■要約
ソフト99コーポレーション<4464>は、カーワックスや洗浄剤、補修材などのカー用品の大手である。子会社で展開するポーラスマテリアル事業は半導体製造用の精密洗浄材で高シェアを持ち、高い技術力を他の用途にも生かすべく横展開を進めている。そのほか、子会社で自動車整備・鈑金事業、自動車教習所、温浴施設の運営事業なども展開している。既存の主力製品において高いシェアと収益力を持つこと、強固な財務基盤を持っていることが強みとなっている。
1. 2021年3月期の業績概要
2021年3月期の連結業績は、売上高で前期比9.7%増の26,802百万円、営業利益で同32.5%増の3,208百万円と2期ぶりの増収、3期ぶりの増益となり、過去最高を更新する好決算となった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による巣ごもり需要により、自動車用メンテナンス商品やメガネケア商品の販売が好調に推移したほか、半導体製造用精密洗浄材も海外大手半導体メーカー向けに年間を通じて好調に推移したことが主因だ。また、コロナ禍で販促費や各種経費が抑えられたことも増益要因となった。2020年8月には医療施設向け衛生関連用品の企画開発・販売を行うファブレス企業のアズテック(株)を子会社化した。売上規模は年間7億円程度だが、手術室の衛生関連用品で高いシェアを持つ。今後、アズテックの販売ネットワークを通じて同社製品を販売していくほか、アズテックとの共同開発を進め、医療業界向け事業を拡大していく戦略となっている。
2. 2022年3月期の業績見通し
2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比2.6%増の27,500百万円、営業利益で同6.5%減の3,000百万円を見込む。コロナ禍が続くなかで、市場環境は前期とほぼ変わらないことを前提に、ファインケミカル部門については前期に取り込んだ新たな顧客層を離すことなく、自動車用、家庭用ともに売上高を拡大していく方針である。一方、ポーラスマテリアル事業についても、半導体関連の需要は引き続き旺盛なことや、アズテックとのシナジー効果により増収を見込む。なお、営業利益で減益を見込んでいるのは、2021年3月期にファインケミカル事業で未使用となっていた販促費や広告費等を2020年3月期並みの水準まで戻す計画となっていることや、のれん償却額が同68百万円増加することなどが要因だ。ただ、売上計画は保守的な印象が強く、市場環境が大きく悪化しなければ会社計画を上振れする可能性も十分あると弊社では見ている。
3. 中期経営計画について
2021年3月期からスタートした第6次中期経営計画では、将来の社会変化を新たな事業領域の拡張の機会と捉え、既存技術・ノウハウの横展開に加えて新たな技術・ノウハウの獲得及びこれらの融合をはかることで、“他にない”新しい価値と事業の創出を目指していく方針を掲げた。コロナ禍前に策定した計画だったため、ファインケミカル事業においては当初想定していた環境変化とは違う方向となったものの、同社にとってはむしろ追い風になっており、今後もコロナ禍で掴んだ新たな需要を伸ばすべく、製品開発に取り組んでいく方針だ。また、ポーラスマテリアル事業では2022年夏の稼働を目標に新工場を建設する計画となっている。既存工場の能力が限界に近付いていることや、今後の医療分野での事業展開を見据えてのものだ。現在は医療用部材の製造販売を小規模で展開しているが、今後は医療用製品(クラスI対象品目)へと事業領域を拡大していく戦略となっている。医療業界向け製品に関しては、アイオン(株)とアズテックで共同開発も進めており、今後アズテックが持つ幅広い顧客基盤に拡販していくことになる。協業によるシナジー効果は大きいと見られることから、医療分野の売上規模は、2022年3月期見込みの9億円前後から中期的に大きく成長する可能性がある。
4. 株主還元策
配当方針については、「安定的な配当の継続」及び「連結営業利益の25%を目安とする」という方針を掲げており、2022年3月期の1株当たり配当金は前期比2.0円増配の34.0円(還元率24.8%※)と7期連続の増配を予定している。
※還元率=配当総額÷連結営業利益
■Key Points
・2021年3月期は巣ごもり消費の拡大を追い風にファインケミカル事業がけん引し、会社計画を上回る増収増益を達成
・2022年3月期は前期に拡大した需要の定着とさらなる販売拡大によって、中期経営計画目標を1年前倒しで達成することを目指す
・アズテックとの協業などによる医療分野での今後の成長性に期待
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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ソフト99コーポレーション<4464>は、カーワックスや洗浄剤、補修材などのカー用品の大手である。子会社で展開するポーラスマテリアル事業は半導体製造用の精密洗浄材で高シェアを持ち、高い技術力を他の用途にも生かすべく横展開を進めている。そのほか、子会社で自動車整備・鈑金事業、自動車教習所、温浴施設の運営事業なども展開している。既存の主力製品において高いシェアと収益力を持つこと、強固な財務基盤を持っていることが強みとなっている。
1. 2021年3月期の業績概要
2021年3月期の連結業績は、売上高で前期比9.7%増の26,802百万円、営業利益で同32.5%増の3,208百万円と2期ぶりの増収、3期ぶりの増益となり、過去最高を更新する好決算となった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による巣ごもり需要により、自動車用メンテナンス商品やメガネケア商品の販売が好調に推移したほか、半導体製造用精密洗浄材も海外大手半導体メーカー向けに年間を通じて好調に推移したことが主因だ。また、コロナ禍で販促費や各種経費が抑えられたことも増益要因となった。2020年8月には医療施設向け衛生関連用品の企画開発・販売を行うファブレス企業のアズテック(株)を子会社化した。売上規模は年間7億円程度だが、手術室の衛生関連用品で高いシェアを持つ。今後、アズテックの販売ネットワークを通じて同社製品を販売していくほか、アズテックとの共同開発を進め、医療業界向け事業を拡大していく戦略となっている。
2. 2022年3月期の業績見通し
2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比2.6%増の27,500百万円、営業利益で同6.5%減の3,000百万円を見込む。コロナ禍が続くなかで、市場環境は前期とほぼ変わらないことを前提に、ファインケミカル部門については前期に取り込んだ新たな顧客層を離すことなく、自動車用、家庭用ともに売上高を拡大していく方針である。一方、ポーラスマテリアル事業についても、半導体関連の需要は引き続き旺盛なことや、アズテックとのシナジー効果により増収を見込む。なお、営業利益で減益を見込んでいるのは、2021年3月期にファインケミカル事業で未使用となっていた販促費や広告費等を2020年3月期並みの水準まで戻す計画となっていることや、のれん償却額が同68百万円増加することなどが要因だ。ただ、売上計画は保守的な印象が強く、市場環境が大きく悪化しなければ会社計画を上振れする可能性も十分あると弊社では見ている。
3. 中期経営計画について
2021年3月期からスタートした第6次中期経営計画では、将来の社会変化を新たな事業領域の拡張の機会と捉え、既存技術・ノウハウの横展開に加えて新たな技術・ノウハウの獲得及びこれらの融合をはかることで、“他にない”新しい価値と事業の創出を目指していく方針を掲げた。コロナ禍前に策定した計画だったため、ファインケミカル事業においては当初想定していた環境変化とは違う方向となったものの、同社にとってはむしろ追い風になっており、今後もコロナ禍で掴んだ新たな需要を伸ばすべく、製品開発に取り組んでいく方針だ。また、ポーラスマテリアル事業では2022年夏の稼働を目標に新工場を建設する計画となっている。既存工場の能力が限界に近付いていることや、今後の医療分野での事業展開を見据えてのものだ。現在は医療用部材の製造販売を小規模で展開しているが、今後は医療用製品(クラスI対象品目)へと事業領域を拡大していく戦略となっている。医療業界向け製品に関しては、アイオン(株)とアズテックで共同開発も進めており、今後アズテックが持つ幅広い顧客基盤に拡販していくことになる。協業によるシナジー効果は大きいと見られることから、医療分野の売上規模は、2022年3月期見込みの9億円前後から中期的に大きく成長する可能性がある。
4. 株主還元策
配当方針については、「安定的な配当の継続」及び「連結営業利益の25%を目安とする」という方針を掲げており、2022年3月期の1株当たり配当金は前期比2.0円増配の34.0円(還元率24.8%※)と7期連続の増配を予定している。
※還元率=配当総額÷連結営業利益
■Key Points
・2021年3月期は巣ごもり消費の拡大を追い風にファインケミカル事業がけん引し、会社計画を上回る増収増益を達成
・2022年3月期は前期に拡大した需要の定着とさらなる販売拡大によって、中期経営計画目標を1年前倒しで達成することを目指す
・アズテックとの協業などによる医療分野での今後の成長性に期待
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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