株式会社グッドコムアセット代表取締役社長 長嶋義和氏-Vol.2-
既存事業で“毎期30%超増収”目指す、利益上乗せへ新分野開拓 グッドコムアセット・長嶋社長に聞く
会社名 | 株式会社グッドコムアセット |
証券コード | 東証一部 <3475> |
代表者 | 代表取締役社長 長嶋義和 |
略歴 | 1969年千葉県生まれ。1993年から不動産会社の営業職で経験を積み、2005年、35歳の時に当社設立。設立時より株式上場を目指し、2016年12月にジャスダックに上場。2017年6月には東証二部に市場変更し、2018年4月、東証一部に指定される。 |
所在地 | 東京都新宿区西新宿七丁目20番1号 住友不動産西新宿ビル17F |
設立 | 2005年11月 |
事業 | 自社ブランド「GENOVIA」シリーズの新築マンションの企画・開発・販売・管理 |
資本金 | 15億9,274万円(2020年3月16日時点) |
資本準備金 | 15億124万円(2020年3月16日時点) |
決算期 | 10月 |
URL | https://www.goodcomasset.co.jp/ |
通期業績の達成と積極的な新規事業を展開
富山蔵人氏(株式会社ウィルズ:以下、富山):新型コロナウイルスの感染拡大で日本中が大変な状況ですが、御社の事業への影響はいかがですか。
長嶋義和氏(株式会社グッドコムアセット 代表取締役社長:以下、長嶋):当社の顧客の多くは、公務員の方となります。公務員の方は民間企業の方々に比べ、景気に左右されにくく、安定した収入、雇用によって金融機関から絶大な信用があり、販売について特に影響はありません。このような時期ですから安定財産としての不動産投資は需要があると考えておりまして、実際、公務員の方々の消費マインドは高まっています。
富山:では今期の業績は心配なさそうですね。
長嶋:おっしゃる通りです。第2四半期は予定通りに着地しまして、第3四半期の累計見込は、約600戸を販売し、売上高は約210億円を計上予定です。
先ほども申し上げたとおり、公務員の方々は金融機関からの信用があり、消費マインドが高まっています。
また、新入社員が50名入社いたしました。国内自社販売に約40名が配属され、研修中にも関わらず、すでに成果を出している社員も数名おります。新卒が即戦力として活躍できているのも通期の達成確度が高いと言える要因となります。
富山:かなり採用されましたね。新卒社員は戦力になるまで結構時間がかかるのではないのでしょうか。
長嶋:当社では、採用・教育部による研修、顧問弁護士によるコンプライアンス研修、外部講師による研修等を実施しており、研修や教育については充実しています。顧問弁護士や外部講師については、毎月実施しており、既存社員ももちろん受けています。1人前になるまでには2~3年が必要ですが、新入社員でも研修中にも関わらず、入社1ヵ月程度で成果を出せる環境を用意しており、実際に数名成果を出しています。
また、国家資格である宅地建物取引士の研修や資格手当等の支援を行っていますので、積極的に勉強する雰囲気で教育の環境は揃っていると思います。
富山:最近はコロナの影響で採用枠を減らす企業が増えていると聞きます。御社はどうでしょうか。
長嶋:当社は、人財が売上を作る基本ですので、採用は今後もさらに増やしていくつもりです。やはり、日本経済を支えるのは「人」です。当社も2019年に経団連に加入し、持続可能な社会の形成に寄与するためには、雇用を継続して増やしていくことこそが、一つの貢献だと思っています。
富山:人財が増えればそれだけ業績が拡大するということですね。
長嶋:はい。公務員の方は全国に300万人以上いらっしゃるので、人員を増加し販路を拡大させながら全国の方に当社のファンになってもらいたいと思います。公務員の方の購入需要は高まってますしね。
富山:業績が順調で何よりです。また、今期に子会社を設立しましたよね。不動産とは全く関係のない事業だとか。
長嶋:そうです。ベンチャー育成という社会貢献的な目的で、IPOや上場会社を支援する株式会社キャピタルサポートコンサルティング(以下「CSC」といいます。)を設立しました。事業内容は、未上場企業のIPO支援や上場企業のIR支援として、専門的なアドバイスや細かい書類チェックなどを行います。また、上場を目指すベンチャー企業への投資、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)も積極的に行っていきますが、CSCがコンサルティングをすることで、IPOの確度が高くなり、大きなキャピタルゲインを得れると思います。また、業績や経営判断等で上場を諦めたとしても、シナジー効果がある場合は当社グループ化、または、他社にご提案するという道もあります。出資の対象会社は、不動産に限らず、全業種が対象となります。例えば、IT企業でもOKです。
富山:全く関係のない事業を1から立ち上げるのは中々難しいことだと思うのですが、実際にコンサルティングはどのような方々が行うのでしょうか。
長嶋:外部から専門家を招聘しました。前職は主幹事証券会社の引受部門の責任者を長く務めて多くの会社のIPOを実現させた方で、その方の右腕として活躍されていた若い方も招きました。取引所の審査は厳しいといわれますが、それについて非常に詳しく、証券会社の意図もよく理解しています。また、実際に一般の事業会社に長く在籍し、上場準備の経験や東証1部まで上場させた実績もありますので、かなり貴重な人財だと思います。
CSCのもう一つ大きな特徴は、上場会社のIRや資本政策、株主対応などのコンサルもでき、IPO前からIPO後も、トータルでアドバイスできるコンサルは、まず殆どないと思います。実は当社も、以前よりお世話になっており、きちんと色々調べてくれて、単に一般的な話でなく、本当に会社に寄り添った適切なアドバイスをしてくれるので、とても感謝しています。
富山:これからがとても楽しみですね。
長嶋:そうですね。CSCは、上場準備で不安を抱えている会社や、上場して株価やIRで悩んでいる会社にはうってつけの会社です。これから、コンサル契約を増やしていき、並行して、その中からベンチャー投資を行っていく。そして、案件が増えてきましたら、増員して徐々に会社を大きくしていけたらと思います。
富山:新規事業にも積極的な御社は、M&Aも行う予定だとか。
長嶋:家賃債務保証会社のM&Aを検討しており、2020年の9月頃の株式取得を目指して進めております。
富山:家賃債務保証はどのような事業なのですか。
長嶋:家賃債務保証会社は、入居希望者が賃貸借契約の際に入居希望者の信用を保証し、入居期間中に家賃等の滞納が発生した場合には一定の範囲内で家賃等を立て替える会社になります。
富山:なぜM&Aを検討することになったのですか?
長嶋:2020年の民法改正により、賃貸借契約時の連帯保証人が保護され、連帯保証契約が厳格化され、個人で連帯保証人になる方が極端に減少し、今後、家賃債務保証会社の利用が激増すると予想しています。
富山:そうなんですね。家賃保証会社の利用が増えるためということですね。
長嶋:それだけではないです。当社グループには、賃貸管理・建物管理を行う㈱グッドコムがあります。当社の物件へ入居する方にも家賃債務保証会社を紹介しており、この家賃債務保証会社をグループ化することで、効率的に顧客獲得が可能となり、当社グループの収益拡大ができると考えています。
富山:御社の物件に入居される際は、子会社の㈱グッドコムが賃貸管理業務を行い、家賃保証等の業務をM&Aを検討されている会社が行うという、すべてグループで行ってしまうということですね。
長嶋:そうです。現在、当社は、賃貸管理や家賃債務保証だけでなく様々な不動産に関連する業務を委託しています。将来的には、委託している業務を内製化し、すべてグループで行えるよう事業領域を拡大していきたいと考えています。
富山:そのように事業領域を拡大していくことによって、毎期売上高30%超の成長を続け、2026年10月期の決算発表時に時価総額1,000億円を達成するということになるのでしょうか。
長嶋:もちろん新規事業も積極的に行っていきますが、既存事業のみで毎期売上高30%超の成長と時価総額1,000億円の達成は可能だと考えております。新規事業は、プラスアルファ部分だとご認識していただければと思います。
富山:既存事業だけでも可能というのはすごいですね。公務員の方々は投資にかなり興味があるのでしょうか。
長嶋:公務員の方々は、積極的な投資というよりも安定した投資を好むのではないかと思います。その点当社の扱う不動産投資は、一般的にその他の投資と比べると安定した収益を得やすいと言われます。
また、投資という観点ではなく、生命保険の代わりにという方が多くいらっしゃいます。購入の際に住宅ローンを組むと、団体信用生命保険に加入します。死亡や高度障害等の万が一の際には、残りのローンを保険会社が支払ってくれます。残された家族は、不動産が資産となり、月々の家賃収入を受け取ることもできますし、不動産そのものを売却して一括で大きな資金を得ることも可能です。
富山:選択肢があるのはいいですね。
長嶋:例えば、月々の家賃を受け取るのであれば、収入保障型の保険に加入されているのと同等だと思います。月々の支払いや将来的にどの程度違いがでるのか等を比較することで、不動産投資を選択いただくこともありますし、保険の内容を手厚くするということで、生命保険にプラスしてという方も当然いらっしゃいます。人それぞれ内容が違うのが当たり前なので、様々なご提案をさせていただいています。
富山:全国の公務員を対象に販売をするということで、かなり販売は進みそうですが、販売するマンションの仕入はいかがでしょうか。
長嶋:仕入も好調に進んでおります。当社は、一般の不動産会社に比べ自己資本比率が高いです。
そのため、ご紹介も増加しており、財務体質の良さで仕入ができています。毎期、30%超の増収増益を達成するためには、仕入もかなり重要になりますので、財務体質の健全性を確保しながら新規取引先の開拓を行っていかなければなりません。
富山:仕入も順調ということで、毎期30%超の増収増益、時価総額1,000億円は順調に進んでそうですね。
長嶋:販売や仕入も順調に進んでいますので、30%超の増収増益は達成できると考えております。また、キャピタルサポートコンサルティングが軌道に乗り、賃貸保証会社もシナジーが出ることで、さらに達成の確度は高まると考えます。海外販売やGood Com Fund事業等、全ての事業で結果が出るようにしていきたいですね。
富山:Good Com Fund事業はどのように進捗しているのでしょうか。
長嶋:Good Com Fund事業はコロナウイルスの影響を受けまして、セミナーの開催が難しくなりました。現在は、セミナーをオンラインにすることや、その他方針を検討しております。新たに7月にファンドを公開する予定であり、浅草という立地で、利回りは4.41%、実質利回りで3.01%を予定しております。今回は10万円から投資が可能なため、多くの方に参加いただけると思います。前回までは相続対策としての販売活動がメインでしたが、最低投資金額が下がったため、不動産投資に興味がある方にも参加いただきたいです。
富山:1口10万円であれば、かなり投資のハードルは下がったと思います。
長嶋:そうですね。任意組合方式で1口10万円で募集している会社は当社のみですね。インターネットという特性を生かし、利回りを維持する投資額で設定いたしました。来期に販売を加速するための試運転として今期は色々と試そうと思います。
富山:今までどの企業もやってきていない全く新しい事業なので、試行錯誤されるという事ですね。
長嶋:この事業については、かなり需要はあると考えておりますので、一度軌道に乗れば事業の柱になると考えております。
富山:今後の事業に期待しております。本日はありがとうございました。
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