「薄商いのなか引けピン、強い先高観」~黒岩の眼(夕刊)

著者:黒岩泰
投稿:2020/12/28 15:27

ボックス突破が視野に・・・

 本日の日経平均は197.42円高の26854.03円で取引を終了した。朝方から堅調なスタートとなり、その後は上値を試す展開。引けにかけて上昇幅が拡大し、いわゆる引けピン(高値引け)となった。

 上昇の要因となったのが、米経済対策が順調に進みそうなこと。朝方、トランプ大統領が法案に署名したと伝わり、楽観的なムードが広がった。東京株式市場では主力銘柄のなかでも出遅れセクターに買いが入り、全体相場を押し上げる形。日経平均は2営業日前の長い上ひげを突破しており、強い先高観が出ている。このまま高値突破しそうな雰囲気だ。

 その一方で下落が目立ったのが、直近IPO銘柄だ。マザーズ指数はわずかにマイナスとなっており、新興市場から資金流出が強まっている。「新興株売り、主力株買い」の動きが継続しており、日経平均型、TOPIX型への資金シフトが鮮明になっている。「アフターコロナ(経済正常化)」への期待が高まっており、出遅れ銘柄を物色する流れにもなっている。市場にある「ワクチンが出てくれば元に戻る」とのコンセンサスが、このような物色傾向を強めさせているのだろう。

 投資家はこういった流れを的確に捉え、「買いポジション」を維持しなければならない。日経平均は足元で窓を空けて上昇。そしてボックス相場の上限に接近している。ローソク足での先高観は強く、上昇突破の可能性は高まっている。売買代金は相変わらずの低水準ではあるが、「閑散に売りなし」が需給悪化リスクを後退させている。明確な買い材料がなくても、ここは勇気を持って買い進むしかない。

黒岩泰
株式アナリスト
配信元: 達人の予想