―時流に乗る「DX」「脱炭素」「半導体製造装置」は中長期で活躍へ―
東京株式市場は、ゴールデンウイーク(GW)の連休を経て夏相場へと向かう。今年は2月に日経平均株価が3万467円と30年半ぶりの高値をつけたが、その後は一進一退が続く。そんななか、好調なパフォーマンスで市場の注目を一身に集めているのが「デジタルトランスフォーメーション(DX)」、「 脱炭素」、「 半導体製造装置」の主力3大テーマだ。DXはIT関連株、脱炭素は環境関連株、半導体製造装置はハイテク株などとの関連性が高いが、いずれも中長期的な成長期待は高く、物色の裾野も広い。GW明け後の相場に向け活躍必至の各テーマの妙味株をそれぞれ3銘柄ずつ紹介する。第1回目は「DX関連」を取り上げた。
(1)【DX関連】
デジタル技術で新たな価値を創出、コロナ禍で改革加速へ
人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)、ビッグデータなどのデジタル技術を活用して、ビジネスモデルなどを抜本的に改革し、新たな成長・競争力強化につなげていくデジタルトランスフォーメーション(DX)が世界的な潮流となっている。特に新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、ITインフラを柔軟に変更して事業環境の変化に対応することが重要になっている。菅政権が社会のデジタル化を政策の重要課題としていることもあり、DXは息の長い投資テーマとなりそうだ。
●エルテス <3967> [東証M]~行政や企業のDX化を支援
同社は企業が抱えるデジタルリスクを予兆・検知・解決するソリューションを手掛けており、AIセキュリティー事業ではAIやIoTを組み合わせた警備・セキュリティー業界のDXを推進。また、地方自治体などの行政や企業のDX化を支援し、IT人材の育成や自治体と企業のマッチングなども行っている。4月13日に公表した22年2月期通期の連結営業損益予想は、デジタルリスク事業での顧客基盤と収益基盤の拡大に注力することで1億円の黒字(前期は3億3300万円の赤字)を見込んでいる。
●WACUL <4173> [東証M]~DXコンサル事業の案件増加
同社はWebサイトのアクセス解析ツールと連携し、データを自動で分析する「AIアナリスト」などを提供しているほか、デジタルを活用した戦略立案からオペレーション構築に至るまでマーケティングのDXをワンストップで実現する「DXコンサルティング」を展開。足もとでは、コロナ禍によりDXに本格的に取り組みたいとする企業の案件が増加している。こうした状況下、4月14日に公表した22年2月期通期の単独営業利益は前期比3.2倍の2億2900万円が予想されている。
●セラク <6199> ~DXニーズ追い風に高成長
同社は新技術領域に対する「教育型IT人材創出モデル」をベースに、積み上げ継続型の収益構造と成長領域への投資により高い成長を実現。DX事業では、企業の情報資産を保護するサイバーセキュリティー、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、ITを活用した農業を支援する「みどりクラウド」など、先端技術を用いたサービスを提供している。主力のシステムインテグレーション事業も好調で、4月13日に発表した21年8月期第2四半期累計の連結営業利益は前年同期比62.3%増の7億1600万円で着地した。
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