先週の結果は。今年の始めからの予測の結果となりました

著者:出島 昇
投稿:2021/02/01 20:40

 1月25日(月)は、先週の予測では、決算が始まり、様子見となりそうなため一進一退の動きを想定しました。日経平均は、4週連続の陽線となっており、29000円を前に上値の重い展開が続き、上に行くには、いったんスピード調整なり日柄調整が必要なところでした。すでに柴田罫線での上昇の仕方を見ると、「ろく買」という買法則が3回連続で出来上がっており、一般的なチャートでは三空天井という型になってきています。

 そこで先週のコメントには、次のように書きました。『当面は、「上げ続ける相場はない「節分天井・彼岸底」」などの格言を念頭においての投資行動になるとしました。用心して買わずに儲け損なっても実害はないのであるから、無理して買って大きく損をするよりは、いいことだと前向きに考えるべきところです。』としました。

 そして先週は結果的に大きな下落が3回あり、26日(火)の▲276円、28日(木)の▲437円、29日(金)の▲534円と1週間で約1200円の下落となりました。これは決してまぐれの予測ではなく、昨年末に紹介している「柴田罫線 見える化投資」の実践の結果なのです。

 予測は占いではないので、いくつかのシナリオを作って、相場環境を考慮しながらコメントを出しています。今年になって予測の中で、修正を加えながらコメントしたことを取り上げてみます。

1月4日(月)
“もうはまだなり”“まだはもうなり”を考える
 昔から相場の格言の中には、抽象的なものが多く、どうにでも解釈できる無責任なものがあります。昨年から今月までは“まだはもうなり”を都合よく解釈し、みんながもう天井だと出だすとは、まだまだ先があるといって買推奨し、結果的に上昇が続いてきました。今回は、何十年に1回といわれるコロナ対策としての金余りの結果としての上昇となっています。しかし、今年になって、まだまだ上昇するというコメントが市場に溢れ出したことで全員が強くになれば、そこが天井となる可能性が高い場面となりました。トランプ政権からバイデン政権に変わったことで、一度、調整してからの仕切りなおしが必要となります。

1月12日(火)
節分天井・彼岸底って何?
 今年になっての1月も米国株式は強く、日経平均も連動して14日(木)には、ザラ場で28979円と30年5ヶ月ぶりの高値更新をつけました。

 目先は「もうはまだなり」の全員参加型の強気相場となっており、1月20日の大統領就任式では、「楽観ムードが続く可能性があり、その後は要注意」とコメントしました。この日は、急騰していたビットコインが12日の早朝に430」万円→340万円まで20%の暴落となりまいたので、株式市場も近いうちに下げが連想されました。そこで「柴田罫線 見える化投資」の視点で、三空天井形成の動きも見られましたので私のサイト上に次のコメントをだしました。
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相場格言…いつまで続く上昇相場(まだはもうなり)…節分天井、彼岸底って何?

昨年末から今年の始めにかけて、世界中の金余りの中でファンドを通じて株式に資金が流入し、予想を大きく超える上昇となっています。バブルのピーク時に見られるような、買い遅れまいとする投資家が浮足立って買いに走っているという面があるかもしれません、上がり続ける株はありませんので、どこかでいったん急落調整に入る可能性も考えておいた方がいいかもしれません。

12月の始め頃は、トランプ大統領とバイデン次期大統領の絡み合いから政治不安もあり、ほどよく株価が休みを入れながら4月ぐらいまで上昇するシナリオも考えていましたが、ここにきて年末、年始の異常な上昇は相場水準を無視しているのも事実です。そうなるとバイデン次期大統領の大統領就任式は政治的不透明さが後退して1月20日前後以降、調整も頭に入れておく必要があるかもしれません。目先の事例としてビットコインの価格は昨年10月初め頃は100万円前半でしたが、12月に200万円を超え、新年に入って300万円を超え、その後430万円まであって、本日12日の早朝に-20%を超えの340万円まで暴落しました。

相場の格言の中には、相場の上下動のリズムを表してあるものがあります。この時期ですと「節分天井・彼岸底」があります。米相場からきていますが、節分の時期(2月上旬)に高値をつけ、彼岸の時期(3月中旬)に安値をつける習性を表したものです。日本企業の2020年10~12月期決算が2月2日の節分前後までに発表され、良くても悪くても一区切りつくところですので、下げのきっかけになってもおかしくありません。1月20日から2月初旬までは注意しておくのがよいでしょう。全員が強気になっている時は注意!
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1月18日(月)
今週は、基本的には様子見がよい
 今は、新規に買っていくところではなく、調整のタイミングを待って買い場を探すところと思われます。20日の大統領就任式の前後から2月上旬(2月2日)節分の日までが、その可能性(当面のピーク)となるところです。今週は様子見で押し目を待つスタンスといえます。

1月25日(月)
今週も28000円台中心の一進一退の動きだが煮詰まる可能性も
 この大幅下落の週は、次のような予測をだしました。上に行くためには、いったん調整が必要なところです。米株式がそのキッカケを握っています。当面は「上げ続ける相場はない」「節分天井 彼岸底」などの格言を念頭に置いた投資行動が必要

今週は、三空天井が完成して、彼岸底となるためには、NYダウのさらなる下落が必要

 先週の日経平均は、高値警戒感の中、NYダウの大幅下落をキッカケに、日経平均は、26日(火)▲276円、28日(木)▲437円、29日(金)▲534円と3日間で1000円を大きく超える下落となりました。すでに1月上旬に、日経平均は大統領就任式の20日から2月上旬の節分までに、“もうはまだなり”の格言にそって当面の天井を打つことを想定していました。「節分天井 彼岸底」は節分(今年は2月2日)の前後に目先の天井をつけて下落となり、押し目を探して3月上旬ごろに底打ちとなるという格言です。ザラ場では、1月14日が天井ですが、終値ベースでは、先週の25日(月)の28822円が1990年3月以来の高値水準となります。節分(2月2日)の1週間ほど前となります。

 これで当面は天井となって、3月上旬に向けて底打ちの動きとなるかどうかは柴田罫線のチャートの型がまだ不十分です。三空天井(3つの窓を空けて天井を作る)のあと、第3空目のスタートである終値での1月4日の27258円を下に切る必要があります。より確実には1月4日の安値27042円ですが、そうなると三空天井が完成して売転換の型となります。

 これが完成するかどうかは、日本株式の流れでは無理で、NYダウがさらに大きく下げて、後押しする必要があります。そうなると日米同時の調整入りとなります。

 先週は、1週間で1000円以上もの大幅下落ですが、NYダウ次第ではスピード調整か日柄調整が終わって再上昇も考えられなくもありませんが、すぐには高値更新の動きにはなりにくいと思われます。本格的な調整は高値から8%の調整となるのが経験則ですので、27000円を切るのが1つのポイントとなり、次は26000円水準まであれば安心して買えるところとなります。現水準は、リスクをとれる人は、まだ下に1000円の下げは覚悟して買うところかもしれません。但し、銘柄によっては何回かに分けて買い下がることになります。

 これまでは、好悪材料があっても悪材料を無視して好材料だけに目を向けて上昇してきた面があります。これがバイデン政権になって普通の状況になるわけですから悪材料があるときは、それを織り込みながらの上昇となります。新型コロナウイルスの今後の動向は、まだ予断を許しませんが、世界的金余りの中で、株価がある程度支えられながら世界が経済成長へと復帰するシナリオが描けるものと思われます。

 本日2月1日(月)は、△14円の27649円と小幅に寄り付きましたが、先週末の1月29日に時間外取引で米株価先物が下落したことを受け、先週末の日経平均は大幅な下げとなっており、この下げを取り戻す動きとなって、買い戻しが優勢となり、一時もみ合いとなる場面もみられましたが、時間外の米株価先物が上げに転じたことも支えとなり、又、為替のドル・円が1ドル=104.60円の円安も加わって、ジリ高の動きとなり△427円の28091円と28000円台を回復して引けました。

(指標)日経平均

 先週の予測では、国内の決算発表ではハイテク株の好調さと、サービス業のコロナの影響が明暗を分けることになり、これにバイデン政権の米金融政策の方向が焦点となり、さらにコロナ感染状況が注目されますが、目先はNYダウが堅調であれば、一進一退の動きが想定されるとしました。

 しかし、日経平均の下げは、NYダウのキッカケ次第としていましたが、そのNYダウが週半ばから大きく下落したことで、日経平均も連動し週半ば以降は大きく下げました。

 柴田罫線のチャート型で分かるように、すでに三空天井の型を形成しつつあり、キッカケ次第で三空天井の型が完成する動きとなっている状況となっています。

 1月28日(木)の▲437円、29日(金)の▲534円の27663円となって、その方向に動いていますが、確立するためには27258円以下の引線が必要となります。1月4日の27042円を終値で切ると調整が長引くことになります。

 今週の日経平均は、三空天井の型が完成するかどうか、NYダウの動きにかかっています。柴田罫線で見えるように①②③と三空を形成して、ザラ場では1月14日に28979円、終値では25日に28822円と昨年来高値をつけており、ここからの下げが三空天井成立には不足しています。27258円もしくは、1月4日の27042円を終値で切ると本格調整の可能性もありますが、下げが中途半端ならスピード調整や日柄調整で終わることもあります。すべて今後のNYダウ次第となります。
 

 

(指標)NYダウ

 先週の予測では、引き続きアップルを代表とするハイテク株の決算発表の好調な結果が相場を引っ張る一方で、バイデン政権の戦略の不透明さが出てくるところであり、一進一退の動きを想定しました。

 しかし、結果的には、高値圏での警戒感が強く、悪材料に大きく反応する相場になってきました。週半ばの1月27日(水)は、ヘッジファンドのカラ売りが多い「ボロ株」が急騰し、投機的な色合いが強くなり、損失を受けたヘッジファンドが投売りをし、NYダウは▲633ドルと大幅下落となりました。28日(木)は△300ドルとリバウンドしたものの、週末の29日(金)は、ネット証券ロビンフットが急騰銘柄の売買制限をしたかと思うと、すぐに緩和されたことでファンドなどが市場の混乱を懸念し、NYダウは▲620ドルの29982ドルと昨年12月14日以来の3万ドル割れとなって、柴田罫線では1回目の売転換が出てきました。11月13日の29203ドルを切ると調整が長引く可能性があります。

 今週は、引き続き、ネット証券ロビンフットの動きに示されたように投機の過熱状況や流動性リスクに注意が必要となります。一方で、ワクチン普及が進めば相場にはプラス要因となります。ただし、雇用情勢はウイルス感染の拡大が止まらないために経済活動が停滞しているままとなっています。
 

 

(指標)ドル/円

 先週は26~27日のFOMCで、金融政策の現状維持が予想通り決定されましたが、欧米株安を警戒してユーロ、豪ドル、新興国通貨に対してドル買いが強まり、このためドル買い・円売り優勢となり、104.94円まで円安が進行しました。

 今週は、リスク回避のドル買いが継続する可能性が高いと思われます。1月の雇用統計が弱ければ株は売られ、リスク回避のドル買いが続く可能性があります。今後、経済指標や企業業績がクローズアップされる見通しのため株式市場が悪化すれば、リスク回避の円高が高まることになります。又、欧州中央銀行(ECB)からユーロ高のけん制発言が相次いでいるためユーロ売り・ドル買いも継続しそうです。
 

 

配信元: みんかぶ株式コラム