投資魅力の比較~NTTデータ、日本ユニシス、MS&AD、三井住友トラスト

著者:鈴木 行生
投稿:2021/06/07 19:19

・日経アニュアルリポートアワード2020で、14社が優秀賞を受賞した。その中から興味のある4社をピックアップして、投資対象として比較してみた。エヌ・ティ・ティ・データ(NTTデータ)と日本ユニシスは情報システム関連、MS&ADインシュアランスグループホールディングスと三井住友トラスト・ホールディングスは金融関連である。

・これらの4社を定性的にどのように比較するのか。業種も違えば、事業内容も異なる。企業規模の違いもある。財務データで横比較するというのはすぐにできそうだが、数字を並べても、その意味するところをすぐに理解するのは難しい。

・まずは、統合報告書を読んで、すでに知っていることは確認に留めて、これは自分にとって新しい、何か興味深いという内容を抽出していくと、関心を持って大局的に目を通すことができる。そうしながら投資対象として候補になるかどうかをみていくと面白い。

・NTTデータは、親会社のNTTが株式の54%を保有している。親子上場であるが、子会社固有の魅力はどこにあるのか。

・NTTデータの10年後の目指す姿はTrusted Global Innovatorにある。本間社長はITサービスのデザイン思考を強調する。CX((カスタマーエクスペリエンス)、UX(ユーザーエクスペリエンス)を取り込んで、インフラとしてのITではなく、現場で活用できるサービスを目指す。

・グループ共通の価値提供モデルを「4D Value Cycle」においており、Design(企画)、Develop(構築)、Drive(運用)に加えて、Discover(最適な技術を取り入れる目利き)を重視する。

・Global Top 5入りを目指して、2025年までにその目途をつけようと、M&Aには引き続き力を入れていく。Growth(成長力)とEarnings(稼ぐ力)をつけるには、Transformation(変える力)とSynergy(連携する力)が必要であるとして、これらの4つの力をGETsと名付けている。

・今持っている経営資源をベースに強みを明らかにし、さらに備えるべき目標を明示して、新しいアセット(資産、経営資源)を作っていこうとしている。

・海外子会社(米国8社、欧州4社)をベースに、グローバルデジタルオファリングがどこまで実行できるか。マーケティングとテックを活かして、新しいプロジェクトを推進していく。

・ESG経営では、イノベーション、人財、セキュリティ、環境、ガバナンスに力を入れている。2020年6月に、監査役設置会社から監査等委員設置会社に移行してたが、ここでは5つの変化を強調した。

・①監査担当の意見が議決権に反映され、社外取締役が3分の1以上となった。②必要なら、指名、報酬への意見を株主総会で述べることができる、③内部監査との連携が大幅に強化される、④これらによって、取締役の監督機能が強化される、⑤ひいては、海外の子会社や投資家からみた時、取締役会の役割が一段と分かり易くなったという。

・日本ユニシスは有力なシステムインテグレータであるが、コーポレートステートメント(企業の目指す姿)として、「Foresight in sight」を掲げている。社会的課題と顧客のニーズについて、先見性を発揮して洞察し、それを見える形にしていくという意味を込めている。

・価値創造の注目領域として、1)ネオバンク(新しい地域金融)、2)デジタルアクセラレーション(デジタルビジネスパートナー)、3)スマートタウン(新しい暮らし)、4)アセットガーディアン(老朽公共インフラの見守り改善)をあげている。

・平岡社長は、社会的課題の解決に、デジタルコモンズを追求すると強調する。社会の未稼働財(未稼働資産)をデジタルで活用し、社会的価値と経済的価値の向上を目指す。ビジネスモデルの変革でワクワクする未来を作ろうとしている。

・三井住友トラスト・ホールディングスは、住友、三井、中央の3信友銀行が合併し、傘下に日興アセットマネジメントも有する。信託とは、①貯める・増やす(資産形成・運用)、②守る・活かす(資産管理・活用)③つなぐ、ゆずる(資産継承)、④役立てる(社会貢献)、を担い支えていく。

・大久保社長は、トラストバンクならではのサービスを個人、法人、投資家に提供していくと語る。三井住友トラストは、年金受託、投信受託、不動産証券化受託、証券代行、遺言書簡保管(遺言信託)、資産流動化信託受託などで、№1である。

・新たな成長領域として、1)プライベートバンキング(ウェルスマネジメント)、2)資産形成層(職域でのライフプランニング)、3)イノベーション企業との取引、4)資産運用ソリューションの深化・拡大を図っている。

・サステナビリティの推進では、金融包摂(インクルージョン)、TCFD(気候関連財務情報開示)とともに、RAF(リスク アペタイト フレームワーク)に力を入れている。これは、リスクキャパシティの範囲内で、リスクアペタイト(進んで受け入れるべきリスクの種類と総量)を決定するプロセスと、その内部統制の仕組みである。

・MS&ADインシェアランスグループホールディングスは、損保、生保、海外保険、金融サービス、リスクサービスの5つをビジネス領域とする。原社長(グループCEO)は、世界トップクラス入りを目指して、中計Vision21を推進している。

・価値創造ストーリーとしては、①リスクを見つけ伝える、②リスクの発現を防ぎ、少なくする、③リスクが現実となった時の負担を小さくする、という点から将来のビジネスモデルを語る。中期計画の後半では、サステナビリティをCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)で追求し、先進的なDXで多様化を統合し、プロとしての生きがいを求めつつポートフォリオを変革していく。

・イノベーションとしては、1)RisTech、2)テレマテック、3)サイバーテックで変革を図っていく。社会的課題のソリューションをCSVで実行しようとしている。実際、新しいリスク、事故のないモビリティ、一人も取り残さない支援などに応用しようとしている。

・グループ内のサステナビリティコンテストでは、世界初のリアルタイム被害予測Webサイトが表彰されたりしている。

・これら一見異質な4社を、1)マネジメントのリーダーシップによる経営力、2)事業のイノベーションによる成長力、3)業績変動のリスクマネジメント、4)サステナビリティを支えるESG、という観点で評価すると、筆者にとっての評価順位は、MS&AD、三井住友信託、NTTデータ、日本ユニシスの順であった。

・これは今回の主観的評価であって、これから各々の企業をより関心を持ってフォローしていきたい。将来のビジネスモデルに確信がもてた時には、株主として参加したいとも思う。

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配信元: みんかぶ株式コラム
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