豪ドル
豪州でコロナの感染者が増加しています。メルボルンは9日から6週間のロックダウン(都市封鎖)を実施。また、ニューサウスウェールズ州(州都シドニー)ではコロナのクラスター(集団感染)が発生しました。
足もとの豪ドルは投資家のリスク意識の変化(リスクオン/リスクオフ)を反映しやすい地合いとなっており、メルボルンのロックダウンやコロナの感染拡大は、市場でそれほど材料視されていないようにみえます。ただ、メルボルン以外の都市でロックダウンが実施される状況になれば、豪景気の先行きをめぐる懸念が市場で浮上するかもしれません。その場合、豪ドルは上値が重くなると考えられます。
NZドル
NZドルは豪ドルと同様、投資家のリスク意識の変化を反映しやすいという特徴があります。来週(7/20- )はNZの6月貿易収支が24日に発表されますが、材料としては力不足と考えられます。引き続き、主要国の株価動向やコロナのワクチン開発に関する報道などを受けた投資家のリスク意識の変化にNZドルは影響を受けやすい地合いになりそうです。リスクオンの動きになれば、NZドルは堅調に推移するとみられます。
カナダドル
OPEC(石油輸出国機構)加盟国と非加盟主要産油国で構成する “OPECプラス”は15日、8月の協調減産の規模を日量770万バレルにすると決定。減産の規模は7月の960万バレルから縮小することになりました。
主要国が経済活動を再開したことで原油の需要は持ち直しているものの、OPECプラスが減産の規模を縮小することは、原油価格(米WTI原油先物など)の上値を抑えそうです。
カナダドルは原油価格の動向に影響を受けやすい地合いであり、この状況は当面続くとみられます。原油価格が軟調に推移すれば、カナダドルは上値が重い展開になりそうです。
来週(7/20- )はカナダの5月小売売上高(21日)や6月消費者物価指数(22日)が発表されます。ただ、最近のカナダドルは経済指標の結果に反応した場合でも、それは一時的に終わることが続いており、今回も同様になるかもしれません。
なお、BOC(カナダ中銀)は15日の会合で金融政策の現状維持を決定。政策金利(0.25%)と量的緩和の規模(カナダ国債を少なくとも週50億カナダドル購入)のいずれも据え置きました。
トルコリラ
TCMB(トルコ中銀)が23日に政策金利を発表します。その結果にトルコリラが反応する可能性があります。
TCMBは2020年5月まで9会合連続で利下げを実施。6月25日の前回会合では、コアインフレ指標のトレンドがやや加速したことを理由に政策金利を8.25%に据え置きました。
トルコの6月CPI(消費者物価指数)は前年比12.62%と、5月の11.39%から上昇率が加速。2019年8月以来の強い伸びを示しました。インフレ圧力の高まりを背景に、TCMBは7月23日の会合で政策金利を据え置くとみられます。その通りの結果になれば、焦点は声明で“金融政策の先行きについて新たな材料が提供されるか”。市場では政策金利の据え置きについて“利下げ局面における一時的な休止”との見方がある一方、“利下げ局面は終了した”との見方もあります。声明が前者の見方を強める内容になれば、トルコリラは軟調に推移しそうです。
南アフリカランド
23日、SARB(南アフリカ中銀)が政策金利を発表します。新型コロナウイルスの影響によって南アフリカ経済は打撃を受けており、またCPI(消費者物価指数)上昇率も鈍化したことから、SARBは利下げに踏み切るとみられます(利下げ幅は0.25%か)。5月のCPI上昇率は前年比2.1%と、4月の3.0%から鈍化し、SARBのインフレ目標の下限である3%を下回りました。
市場ではSARBが0.25%の利下げを決定するとの見方が有力。その通りの結果になれば、クガニャゴ総裁が会見で南アフリカの景気やインフレについてどのような見解を示すかが焦点になりそうです。景気やインフレについて慎重な見方を示した場合、追加利下げ観測が市場で浮上してランドが弱含む可能性があります。
メキシコペソ
来週(7/20- )は、22日にメキシコの5月小売売上高が発表されます。ただ、足もとのペソはメキシコの経済指標に対する反応は限定的であり、原油価格(米WTI原油先物)により反応しやすい地合いとなっています。
原油価格については、“OPECプラス”の協調減産の規模縮小が市場で意識される可能性があります。その場合、原油価格は上値が重い展開になるとみられ、メキシコペソは軟調に推移しそうです。ペソ/円は目先の下値メドとして、4.620円(6/29安値)が挙げられます。OPECプラスは8月から協調減産の規模を現行の日量960万バレルから770万バレルへと縮小します。
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