【米雇用統計】5か月連続の非農業部門雇用者数の伸び鈍化も、雇用市場の堅調さは維持へ

著者:MINKABU PRESS
投稿:2020/11/29 15:10
 4日に11月の米雇用統計が発表されます。非農業部門雇用者数(NFP)は52万人増と、前回の63.8万人増から伸びが鈍化する見込みとなっています。見通し通りの結果が出ると、5か月連続の鈍化となります。失業率は6.8%と0.1ポイントの低下見込みです。

 前回10月分の雇用統計は事前予想の58.0万人に対して、63.8万人と9月の67.2万人(改定値・速報時点では66.1万人)からは鈍化したものの、まずまずの好結果となりました。国勢調査関連での政府部門の臨時雇用が終了したことで、政府部門が26.8万人減となりましたが、民間部門だけで見ると90.6万人増となっており、4か月ぶりに前月の伸びを上回る結果となっています。

 失業率も予想の7.7%に対して6.9%と、9月分の7.9%から1ポイントの大きな下落となりました。正規雇用を望みながらパートタイムに従事している人や、働く用意はあるが雇用環境などから職探しをしていない人などを含んだ広義の失業率(U6失業率)は12.1%と9月分の12.8%から0.7ポイントの下落となっています。

 部門別の内訳をみると、パンデミックで雇用がほぼ半減したレジャー&ホスピタリティ部門が27.1万人増と、9月の40.6万人増ほどではないもののかなりの増加となりました。レストラン・バーなどの飲食部門、ホテルなどのアコモデーション部門、劇場・カジノなどのアミューズメント部門からなるこの部門は、2月時点での雇用者数1686.7万人が、3月、4月のパンデミックで854.9万人まで減少。新型コロナウイルスの影響を最も受けた部門の一つとなりました。そこから1338.1万人と、2月の2割減近くまで雇用が戻ってきています。閉店したレストランチェーンやアミューズメント施設などの状況を考えると、パンデミック前の水準に戻すにはかなり厳しく、大きな回復もそろそろ厳しいというタイミングで新型コロナウイルスの感染第3波の流れが強まっていることで、今回の予想がつきにくい部門でもあります。
 
レジャー&ホスピタリティ部門ほどではないものの、3月、4月で238.4万人の雇用が減少した小売部門は、2月の15672.0万人に対して10月時点で15173.5万人と、96.8%まで雇用が戻っています。

こうした状況を考えると、今回どこまでの雇用増が見られるかは微妙なところです。ただ、全体としてはまだ2月の雇用者数1億5246.3万人にたいして1億4237.3万人と依然1千万人ほど雇用が少ないこと、前回の政府部門で見られた国勢調査がらみの特殊要因による減少が今回はあまりないと考えられることなどから、予想前後の伸びは十分にありそう。 

予想前後の雇用の回復や失業率の低下が見られると、米景況感の堅調さや、早ければ12月11日から供給開始となるとみられる新型コロナウイルス向けワクチンへの期待感なども加わって、リスク選好の動きが加速する可能性もありそうです。

MINKABU PRESS 山岡和雅

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