S&P500月例レポート(21年6月配信)<前編>

S&P500月例レポートでは、S&P500の値動きから米国マーケットの動向を解説します。市場全体のトレンドだけではなく、業種、さらには個別銘柄レベルでの分析を行い、米国マーケットの現状を掘り下げて説明します。

THE S&P 500 MARKET:2021年5月
個人的見解:懸念材料はあるが、それよりも気掛かりなのはチャンスを逃すこと

 5月の株式市場は、月初は最高値を1回更新するなど上昇基調が続いたものの、その後は数回にわたって相場のムードが変化しました。米国経済がまもなく全面再開するとの期待を背景に、上旬は「ニュースを広げよう」(「ニューヨーク・ニューヨーク」の歌詞)、あるいは「今、この時この場所から伝えよう」(ジョン・F・ケネディの演説)といったムードが広がりました。しかし、インフレ率や商品価格の上昇といった要因が上昇基調に歯止めをかけ、市場の雰囲気は「株式市場にキスをして別れを告げよう。金融緩和政策と景気対策が続くことを夢見ながら。我々は大きな儲けを手にした。利益を得るためにこれまでやってきたことを忘れはしないし、後悔もしない」(「愛した日々に悔いはない(コーラスライン)」の替え歌)と口ずさんでいるかのように変化しました。その後、市場は落ち着きどころを模索する動きを見せ、ハムレットさながらに「マスクを着けるべきか、外すべきか。それが問題だ。ビジネスモデルとしてはどちらが高貴な振る舞いと言えるのだろうか。(一部の)理不尽な顧客、政治家、従業員からの訴訟や批判に耐え忍ぶのか、それとも投資資金の向かう先は絶えず変わる可能性があるとしても、川の流れのように資金を企業に回すために道を切り開くべきなのか」と考えながら、落ち着き所を探る展開となりました。保有銘柄の入れ替え売買の継続、利食い売り、大損を恐れての抜け駆け的な売買、さらには新型コロナの先行きに対する楽観論や旺盛な個人消費を手掛かりに、市場は適正水準を探る動きに終始しました。

 S&P 500指数は5月に0.55%上昇しました(31日時点でのリターンではありません)4月は5.24%の上昇、3月は4.24%の上昇、2月は2.61%の上昇でした(1月は1.11%下落)。年初来(過去5ヵ月間)では11.93%上昇、コロナ危機前の2020年2月19日の終値での高値からは24.16%上昇しました。また、最高値を付けた2021年5月7日からは0.67%安の水準で引けました。

 過去の実績を見ると、5月は58.1%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は3.17%、下落した月の平均下落率は4.68%、全体の平均騰落率は0.12%の下落となっています。S&P 500指数は2021年5月に0.55%の上昇となりました。

 6月は55.9%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は3.88%、下落した月の平均下落率は3.17%、全体の平均騰落率は0.77%の上昇となっています。

 今後の米連邦公開市場員会(FOMC)のスケジュールは、6月15日-16日、7月27日-28日、9月21日-22日、11月2日-3日、12月14日-15日、2022年1月25日-26日となっています。

 S&P 500指数は5月に0.55%上昇して4204.11で月を終えました(配当込みのトータルリターンはプラス0.70%)。4月は4181.17で終え、5.24%の上昇(同プラス5.34%)、3月は3972.89で終え、4.24%の上昇(同プラス4.38%)でした。過去3ヵ月間では10.31%上昇(同プラス10.72%)、年初来では11.93%上昇(同プラス12.62%)、過去1年間では38.10%上昇(同プラス40.32%)、コロナ危機前の2020年2月19日の終値での高値からは24.16%上昇して月を終えました(同プラス25.93%)。

 ダウ・ジョーンズ工業株価平均(ダウ平均)は初めて3万5000ドルを突破しましたが(5月10日の終値は3万5091.56ドル)、その水準を月末まで維持できず、結局1.93%上昇の3万4529.45ドルで月を終えました(配当込みのトータルリターンはプラス2.21%)。4月は3万3874.85ドルで終え、2.71%の上昇(同プラス2.78%)、3月は3万3072.88ドルで終え、6.62%の上昇(同プラス6.78%)でした。過去3ヵ月間では11.63%上昇(同プラス12.18%)、年初来では12.82%上昇(同プラス13.76%)、過去1年間では36.03%上昇(同プラス38.79%)でした。

主なポイント

  ⇒S&P 500指数は5月に0.55%上昇しました(配当込みのトータルリターンはプラス0.70%)。4月は5.24%上昇(同プラス5.34%)、3月は4.24%上昇(同プラス4.38%)、過去3ヵ月間では10.31%上昇(同プラス10.72%)、年初来では11.93%上昇(同プラス12.62%)、過去1年間では38.10%上昇(同プラス40.32%)でした。

  ⇒同指数の終値ベースでの最高値更新は、4月の10回に対して5月は1回となりました(1月、2月、3月はそれぞれ5回)。

  ⇒コロナ危機前の2020年2月19日の終値での高値からは24.16%上昇し(同プラス26.90%)、終値ベースで46回、最高値を更新しました。

  ⇒2020年11月3日の米大統領選挙以降では、同指数は24.78%の上昇(同プラス25.93%)でした(バイデン大統領就任以降に24回、最高値を更新しています)。

  ⇒強気相場入りして以降、2020年3月23日の底値から87.90%上昇しています(同プラス91.66%)。

  ⇒同指数は5月7日の高値から0.67%下落して月を終えました。

 ○米国10年国債利回りは4月末の1.62%から1.58%に低下して月を終えました(2020年末は0.92%、2019年末は1.92%、2018年末は2.69%、2017年末は2.41%)。30年国債利回りは4月末の2.29%から2.26%に低下して取引を終えました(同1.65%、同2.30%、同3.02%、同3.05%)。

 ○英ポンドは4月末の1ポンド=1.3817ドルから1.4192ドルに上昇して月を終えました(同1.3673ドル、同1.3253ドル、同1.2754ドル、同1.3498ドル)。ユーロは4月末の1ユーロ=1.2020ドルから1.2193ドルに上昇して月を終えました(同1.2182ドル、同1.1172ドル、同1.1461ドル、同1.2000ドル)。円は4月末の1ドル=109.33円から109.86円に下落し(同103.24円、同108.76円、同109.58円、同112.68円)、人民元は4月末の1ドル=6.4745元から6.3684元に上昇しました(同6.5330元、同6.9633元、同6.8785元、同6.5030元)。

 ○原油価格は4月末の1バレル=63.48ドルから66.63ドルに上昇して月を終えました(同48.42ドル、同61.21ドル、同45.81ドル、同60.09ドル)。米国のガソリン価格(EIAによる全等級)は、4月末の1ガロン=2.941ドル、また2020年5月末の2.049ドルから3.112ドルに上昇して(3ドルを超えるのは2018年6月以来)月末を迎えました(同2.330ドル、同2.658ドル、同2.358ドル、同2.589ドル)。

 ○金価格は4月末の1トロイオンス=1768.80ドルから1906.30ドルに上昇して月の取引を終えました(同1901.60ドル、同1520.00ドル、同1284.70ドル、同1305.00ドル)。

 ○VIX恐怖指数は4月末の18.61から16.76に低下して月を終えました。月中の最高は28.93、最低は15.90でした(同22.75、同13.78、同16.12、同11.05)。

  ⇒同指数の2020年の最高は85.47、最低は11.75でした。

 ○2021年第1四半期決算の発表が始まっており、484銘柄のうち411銘柄(84.9%)で利益が予想を上回り、483銘柄のうち377銘柄(78.1%)で売上高が予想を上回りました。

 ○米国の新型コロナウイルス対応のための財政政策:

  ⇒第1弾:医療機関への財政支援やウイルス感染拡大防止に83億ドルの資金拠出。

  ⇒第1段階:2週間の疾病休暇および最長10週間の家族医療休暇の給与費用に対する税額控除。

  ⇒第2段階:労働者、中小企業、事業会社、病院や医療関係機関に対する直接支援、ならびに融資保証を提供する2兆2000億ドルのプログラム。

  ⇒第3段階:(中小企業向け)給与保証プログラム(PPP)に3100億ドルと医療機関に750億ドルを含む、総額4840億ドルの供出。ただし、州政府および地方自治体に対する資金支援は行わない。

  ⇒第4段階:議会は新型コロナウイルス関連対策として、個人への直接給付金600ドル(所得制限あり)などを盛り込んだ総額9000億ドルの財政パッケージを(ようやく)可決。

  ⇒第5段階:バイデン大統領が就任前に提案した1兆9000億ドルの追加の財政刺激策は、政権発足後に共和党から6180億ドル規模の代替案が提示されましたが、若干の修正は加えられたものの、ほぼ民主党の公約通りの形で議会承認され、個人向けの直接給付金1400ドルの支払いが始まりました(小切手送付よりも口座への直接振り込みの割合が多い)。また、今回の経済対策案には州政府への支援と新型コロナウイルス対策費用も含まれています。

  ⇒第6段階:議会(下院)ではインフラ投資計画を含む次の経済対策に対する与野党協議が始まりました。バイデン大統領はインフラ整備に8年間で2.3兆ドルを投入する計画を発表し、その財源確保のために現行21%の法人税を28%に引き上げ、15年かけて費用を賄う方針を示しました。法案の審議はまだ始まったばかりですが、市場関係者は議会の勢力図から判断して同法案が成立する公算が大きいとみています。

   →バイデン大統領が掲げる2兆3000億ドルのインフラ投資計画をめぐり、共和党が5680億ドルの対案を示すと、バイデン大統領は1兆7000億ドルを提示し、与野党協議が続きました。ウォール街では、特定のプランの支出を転用することで、共和党の提示額よりバイデン大統領の提示額に近い規模になるとの見方が大勢を占めています。

   →民主党はフィリバスター規則をめぐり、上院で現行の60%でなく、過半数の賛成で法案を可決できるように規則を変更する方向に方針を転換しました。これにより、法案の可決に大きな影響が及ぶとみられます。

  ⇒第7段階:バイデン大統領は「米国の家族のための計画」と名付けた計画の概要を発表し、ヒューマンインフラ(人的基盤)への投資のために、全ての未就園児を対象とした保育施設、児童保護、有給休暇、中低所得世帯に対する減税、教育支援、授業料無料のコミュニティカレッジなどを拡充させることを表明しました。1兆8000億ドルと試算されるコストに関しては、(年収100万ドルを超える世帯を対象とした)キャピタルゲイン税の現行20.0%から39.6%への引き上げと富裕層に対する追加増税による税収を充てることにしています。

  ⇒バイデン大統領は就任後初となる2022会計年度(2021年10月1日開始)の予算教書を発表しました。6兆ドルの予算額(財政赤字額は1兆8000億ドル)には、合計4兆ドルの「米国の雇用のための計画」と「米国の家族のための計画」が含まれており、財源は増税で賄う予定です。予算案に対しては共和党からの強い反発が予想されますが、民主党はホワイトハウス、上院、下院のすべてを支配しており、計画の大部分は成立すると見込まれます。

 ○暗号通貨ビットコインは使用への疑問から(きっかけはテスラのイーロン・マスク氏の発言)下落しました。4月に付けた過去最高値の6万4863ドルから3万0682ドルまで値を下げた後、月末には3万5180ドルと、4月末の5万7750ドルを下回る水準で取引を終えました。2020年末の2万9002ドルからは上昇しています(2019年末は7194ドル)。

 ○市場関係者のS&P 500指数の1年後の目標値はこの1ヵ月で上昇し、現在値から12.2%上昇(前月は9.6%上昇)の4716(かなり強気な予想)となっています(4月末の目標値は4627、3月末の目標値は4432)。ダウ平均の目標値は現在値から8.6%上昇(前月は8.5%上昇)の3万7501ドル(かなり強気な予想)となっています(同3万6963ドル、同3万5554ドル)。

バイデン大統領と政府高官

 ○連邦裁判所判事は退去の全国的な猶予措置(トランプ政権下で開始しバイデン政権下で延長)を無効とし、米疾病予防管理センター(CDC)には猶予措置を発令する権限がないとの判断を示しました。この影響が明らかになるのはまだこれからですが、大きくなる可能性もあります。

 ○イエレン財務長官(前FRB議長)は「金利は上昇する必要があるかもしれない」と発言し、その後これを撤回し、「何かを予測したわけでも推奨したわけでもない」と述べました。金利(雇用統計発表後、5月7日金曜日に反転)とインフレへの懸念が高まり、金利上昇のタイミングとペースが争点となる中、市場は下落の反応を示しました。

 ○バイデン大統領は2021年6月16日にスイスのジュネーブでロシアのプーチン大統領と首脳会談を行う予定です。

 ○バイデン大統領は就任後初となる2022会計年度(2021年10月1日開始)の予算教書を発表しました。6兆ドルの予算額(財政赤字額は1兆8000億ドル)には、合計4兆ドルの「米国の雇用のための計画」と「米国の家族のための計画」が含まれており、財源は増税で賄う予定です。予算案に対しては共和党からの強い反発が予想されますが、民主党はホワイトハウス、上院、下院のすべてを支配しており、計画の大部分は成立すると見込まれます。

新型コロナウイルス関連

 ○インドでは感染のさらなる拡大と死亡率の悪化が続き(都市部から地方に拡大)、1日当たりの新規感染者数は41万4188人で世界最多を記録し、一部地域ではロックダウン(都市封鎖)が実施され、医療不足は全国に広がりました。一方、南アジアの他の地域でも感染者数が増加し、予防的措置が講じられました。

 ○米国ではワクチン接種ペースの鈍化が続きました。バイデン大統領は2021年7月4日(米独立記念日)までに接種率(少なくとも1回接種した人の割合)を70%にするとの目標を設定し、ワクチン接種を促す措置を講じました。

 ○ワクチン接種ペースが鈍化を続ける中、CDCがファイザー製ワクチンの接種対象年齢を12歳(これまでは16歳)に引き下げることを承認し、さらに1700万人の若者が接種可能になりました。接種は既に始まっています。

 ○CDCはワクチン接種完了者に対する指針を変更し、公共の場でのマスク着用を不要にすると発表することで、まだワクチンを接種していない人に接種を促しました。

 ○バイデン大統領は、米国が承認した新型コロナウイルス・ワクチンを少なくとも2000万回分、6月末までに他国に提供すると発表しました。さらにアストラゼネカADR製ワクチン6000万回分も、米国での使用が承認され次第、他国に提供すると約束しました。

 ○感染者数が少なくワクチン接種があまり進んでいなかったシンガポールで、一転、感染者数が急増しました(本稿執筆現在も状況は進行中)。

 ○米国ではワクチン接種奨励策が進む中、マスク着用義務の解除が始まりました。

 ○EUは域内の移動を容易にするため、ワクチン接種証明書システムを導入すると発表しました。

 ○米国ではマスク着用義務を解除する動きが続きました。州による着用義務の解除や緩和が進み(飛行機、電車、バス、ほとんどの公共施設では引き続き着用を義務化)、依然として多くの人がマスクを着用していますが、その数はこの1週間で著しく減少しました。

 ○昨年から延期された東京オリンピックをめぐり、各種団体や政治家から延期を求める声が上がる中、国際オリンピック委員会(IOC)は予定通りに開催する意向を示しました。米国は日本への渡航警戒レベルを引き上げました。日本のワクチン接種は遅れており、現時点で人口に対する接種率はわずか4.4%にとどまっています。

 ○新型コロナウイルスの治療薬と治療法、そして夢の万能薬

  ⇒治験の結果、モデルナ製の新型コロナウイルスワクチンは12?17歳の若年層にも有効であることが示され、同社は6月にも適用を申請する見通しです。

   →現時点で、世界全体で17億4000万人が1回以上のワクチン接種を受けました(4月末時点では11億人、3月末時点では5億7400万人、2月末時点では2億2500万人)。米国では:

    ・現時点で、2億8900万人が1回以上のワクチン接種を受けました(同2億3700万人、同1億4800万人、同6830万人)。

  ⇒人口の49.4%(4月末時点では43.3%)が少なくとも1回は接種したことになり、人口の39.3%(同30%)が2回の接種を終えました。

  ⇒米国の1日当たり接種回数の7日平均は一時400万回を超えましたが、その後170万回に低下しました(同263万回、同277万回、同131万回)。これはワクチン接種希望者の人数が減少しているためです(供給は十分にあります)。

各国中央銀行の動き(および関連ニュース)

 ○4月27-28日に開催されたFOMCの議事録が公表されました。FRBが、経済はあるべき姿からいまだ程遠い状態にあり、依然としてパンデミックの成り行き次第であると見ていることが明らかになりました。また、経済が急速な成長を続ければ、テーパリング(金融緩和策の縮小)についての議論を開始する可能性があるとの見方が示されました。

IPOおよび「空箱」SPAC

 ○eコマースサイト支援ツールを手掛けるスクエアスペースは、従来型のIPOで上場しました(SPACではなく)。公募価格の50ドルに対し、初値は44.01ドル、一時55.88ドルを付けましたが、52.63ドルで月末を迎えました。

 ○今後の予定:

  ⇒デジタル貯蓄・投資アプリを運営するAcornはSPAC経由での上場を計画しており、企業評価額を22億ドルと見込んでいます。

  ⇒英国のオンライン中古車販売会社Cazoon Holdingは、SPAC経由で上場することを明らかにしました。上場時の企業評価額を80億ドルと見込んでいます。

  ⇒未公開のリチオムイオン電池メーカーEnovixはSPAC経由での上場を準備しており、当初評価額11億ドルを見込んでいます。

  ⇒イスラエルのデジタル取引プラットフォームのeToro GroupはSPAC(FinTech)経由で上場すると発表しました。時価総額100億ドルを見込んでいます。

  ⇒東南アジアでライドシェア、フードデリバリー、送金のアプリを運営しているGrab HoldingsはSPAC経由で上場することを発表し、企業評価額を400億ドルと予想しています。

  ⇒EVメーカーLucid Motorsはチャーチル・キャピタルIVとの合併を通じて上場を計画しています。

  ⇒シェアオフィス大手のWeWorkが再び上場を計画しており、上場時の企業評価額として90億ドルを見込んでいます。これに対して、パンデミックにより労働環境が変化するよりもかなり前の2019年の評価額は470億ドルでした。

企業業績

 ○2021年第1四半期決算の発表が始まっており、484銘柄のうち411銘柄(84.9%)で利益が予想を上回り、483銘柄のうち377銘柄(78.1%)で売上高が予想を上回りました。

  ⇒2021年第1四半期の利益予想は2021年第1四半期末から21.9%引き上げられ、1年前(2020年第1四半期末)からは14.3%の上方修正となりました。利益は第1四半期として過去最高(2021年第4四半期も同様に過去最高)を記録する見通しで、前期比では24.7%増益、2010年第1四半期以来の低水準となった2020年第1四半期からは2倍以上となる144%増益が見込まれ、過去最高更新まで1%以内となっています。営業利益率は13.09%で過去最高となりました。

  ⇒2021年については過去最高益を更新する見通しで、2020年比で52.5%増益が見込まれており、2021年の予想PERは22.5倍となっています。

  ⇒2022年は2021年比でさらに12.3%増益が見込まれ、同年の予想PERは20.1倍となっています。

個別銘柄

 ○ソーシャルメディア企業フェイスブックAの監督委員会は、連邦議会議事堂乱入事件が発生した1月6日以降にトランプ前大統領のアカウントを凍結した同社の措置を支持する判断を下しました。ただし、6ヵ月以内にこの措置について再検討し、具体的な規則に基づいて判断するべきであると提言しました。

 ○通信サービス企業のベライゾン・コミュニケーションズは、YahooやAOLを含むメディア部門の90%をプライベート・エクイティのApolloに50億ドルで売却することを明らかにしました。Verizonは2017年にYahoo、2015年にAOLを買収し、買収額は合計で90億ドルでした。

 ○エクササイズ機器を販売するペロトン・インタラクティブの1-3月期(第3四半期)売上高は前年同期比141%増となりました。また、旧モデルのトレッドミルについて、安全上の問題からリコールを発表しましたが、リコールにかかる予想費用については明らかにされていません。

 ○ゲーム開発の未公開企業Epic GamesがアップルとアルファベットCのGoogleを相手取り、2020年8月に同社のゲーム「Fortnite」が両社のアプリ配信ストアから削除されたことをめぐって起こした訴訟の公判が始まりました。判決の内容によっては、アプリストア運営側に影響が及ぶ可能性があります。

 ○電気自動車メーカーテスラのElon Musk最高経営責任者(CEO)はツイッター上で、ビットコインでの決済を認める決定を撤回すると発言し、ビットコインは下落しました。

 ○オンライン小売企業アマゾン・ドット・コムは、EUが求める3億ドルの追徴課税をめぐる訴訟で勝訴しましたが、売り上げをめぐる国際調査は継続されています。

 ○通信大手AT&Tとメディア企業ディスカバリーAは、メディア事業を統合して新会社を設立することを明らかにしました。新会社はAT&Tの株主が71%、ディスカバリーが29%を保有し、承認を経て、2022年半ばの統合完了を目指しています。AT&Tは2016年にTime Warnerを850億ドル(および負債)で買収しました。同社はまた、配当の見直しを発表しており、市場は「大幅」な(50%程度)減配になると予想しています。AT&Tは36年連続で増配しており、S&P 500指数の配当貴族銘柄です。同社は配当銘柄として選好されていたため、これを受けて株価は下落しました。

 ○S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは、製薬大手メルクからスピンオフしたヘルスケア企業のオルガノンをS&P 500指数に採用し(6月3日の取引開始前)、石油精製企業のホーリーフロンティアを同指数から除外する(6月4日の取引開始前)と発表しました。

<後編>へ続く
 


配信元: みんかぶ株式コラム