[資源・新興国通貨6/7~11のポイント&注目通貨]カナダ中銀会合に注目!!

著者:八代和也
投稿:2021/06/07 14:27

今週のポイント

9日にBOC(カナダ中銀)の政策会合が開かれます。「BOCは早ければ7月にも量的緩和を一段と縮小する」との観測が市場にはあります。声明がその観測をさらに高める内容になるかに注目です。

メキシコペソ/円は、6日の中間選挙や9日の5月CPI(消費者物価指数)が材料になりそうです(後述)。

南アフリカランド/円は7日、2019年2月以来の高値をつけました。足もとの南アフリカランド/円上昇の背景として、米FRBが緩和的な金融政策を維持する姿勢を示していること(対米ドルでの南アフリカランドの上昇要因)や堅調な商品価格、そしてSARB(南アフリカ中銀)のタカ派的な姿勢が挙げられます。南アフリカランド/円は一段と上昇する可能性があります。

トルコリラは先週(5/31- )、対米ドルで過去最安値を更新し、対円で昨年11月以来の安値をつけました。TCMB(トルコ中銀)の早期利下げ観測を背景に、トルコリラに対して下押し圧力が加わっており、この状況は当面続きそうです。トルコリラ/円はいずれ、11.998円(昨年11月につけた過去最安値)割れを試すかもしれません。

今週(6/7- )は豪州やNZの主要経済指標の発表は少なく、豪ドル/円やNZドル/円は原油など資源価格や主要国株価の動向に影響を受けやすいとみられます。資源価格や主要国株価が上昇すれば、豪ドル/円やNZドル/円は堅調に推移しそうです。

今週の注目通貨ペア①<カナダドル/円 予想レンジ:89.500円~91.600円>

9日のBOC(カナダ中銀)の会合では、政策金利(現在0.25%)と量的緩和政策(現在は、カナダ国債を週30億カナダドル買い入れ)のいずれも据え置かれそうです。

また、4月の前回会合の声明では、利上げ時期についてそれまでの2023年の見通しから前倒しし、早ければ2022年下半期にも利上げする可能性が示されました。2022年下半期との見通しは維持されるとみられます。

一方で、市場ではBOCが7月にも量的緩和の規模を一段と縮小するとの観測があります。カナダ景気の先行きについて楽観的な見方が声明で示されれば、7月の量的緩和縮小の観測はさらに高まり、カナダドル高材料になりそうです。原油価格(米WTI原油先物など)の上昇が加われば、カナダドル/円は91.590円(2017/9高値)に接近する可能性があります。

原油価格の代表的な指標である米WTI原油先物の7月物は4日、一時1バレル=69.76ドルへと上昇し、中心限月として2018年10月以来の高値をつけました。欧米の景気回復への期待から、原油価格は引き続き堅調に推移する可能性があります。カナダは産油国のため、原油価格の上昇はカナダドルにとってプラス材料です。

今週の注目通貨ペア➁<メキシコペソ/円 予想レンジ:5.300円~5.600円>

メキシコでは6日に中間選挙(連邦下院議員選、州知事選など)が行われました。本稿執筆時点で連邦下院議員選の結果は判明していませんが、選挙前の世論調査をみると、与党MORENA(国民再生運動)は単独過半数に届かないものの、連立与党全体で過半数を確保しそうです。その通りの結果になれば、目先の材料出尽くし感から、メキシコペソ/円はいったん上昇するかもしれません。

9日発表のメキシコの5月CPI(消費者物価指数)が材料になる可能性があります。CPIの市場予想(本稿執筆時点)は前年比5.86%と、上昇率は前月の6.08%から鈍化するものの、BOM(メキシコ中銀)のインフレ目標(3%)を大きく上回り、許容レンジ上限である4%も上回るとみられています。

市場では、「BOMの利下げ局面は終了し、次の一手は利上げ」との見方が有力です。CPIが市場予想よりも強い結果になれば、「次の一手は利上げ」との観測が一段と高まる可能性があります。その場合、メキシコペソ/円の支援材料となりそうです。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想