ドル円は108円台前半での推移 ECB受けユーロには戻り売りも=NY為替前半

著者:MINKABU PRESS
投稿:2021/04/23 03:00
  きょうのNY為替市場でドル円は108円台前半での推移が続いている。きょうも何度か107円台に下落し、一時107.80円付近まで下落する場面も見られていた。しかし、107円台に入ると押し目買いも出るようで、いまのところは108円台を維持している。

 この日のECB理事会とラガルド総裁の会見を通過して、ユーロドルが戻り売りに押されていることから、相対的にドル買い戻しの動きが見られているほか、米国債利回りが上昇に転じていることもドル円をサポートしているようだ。

 しかし、買戻しを強める動きまではみられず、上値は依然として重い印象。108.20円付近が上値抵抗となっているようで、その付近での売りオーダーも並んでいる模様。

 バイデン大統領が富裕層へのキャピタルゲイン課税を最大43.4%とする提案を行うと伝わると、米株が下げ幅を拡大し、ドル円も伸び悩む動きが見られている。

 今週に入って下げ渋る動きが出ているものの、依然として4月に入ってからの安値圏での推移は続いており、もう一段の下げも警戒される状況にはある。107円台での下値サポートとしては、フィボナッチ38.2%水準が107.75円付近にあり意識される。その水準をブレイクするようであれば、同50%戻しの水準が106.80円付近に来ており、106円台への下げも警戒される。

 きょうのユーロドルは戻り売りが優勢となり、1.20ドル割れをうかがう動きも見られている。この日はECB理事会が開催され、ラガルド総裁の会見も行われた。ECBの声明および、同総裁の会見が始まった直後はユーロドルも買いが強まり、1.2070ドル付近まで上昇したが、その動きが一旦収まると戻り売りが強まっている。

 ECBはパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)について、今四半期中は速いペースでの債券購入を進めることを確認した。一方、ラガルド総裁はPEPPの段階的終了は議論しなかったと言及している。資産購入ペース縮小の検討については時期尚早として退けた。市場では、ECBは7月にもPEPPの段階的終了を開始し、公約通りに来年3月で終了するとみられている。市場は、今回はそれを示唆するとまでは見ていなかったものの、6月にはそれが示されると予想しており、今回は6月の前段階として、何らかのヒントを匂わす可能性も見ていた。しかし、想定以上に慎重姿勢が強かったことから、ユーロは一旦利益確定売りに押されているようだ。

 ただ、現段階では1.20ドルちょうど付近の下値抵抗も強そうで、1.20ドル台は維持している。

 ポンドはきょうも戻り売りが優勢となり、ポンドドルは一時1.38ドル台前半、ポンド円も149円台半ばまで一時下落している。ポンドドルは21日線が1.3810ドル付近に来ており、目先の下値メドとして意識されるが、ポンド円については21日線を下放れする展開。

 市場ではポンドに弱気な見方も増えつつある。第2四半期に入ってからの英国と比較した米およびEUのワクチン接種率の上昇がポンドに重くのしかかる可能性があるという。第1四半期は英国のワクチン接種率の高さが支配的で、これがその期間中のポンド高を推進した最大の要因となった。しかし、第2四半期に入ってからは、米およびEUとのワクチン展開の差も縮小し、米およびEUは英国が第1四半期に行ったのと同スピードでワクチン展開を拡大させている。この流れは第2四半期一杯まで続く可能性があり、英国の優位性は次第に失われて行くことから、ポンドは圧迫される可能性があるという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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