ワクチン開発への期待などでドル円は一時106.65円付近まで下落=NY為替前半

著者:MINKABU PRESS
投稿:2020/07/16 02:00
 きょうも市場はリスク選好の雰囲気が広がり、NY為替市場はドル売りが優勢となった。ドル円はロンドン時間から一本調子の下げを続け、再び106円台に値を落としている。一時106.65円付近まで下落。

 感染第2波や米中対立への懸念は根強いものの、ワクチン開発への期待と、今週から始まっている米企業決算への期待が市場のムードをサポートしているようだ。ワクチン開発については、モデルナ社が新型ウイルス向けmRNAワクチンの初期段階の臨床試験で、45名の被験者全員に抗体が確認されたと伝わったことで期待感を高めている模様。また、この日発表のゴールドマンの決算が好調だったことが、この日のムードを高めている。

 下値では日本の機関投資家などの買いも期待できそうだが、再び21日線を下放れる展開が見られており、本格的な下値模索になるか、気掛かりな展開が続いている。106.70円が1つのポイントと見られているようで、きょうもその水準を一時割り込む動きを見せた。106.70円水準をブレイクするようであれば、5月、6月にサポートされた106円ちょうどの水準を視野に入れそうだ。

 ただ、米株がIT・ハイテク株中心に伸び悩む動きを見せていることで、ドル売りが一服しており、106.70円水準はひとまず維持されている格好。

 ユーロドルも1.14ドルちょうど付近に伸び悩む動きを見せているものの、きょうは一時1.1450ドル付近まで上昇し、6月に上値を抑えた1.1420ドル水準を上抜く動きも見せていた。1.14ドル台を固め、その後に1.15ドルを目指す展開となるか注目される。為替市場はドル安の受け皿としてユーロの見直し買いを強めておいる。

 明日はECB理事会が予定。政策は据え置きが濃厚だが、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の今後についてラガルド総裁が何らかのヒントを示すか注目される。一部からは、ECBが翌日からのEU首脳会談に向けた2次的役割を演じることを強調するかもしれないとの指摘が聞かれる。事実上の財政ファイナンス。ただ、これまでECBは相当の緩和策を既に実施して来ており、今後の経済指標を待ちたい意向が強いものと思われる。基本的に今回は無難な通過が見込まれているようだ。

 ポンドドルも戻り売りに押され1.25ドル台に再び値を落としているものの、一時1.2650ドル近辺まで上昇していた。しかし、1.2650ドルから、200日線が控える1.27ドルちょうど付近にかけては戻り売り圧力も強いようで上値も重い。

 ジョンソン政権は新型ウイルス対策で巨額の財政支出を実施しており、先の総選挙では所得税や国民保険負担率、付加価値税(VAT)の引き上げはしないと公約していた。同国の今年度の財政赤字はGDPの約17%に達するとの試算も出ている。そのような中、スナック英財務相は、財政赤字穴埋めのために、株や不動産取引の利益に課税するキャピタルゲイン課税の見直しを指示したと伝わっている。独立した助言機関である租税簡素化室(OTS)に対し、税収などの調査を書簡で要請したという。なお、英財務省はコメントしていない。

 きょうはカナダ中銀の政策委員会の結果が公表され、政策金利は大方の予想通りに据え置きとなった。一部では国債購入のペース拡大を打ち出すのではとも見られていたが、現行の少なくとも週50億加ドルのペースでの購入維持している。一方、しばらく現行の低金利が維持される見通しは示していた。ただ、それ自体のカナダドルの反応は限定的だった。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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