先週の日経平均は、週末の米国株の大幅下落を受け、1202円と今年最大の下げ幅
先週末は、▲1202円の28966円と大幅に急反落。先週の予測では、基本的に米株式に変動がなければ、日経平均は3万円水準でもみあいとしました。
結果的に休日をはんさんで3万円を中心に大きな上下動を25日(木)まではしましたが、26日(金)は前日の米株式が長期金利の上昇を嫌気して、大幅下落となったことで、日経平均は1200円を超す大幅な急落となりました。これは、私の2月、3月の予測の主要テーマとして「もうはまだなり」「まだはもうなり」と「節分天井 彼岸底」を組み合わせたシナリオの中で、3月に大きな調整の可能性を述べていました。
例えば、2月8日(月)の予測の最後のコメントで「目先高値更新となれば楽観論がでてきます。コロナ相場のパターンでいうと、昨年1月にいったん調整を入れ、2月後半にコロナショックという急落相場(日経平均は3月19日に底打ち)が起こりましたので、2月は注意が必要です」としました。
15日(月)のコメントでは「安心感が出てくるところが過去の経験則では、リスクが出てくるところですので注意が必要です。ゲームストップの急騰、ビットコインの急騰、WTI原油先物の大幅高、穀物価格の上昇など資産価格の上昇が目立ちます。投機的な動きが高値圏を形成していますので、高値圏での売買は注意が必要です、儲けそこなっても実害を受けませんので慎重に」としました。
先週の22日(月)はコメントで、『(もうはまだなり)の強気が相場観を支配しているがチャートからみると要注意とし、16日(火)の△630円の30714円と30年6ヶ月ぶりの高値をつけた日の値下がり銘柄数は1251と異常となっています。「2月節分天井 3月彼岸底」に従えば3月は要注意かもしれません』としました。
市場でのコメントは、強気の材料しか出ていませんが、冷静に相場の流れを見ていると、週末の1202円の下げは不思議でも何でもありません。
先週の日経平均は、週始めは反発のあと23日(火)の休日をはさんで、24日(水)の▲484円の29671円、25日(木)の△496円の30168円と大きな上下動となり、26日(金)は、前日の米国市場で長期金利が上昇したことを嫌気し、3指標そろって大幅下落となりました。これを受けて26日(金)の日経平均は、米国株先物の時間外での下落や上海株、ハンセン株などアジア株安もあったことで、▲1202円の28966円と今年最大の下げ幅を記録しました。
引け後の米国市場は、NYダウは引き続き▲469ドルの30932ドルと続落しましたが、ナスダックは△72Pの13192Pと反発し、まちまちの動きでした。
これは長期金利の上昇が一服したことで、先週、下げていたハイテク株が買い戻され、一方、エネルギーや金融などの景気敏感株が売られて、NYダウの下落となりました。ドルは買われ106.61円の円安となっており、シカゴの日経先物は△35円の29285円でした。
今週から来週のSQにかけて、大きく調整するところは押し目買い有利
さて、先週末の1202円の日経平均の急落後の3月相場をどうみればよいでしょうか。基本は今年になって「もうはなまだなり」の格言に絡む要注意の季節的アノマリー(経験則)としての「2月節分天井 3月彼岸底」をどうみるかということになります。2月節分は、年末・年始の株高と新年への期待から1月は堅調に始まり、その余韻が2月まで続き高値をつけるもので、買い疲れがでて上値が重くなり、3月には確定申告と年度末の決算もあって調整しやすくなります。大口の個人投資家は税金の捻出のために株を売り、機関投資家は年度末で一旦ポジションの調整を行います。3月に彼岸底を打てば、4月の新年度への期待が高まり、再び株価は上昇に向かうことになります。
以上を考えると、まず3月の1つ目の買いポイントは、3月の2週目の12日(金)の3月メジャーSQに向けて下落すれば買いチャンスとなります。その後は、米株式の下落があれば連動しますので、そこでも買いポイントがあるかもしれません。どこまで下がるのかは結果をみないと分かりませんが、経験則では相場が調整気味の時は、SQの週の中頃、以降に安値をつけ易く、又、ふつうは調整というものは7~8%必要ですので、3万円の8%というと2400円下がったところの27600円水準があります。本格調整は10%で3000円近い下げですが、現在のような金余りの環境では、まだ、コロナ相場は継続するので、下値にも限界があります。又、500円、1000円は下げ止まるフシとして作用しますので、ここからなら28500円、28000円、27500円を下値ポイントとして想定しておくことができます。
先週末の日経平均の1202円の大幅下落は、きっかけは米長期金利の上昇ピッチが早くなり、1年以上も前の状態に急上昇したことです。長期金利の上昇の背景にあるのは、世界的にコロナワクチンの接種が進むことで、経済活動が正常化へ向かうとの期待で借入金コスト高となり、株価の上昇が止まってしまうという懸念があります。ただ、現時点ではコロナ感染の収束は不透明であり、各国の中央銀行がすぐに金利政策を引き締める可能性は低いと思われます。そういう意味では、今回の下げはスピード調整とみてよく、大きな下げがあれば買いチャンスといえます。但し、今後も長期金利の動きには注意を必要です。
本日3月1日(月)は。先週末のNYダウは大幅下落で終わっていましたが、米長期金利の上昇一服や、ナスダックが反発した流れを受け、ハイテク株中心に買い戻しも入り、寄り付きは△453円の29419円で始まりました。その後も、先週末の大幅反落の反動や、時間外取引で米株先物高も後押し、前場に29686円まで上昇しました。後場は、利益確定売りに伸び悩む場面もありましたが、中国株や上海株式、ハンセン指数などのアジア株高も支えとなり、大引けにかけて高値圏で推移し、△697円の29663円と大幅上昇して引けました。
(指標)日経平均
先週の予測では、米国株式が堅調であれば日経平均も国内の緊急事態宣言の期限前の解除が一部ある可能性から景気回復期待が高まり、3万円台の値固めが期待できるとしました。
しかし、日経平均は、一部の値ガサ株の銘柄の上昇によって上昇相場が作られており、高値警戒感の中でスピード調整の可能性があるとしました。「2月節分天井 3月彼岸底」を想定しておいた方がよいともしました。
結局、米国の長期金利の上昇から週後半に米国株が下落したことをきっかけに、26日(金)は▲1202円の28966円と今年最大の下げとなり、29000円を割り込んで引けました。
日経平均が調整入りするためには、NYダウがさらに大きく下げる必要がありますが、チャート上は、まだ余裕があります。しかし、日経平均のチャートは2月4日の28325円を切ると短期の調整入りとなります。そのカギを握るのは、3月の第2週、12日(金)のメジャーSQがポイントとなります。ここに向かって下げてくれば、1つ目の買いチャンスといえるでしょう。さらなる下値のメドは、NYダウの調整の程度にかかってきます。
(指標)NYダウ
先週の予測では、引き続きワクチンの接種が順調で、追加経済対策の成立が高まれば、株価の上昇要因になる一方で、高値警戒感も高まっており、資産価格の上昇にも注意が必要としました。
長期金利の上昇が続く中、NYダウは続伸を続け最高値を更新しましたが、25日(木)は長期金利が昨年2月14日以来の急上昇となったことで、借入コストの上昇が経済成長の阻害要因となる懸念から、3指標そろって大幅下落となり、NYダウは2日続けて大幅下落となり、26日(金)は▲469ドルの30932ドルの下落となりました。
柴田罫線のチャートでは、上向きの先細り三角形の保ち合いで、上値抵抗ラインに32000ドルで到達して急反落の形となっています。しばらくは高値更新には時間を要するかもしれません。
柴田罫線を見る限り、当面は3万ドルでいったん止まって調整が必要な形です。実質的には金利も低い水準でマイナス金利ですが、経済の今後の回復に伴うインフレや金利の上昇を織り込んでいるため、その速さが問題となります。VIX指数(恐怖指数)は再び上昇基調にあり、投資家の不安を表しています。そのため金利の上昇を警戒した調整が続くかもしれません。
(指標)ドル/円
先週の予測では、米長期金利や株式の動きによってもみあいを想定しました。
結局、米長期金利の上昇を受けて、ドル買い・円売りが優勢となり、昨年9月以来となる106円台後半までドルが買われました。週始めには、104.92円まで売られたドルも長期金利の上昇につれて25日(木)には10年債利回りが1.389%→1.614%への急上昇となり、26日(金)の週末には、ドルは106.69円まで買われました。引け値は106.57円でした。
今週は、ドルは下げ渋る動きとなりそうです。2月23~24日にパウエル議長の議会証言で、米国経済のスムーズな回復に慎重な見方を示し、物価目標の達成には3年以上かかると述べました。但し、財政支出による景気拡大の期待は持続しており、長期金利の上昇は一服したものの、インフレ鈍化の可能性は低いとみられています。リスク回避のドル売り・円買いは拡大する可能性は低いとみられています。
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