■要約
天昇電気工業<6776>は、1936年(昭和11年)に創業した歴史のある合成樹脂(プラスチック)成形品メーカーである。その間に培われた技術力は高く、顧客との信頼関係も厚い。製品の向け先は幅広い業種に及んでいるが、現在は自動車向けの比率が高い(約60%)。今後は、内需向けの製品を拡充する方針である。長い間業績低迷に苦しんだが、2017年3月期に9年ぶりに復配(年間3円)した。その後も業績は堅調に推移し古豪復活の感があり、今後の動向が注目される。
1. 2021年3月期第2四半期の連結業績
2021年3月期第2四半期の連結業績は、売上高6,659百万円(前年同期比27.0%減)、営業利益3百万円(同99.4%減)、経常損失21百万円(前年同期は547百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失6百万円(同359百万円の利益)となった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響により主力の自動車向けが第1四半期に大幅減となった。第2四半期に入って回復傾向が見え、第1四半期の損失を十分には補えなかったものの累計期間で3百万円の営業利益を確保した。厳しい上期となったが、9月以降の単月ベースでは、かなり高い水準まで回復している。
2. 2021年3月期の業績見通し
2021年3月期通期の業績は、売上高16,000百万円(前期比12.8%減)、営業利益100百万円(同90.4%減)、経常利益80百万円(同92.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益50百万円(同92.9%減)を予想している。コロナ禍の影響により先行きが不透明であること及び、主要顧客である大手自動車メーカーの生産予定が明白ではないなかでの予想となった。また、足元では新型コロナウイルス感染症が特に欧米で再拡大している傾向であるため、会社は今後の状況を慎重に見ている。
3. 年間3円配当は継続。今後の収益動向と配当政策は要注目
同社は2016年3月期まで9年間無配を続けていたが、2017年3月期には大幅増益を達成、収益基盤も安定してきたことから、年間3円の復配を実施し、2020年3月期まで年間3円の配当を継続している。本来であれば2021年3月期にも増配の可能性があったが、コロナ禍の影響により厳しい業績見通しとなっている。現時点の予想利益では年間3円の配当も容易ではないが、同社は「株主に報いるため3円配当は継続する」と述べている。またコロナ禍の収束後を見据えて、設備投資計画やM&Aなどに対して前向きに検討する姿勢は崩しておらず、今後の動向には注目する必要がある。
■Key Points
・プラスチック製品の老舗メーカー。技術力は高く顧客からの信頼は厚い
・2021年3月期は先行き不透明だが営業利益100百万円予想
・年3円配当は継続。設備投資やM&Aは前向きに検討
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<EY>
天昇電気工業<6776>は、1936年(昭和11年)に創業した歴史のある合成樹脂(プラスチック)成形品メーカーである。その間に培われた技術力は高く、顧客との信頼関係も厚い。製品の向け先は幅広い業種に及んでいるが、現在は自動車向けの比率が高い(約60%)。今後は、内需向けの製品を拡充する方針である。長い間業績低迷に苦しんだが、2017年3月期に9年ぶりに復配(年間3円)した。その後も業績は堅調に推移し古豪復活の感があり、今後の動向が注目される。
1. 2021年3月期第2四半期の連結業績
2021年3月期第2四半期の連結業績は、売上高6,659百万円(前年同期比27.0%減)、営業利益3百万円(同99.4%減)、経常損失21百万円(前年同期は547百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失6百万円(同359百万円の利益)となった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響により主力の自動車向けが第1四半期に大幅減となった。第2四半期に入って回復傾向が見え、第1四半期の損失を十分には補えなかったものの累計期間で3百万円の営業利益を確保した。厳しい上期となったが、9月以降の単月ベースでは、かなり高い水準まで回復している。
2. 2021年3月期の業績見通し
2021年3月期通期の業績は、売上高16,000百万円(前期比12.8%減)、営業利益100百万円(同90.4%減)、経常利益80百万円(同92.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益50百万円(同92.9%減)を予想している。コロナ禍の影響により先行きが不透明であること及び、主要顧客である大手自動車メーカーの生産予定が明白ではないなかでの予想となった。また、足元では新型コロナウイルス感染症が特に欧米で再拡大している傾向であるため、会社は今後の状況を慎重に見ている。
3. 年間3円配当は継続。今後の収益動向と配当政策は要注目
同社は2016年3月期まで9年間無配を続けていたが、2017年3月期には大幅増益を達成、収益基盤も安定してきたことから、年間3円の復配を実施し、2020年3月期まで年間3円の配当を継続している。本来であれば2021年3月期にも増配の可能性があったが、コロナ禍の影響により厳しい業績見通しとなっている。現時点の予想利益では年間3円の配当も容易ではないが、同社は「株主に報いるため3円配当は継続する」と述べている。またコロナ禍の収束後を見据えて、設備投資計画やM&Aなどに対して前向きに検討する姿勢は崩しておらず、今後の動向には注目する必要がある。
■Key Points
・プラスチック製品の老舗メーカー。技術力は高く顧客からの信頼は厚い
・2021年3月期は先行き不透明だが営業利益100百万円予想
・年3円配当は継続。設備投資やM&Aは前向きに検討
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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