先週は、大きく上下動しつつも、18日(火)以降は終値で28000円台を維持
先週の予測では、前週末にNYダウがインフレ懸念による下落からの反発となってきたことで、この戻りが続くようなら日経平均も下げは限定的になるとしました。ただ、NYダウが多少戻しても三角保ち合いを下放れしているので、上値は限定的としました。特に国内では緊急事態宣言が月末まで延長された上に追加の県が出ており、感染拡大が止まるのかどうかの様子見となりそうです。そうなると米国株式がしっかりしても、日経平均は28000円台での動きとなり、上値は限定的としました。
結局は、米株式は週半ばから堅調な動きとなったことで、日経平均は時間外の米株先物や中国株、台湾株の動きを受けて大きな上下動となりました。17日(月)の安値27632円、18日(火)の高値28481円の間で28000円をはさんで大きな上下動でした。4月の28400円前後の水準の下限をぬけたことで、この28400円水準が上値ゾーンとなっています。特に28000円を終値で切ると調整が長引くため、火曜以降は28000円をザラ場では切っても終値では28000円台を回復して引けました。特に週末の21日(金)は、前日の米国市場が久しぶりに3指標そろって大幅上昇となったことで、日経平均も△171円の28269円で寄り付き、一時△313円の28411円まで上昇して、いったん上げ幅を縮小する場面もありましたが、大引けにかけて持ち直し△219円の28317円で引けました。
大きく上昇したものの市場の見方は、当面、手掛かり材料はなく28500円のフシ目も回復できませんでした。これだと28000円台での日柄調整をしながらのキッカケ待ちとなりそうです。
21日(金)の日本市場の引け後の米国市場は、マチマチの動きとなりました。3指標は上昇してスタートするものの、経済指標は好悪マチマチで、ビットコインが前日の4万ドルから3.5万ドル台へ再び大きく下落したことで、ハイテク株が下落し、前日に4日ぶりに反発したナスダックは反落となりました。フィラデルフィア連銀総裁は、緩和縮小協議を早目の開始すべきとの見解を示しており、長期金利の低下が長く続く期待が後退していくことになります。シカゴの日経先物は△30円の28380円でした。
今週は、27800~28800円のレンジの中の動きを想定
先週の日経平均を見る限り、17日(月)に27632円まで下げて、終値は27824円と28000円を下回ったものの、18日以降は大きく上下動しつつも終値では28000円台を回復し、5営業日のうち4日が日足で陽線となっており、今回の急落場面での短期的な底値を確認したように見えます。米株式が堅調ならば戻りを試すことになりますが、三角保ち合いを下放れしているため、当面の上値は28800円水準であり、そうなると予想レンジは27800~28800円となります。
今後の動きは、政府の緊急事態宣言は、他県への拡大で感染防止に力を入れていますが、高止まりしたままで経済への不安も高まっています。しかし、日本でも高齢者へのワクチン接種が始まりました。接種率は時間とともに高まっていくので感染の高止まりも減少に向かうことになり、日常生活を取り戻して経済が正常化へ向かうことになります。大手証券のレポートなどによると、ワクチンの接種率が10%になると株価は上昇に転じるというものがあります。
一方で、投資で気がかりなのがビットコインの波乱です。ビットコインは2月にイーロン・マスク率いるテスラがビットコインを15億ドル(約1600億円)購入していることが明らかとなり、4月には大手交換取引所のコインベースがナスダックに上場したこともあり、ビットコインは4月14日には6万4千ドル超の最高値をつけました。その後、5月12日にイーロン・マスク氏が「ビットコインでのテスラ車購入の支払いを停止」を発表したことで急落し、19日には一時3万ドル近辺まで下落しました。最高値からの下落率は5割を超え、ほど半値まで叩き売られました。株式市場にとって懸念されるのは、ヘッジファンドで巨額の損失を被ったところがあれば、損失補填で株価が下落して全体に波及するリスクです。
今の株式市場の大きな上下動は、期待と不安がせめぎ合っている局面にあります。日経平均は、5月13日の安値27385円からの戻り歩調(先週は17日(月)の27632円)にありますが、柴田罫線で三角保ち合いの下放れした形をみると28800円以上は、強力な上値抵抗ゾーンとなっています。日足チャートで説明すると、デットクロスした25日移動平均線(20日時点28903円)と75日移動平均線(20日時点29216円)の下に位置しています。これが好転するためには、少なくとも75日移動平均線を突破しなければならず、それを確認するまでは様子見が基本となります。多少は日柄調整が続くことになり、当面は27800~28800円のレンジの動きを想定するところです。
本日24日(月)は、前週末の米国株式でナスダックが下落し、ハイテク株の一角などが軟化したことで、▲105円の28212円円と安く寄り付き、売り一巡後は株価指数先物に断続的な買いが入り、急激な上昇となりました。その後もNYダウ先物高もあって景気敏感株中心に堅調に推移し、28584円まで上昇した。その後は、いったん上げ幅を縮小し、持ち直す場面もありましたが、戻り売りに上値を抑えられ、大引けにかけて伸び悩んで、△46円の28364円で引けました。
(指標)日経平均
先週の予測では、前週後半によく戻したNYダウの戻りがどこまで続くかによって、日経平均の戻りも多少は連動することになりますが、チャートの型としては、三角保ち合いを明確に切っており、又、非常事態宣言も拡大となっていますが、感染者数はそれほど減少しておらず、経済への不透明感が残っています。米国株式も長期金利の上昇で、インフレ懸念への不透明さがあり、これが解消されてハイテク株がハッキリと戻りとなるまでは、大きな戻りは期待できないとしました。
そのため、日経平均は戻る場合でも上値は限定的で、28000円台での値固めとしました。
結果的には、上値は5月18日の28481円、下値は5月17日の27632円の間のもみあいとなり、週の終値は△219円の28317円でした。
先週は大きく上下動しつつも週の終値では28000円台を維持し、日足でみると5営業日中、4日が陽線となり28000円台を固めたようにみえます、米株が堅調であれば戻りを試す期待もありますが、柴田罫線でみるとわかりますが、三角保ち合いの上限に達するには28800円を突破しなければなりません。国内の新型コロナの感染者が高止まりの状況では、上値は限定的で日柄調整がまだ必要と思われます。
(指標)NYダウ
先週の予測では、米国内のワクチンの普及は、予想以上の早さで進み経済活動正常化期待で上昇という見方があり、又、小売企業の決算もオンライン販売が好調で好決算が期待されています。
しかし、先々週末の小売売上高も予想を下回ったことで、主要小売株の決算発表も控え、先行き金融政策の不透明感もあり反落スタートとなりました。18日(火)は4月住宅着工件数が予想を下回り、3指標そろって続落しましたが、その後はハイテク株の反発にも支えられNYダウは2日続伸で引けました。
先週、FRBが公表したFOMC議事録を受けて、インフレに対する対策が立ち遅れるとの警戒感は後退しつつあります。そうなると長期金利の上昇も一服しているため、ハイテク株の買い戻しが期待できるとの見方があります。又、例年は4月15日が納税申告期限でしたが、今年はコロナのため5月17日まで延長されたことで、そろそろ新たな資金が株式市場に流入することも予想されます。
(指標)ドル/円
●先週の動き
先週は、週始めに109.50円までドルが買われましたが、5月19日のビットコインが急落したことや、米国のインフレ率が大幅に上昇するという可能性は低いとの見方が増えたことで、ドル売り材料となりました。そのため一時ドルは108.57円まで下落しました。その後、フィラデルフィア連銀総裁が金融緩和の早期縮小に言及したことで、一時ドルが買われましたが、その後は、ビットコインが再び下落したことで、ドルは上げ渋り108.94円で引けました。
●今週の予測
直近で発表された経済指標(製造業関連)は予想を上回っており、米国経済の正常化を期待したドル買いが直ちに縮小する可能性は低いといえます。ただし、FRBによる量的緩和政策縮小の思惑も消えていないため、リスク回避的なドル売りが大きく広がる状況にはありません。109円水準でのもみあいが続きそうです。
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