~超硬小径エンドミルで業界No.1、開発センターの新設で次に備える~
・新型コロナウイルスの影響が自動車関連、電子部品関連の減産に大きく出ている。当社のビジネスにも影響が及んでおり、1Qは5割強の減益となったが、2Q四半期の会社計画では赤字を見込んでいる。よって、上期は大幅減益となろうが、需要はやや好転してくるので、下期からは回復してこよう。遅れ気味であるが、5GやDX、製品のインテリジェント化がリードしてこよう。
・今年1月に開催したプライベート展示会(「NS TOOL プライベートショウ2020」)は、画期的であった。当社の超硬工具の用途開発を機械メーカーと一緒になって顧客に提示した。3月から本格稼働した新開発センターでも、実際の加工ができるように新たな機械も揃え、次のニーズ開発に活かしていく。しかし、内外への出張がままならず、対面営業も制約されている。こうした影響を克服していくには少し時間を要しよう。
・自動車関連では、LEDライトの普及にみられるデザイン性の向上や、ADAS(先進運転支援システム)の拡がりが精密工具の需要に結びついている。5G関連もすでに製品化の段階に進み、新しい精密加工の分野が本格化しよう。5Gは、スマホはもちろん、IoTを通して社会インフラに波及していくので、今後への期待は大きい。
・新開発センター(投資額13億円)は、仙台工場の敷地に完成した。精密加工に必須の先進的な免震・制震構造を取り入れたオールラウンド免震構造である。精密電子デバイスの新分野は、当社の工具需要に一段と結びつこう。コロナ対応では、当社製品の在庫センターを仙台工場内にも配置した。不測の事態も考慮して、供給体制の分散化を図った。
・後藤社長の経営哲学は、利益率重視で規模は追わない。顧客が新製品の加工方法を開発している段階から関わっていく。コーティングを強化した新製品も強化している。業界トップのCBN(立方晶窒化ホウ素)素材小径エンドミルは用途が広がっている。PCD(ダイヤモンド焼結体)素材のエンドミルも、鏡面加工の分野などで市場開拓が始まっている。
・業績は大きく落ち込むが、新規市場の広がりも加わって、来期からは浮上してこよう。目標とする売上高経常利益率20%への復帰は3年後には期待できよう。グローバルな競争力は高まっている。ニッチな市場で高収益を実現する企業として引き続き注目したい。
目 次
1.特色 超硬小径エンドミルで業界トップ
2.強み 一貫した集中と差異化で攻める
3.中期経営戦略 さらなる小径化・長寿命化を進め、内外の新市場を開拓
4.プライベートショウ ユニークな精密・微細加工技術展を開催
5.当面の業績 調整局面を乗り切り、来期から回復へ
6.企業評価 競争力を強化し、高収益への復帰
企業レーティング | A |
---|---|
株価 (2020年8月19日) |
2495円 |
時価総額 | 312億円 (12.5百万株) |
PBR | 2.18倍 |
ROE | 3.3% |
PER | 65.0倍 |
配当利回り | 1.0% |
総資産 | 15488百万円 |
純資産 | 14418百万円 |
自己資本比率 | 92.3% |
BPS | 1143.3円 |
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | 配当 |
---|---|---|---|---|---|---|
2013.3 | 5997 | 921 | 951 | 527 | 42.2 | 9.75 |
2014.3 | 6418 | 1069 | 1107 | 694 | 55.6 | 15.0 |
2015.3 | 7402 | 1481 | 1534 | 973 | 77.9 | 20.0 |
2016.3 | 8382 | 1914 | 1954 | 1342 | 107.4 | 25.0 |
2017.3 | 8825 | 2013 | 2026 | 1420 | 113.6 | 40.0 |
2018.3 | 9767 | 2685 | 2733 | 1903 | 152.2 | 45.0 |
2019.3 | 10476 | 2879 | 2894 | 1970 | 157.6 | 45.0 |
2020.3 | 9531 | 2219 | 2231 | 1545 | 123.6 | 45.0 |
2021.3(予) | 7400 | 800 | 800 | 480 | 38.4 | 25.0 |
2022.3(予) | 8500 | 1200 | 1200 | 780 | 62.4 | 35.0 |
(2020.5ベース)
(注)ROE、PER、配当利回りは今期予想ベース。2014年10月に1:2、2017年1月に1:2の株式分割を実施。2016.3期以前のEPS、配当は修正ベース。2014.3期は60周年記念配(5円相当)、2017.3期は2部上場記念配(5円)、2018.3期は1部上場記念配(5円)を含む。
企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。
レポート全文はこちらから
http://www.belletk.com/niltusinnkougu202008.pdf
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