット販売については、自社サイトを中心に販売の強化を継続し黒字化を目指す。
(5) 合成樹脂事業
セグメント売上高13,785百万円(同22.9%増)、セグメント利益968百万円(同56.8%増)を見込んでいる。2021年3月期からずれ込んでいた法改正に伴う遊技機の新基準機への移行に伴う販売増加が見込めることから増収増益予想となった。主な施策としては、遊技機メーカーへの合成樹脂製品の販売は一貫受注体制を構築し、新規顧客の拡大を図っていく。またガス検知器・セラミックヒーターの販売はシェアの拡大により業界の標準メーカーとなることを目指し、開発・製造・販売・メンテナンス部門の強化を推進するとしている。また新たな収益の柱を構築するため、これまでに培った合成樹脂のリサイクル技術をベースに、環境負荷の低い樹脂製品の開発・販売など脱炭素社会に向けた新商材の採用及び商品開発に注力していく方針だ。
将来に向けて農業にも展開
2. 農業の進展
同社は将来、農業を事業として行うことを視野に2016年3月に子会社(株)イチネン農園を設立し、2016年11月にミニトマトの初出荷を行った。さらに2017年1月には、同社と高知県、日高村、JA高知県の4機関で、高知県日高村にてミニトマトの栽培施設を建設し、事業規模を拡大、円滑に推進するための連携協定を締結した。0.5haのハウスでミニトマトの栽培を開始し、さらに2018年8月には第2期工事が完成(計2.1ha)したことで、出荷量が大幅に増加した。販路については、大部分をJA高知県経由で出荷しており、一部でレストラン・地元直売所へも出荷している。より高く販売できるルートを確保すべく直販先の開拓を続けていく。2021年3月期には、イチネン高知日高村農園において、下期から始まった今作の生産量・販売量が当初計画を上回り、順調に規模が拡大している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<NB>
1. 2022年3月期の業績見通し
進行中の2022年3月期の業績は、売上高が117,000百万円(前期比3.9%増)、営業利益が7,000百万円(同6.9%減)、経常利益が7,000百万円(同6.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が4,430百万円(同46.9%増)と予想されている。パーキング事業、合成樹脂事業は回復(増益)が予想されているが、自動車リース関連事業は前期に仕入れ価格が下落したことで大幅増益となった燃料販売事業の反動減や、メンテナンス委託料金の値上げに伴うメンテナンス原価の増加などが予想されること、機械工具販売事業では倉庫新設に伴う経費先行が見込まれることなどから減益予想となっている。しかし全体的にかなり保守的な予想と思われ、今後の状況によっては上振れする可能性もありそうだ。
(1) 自動車リース関連事業
セグメント売上高51,569百万円(前期比0.3%減)、セグメント利益3,840百万円(同19.4%減)を見込んでいる。リースにおいては、引き続き比較的競合の少ない地方市場及び中小口規模の企業をメインターゲットとして新規販売を積極的に行い、契約台数及び契約残高の増加を図っていく。そのほか、購買原価の低減、走行距離に応じた適切な料金設定、メンテナンスコストの抑制並びに車両処分方法の多様化を図り収益向上に努めるとしている。自動車メンテナンス受託においては、今後も独自の自動車整備工場ネットワークによる高品質なメンテナンスサービスを強みとするべく、EV等の次世代自動車に対応したメンテナンスサービスネットワークの構築に取り組むとともに、契約台数及び契約残高の増加を図っていく。車体修理に関する総合管理業務については、法人顧客の新規開拓に注力し、収益の拡大を目指す。燃料販売は、主に自動車用燃料給油カードの需要が低燃費車の普及により減少傾向にあるが、既存顧客に対する満足度の追求、新規顧客の拡大を図り販売数量の増加に努めるとしている。
(2) ケミカル事業
ケミカル事業においては、セグメント売上高11,562百万円(同3.0%増)、セグメント利益1,172百万円(同0.7%減)を見込んでいる。コロナ禍の影響による顧客の製造拠点の稼働低下に伴うケミカル製品の売上減少等の影響が続いているものの、今後もセールスエンジニアの育成を行い、特定の専門業界への販売、新たなマーケットへの参入模索、新製品の開発及び既存製品・商品のリニューアルに取り組んでいく。また、バイオマス燃料用添加剤等の脱炭素社会を見据えた製品開発を強化し、国内・海外を問わず販売先・販売数量の拡大を目指していく。
(3) パーキング事業
セグメント売上高5,715百万円(同12.4%増)、セグメント利益491百万円(同110.6%増)を見込んでいる。長期的に安定した収益基盤を築くため今後も営業力を強化し、駐車場数の拡大を図っていく。また、キャッシュレス決済の導入促進等により他社との差別化を図り、既存駐車場の売上拡大に注力していく。また病院や商業施設等に附帯した駐車場にも積極的に取り組み、安定的な収益を稼ぐ事業に育成していく方針だ。
(4) 機械工具販売事業
セグメント売上高34,843百万円(同2.8%増)、セグメント利益675百万円(同24.3%減)を見込んでいる。増収にもかかわらず減益予想であるのは、東京の新木場に新しい倉庫を集約するため、またこれに関連した経費が先行して出費される見込みのためとしている。施策としては、取り扱いアイテムの拡充及び自社オリジナル製品の開発・販売力を強化するとともに、脱炭素社会に向けた商品等の取り扱い品目を拡大し、国内外のマーケットシェアの拡大を目指していく。また、事業セグメント内で重複する機能を集約することによる経営の効率化、商品一括仕入機能の強化による商品調達コストの軽減、適正な在庫水準の実現、物流の内製化等の取り組みを推進し、課題である収益性の改善に注力していく方針だ。さらにネット販売については、自社サイトを中心に販売の強化を継続し黒字化を目指す。
(5) 合成樹脂事業
セグメント売上高13,785百万円(同22.9%増)、セグメント利益968百万円(同56.8%増)を見込んでいる。2021年3月期からずれ込んでいた法改正に伴う遊技機の新基準機への移行に伴う販売増加が見込めることから増収増益予想となった。主な施策としては、遊技機メーカーへの合成樹脂製品の販売は一貫受注体制を構築し、新規顧客の拡大を図っていく。またガス検知器・セラミックヒーターの販売はシェアの拡大により業界の標準メーカーとなることを目指し、開発・製造・販売・メンテナンス部門の強化を推進するとしている。また新たな収益の柱を構築するため、これまでに培った合成樹脂のリサイクル技術をベースに、環境負荷の低い樹脂製品の開発・販売など脱炭素社会に向けた新商材の採用及び商品開発に注力していく方針だ。
将来に向けて農業にも展開
2. 農業の進展
同社は将来、農業を事業として行うことを視野に2016年3月に子会社(株)イチネン農園を設立し、2016年11月にミニトマトの初出荷を行った。さらに2017年1月には、同社と高知県、日高村、JA高知県の4機関で、高知県日高村にてミニトマトの栽培施設を建設し、事業規模を拡大、円滑に推進するための連携協定を締結した。0.5haのハウスでミニトマトの栽培を開始し、さらに2018年8月には第2期工事が完成(計2.1ha)したことで、出荷量が大幅に増加した。販路については、大部分をJA高知県経由で出荷しており、一部でレストラン・地元直売所へも出荷している。より高く販売できるルートを確保すべく直販先の開拓を続けていく。2021年3月期には、イチネン高知日高村農園において、下期から始まった今作の生産量・販売量が当初計画を上回り、順調に規模が拡大している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<NB>
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