NYの視点:米5月小売売上高、経済の正常化を証明

配信元:フィスコ
投稿:2021/06/16 07:34
米商務省が発表した5月小売売上高は前月比-1.3%となった。伸びは2月来のマイナスとなり予想をさらに下回った。変動の激しい自動車を除く小売売上高は前月比-0.7%と、予想外に2月来のマイナスに落ち込んだ。一方で、4月分が横ばいから0.9%へ、3月分は10.7%から11.3%へそれぞれ上方修正されたことはプラス材料となる。

国内総生産(GDP)の算出に用いられるコントロールグループと呼ばれる自動車や建材、給油、食品を除いたコアの小売りは前月比-0.7%と、4月の-0.4%に続き2カ月連続のマイナスとなった。同時に、結果によると消費者が外食や映画館、遊園地などサービスへの支出を増やしたことが明らかになった。反対に、パンデミックの際に消費が目立った家具(-2.1%)や電化製品(-3.4%)などの消費は鈍化。ただ、パンデミックの影響で半導体不足による自動車の供給が引き続き限られたため自動車販売は3.7%減。消費者行動は経済活動の再開に伴い、パンデミック前の状況に戻りつつあることが証明された。

予想を下回った小売り売上高の結果も、過去2カ月の大幅な上方修正を受けて、第2四半期のGDPの伸びは依然10%超えが予想されている。商務省が発表するGDPと類似したモデルを使用しているアトランタ連銀の第2四半期GDP見通しは従来の9.3%増から10.5%増へ引き上げられた。3月に示された政府の財政支援の効力が薄れつつあり、消費のブームが一段落する一方で、インフレが上昇する中、FRBの舵取りが今後、鍵を握る。

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配信元: フィスコ