■要約
イー・ガーディアン<6050>は、eコマース(EC)やSNS、ソーシャルゲームの運営者向けに監視や顧客サポートなどを中心に、サイバーセキュリティからデバッグ、運用までをワンストップで提供する総合ネットセキュリティ企業である。1998年にコンテンツプロバイダとして誕生し、インターネット業界の創成期に様々な新事業を手掛けるなかで2005年に掲示板投稿監視事業に一本化し、イー・ガーディアン株式会社に商号変更した。2010年に東証マザーズに上場してからは、人材派遣業、デバッグ事業、ネットセキュリティコンサルティング事業、クラウド型サイバーセキュリティ事業等をM&Aで獲得し、“総合ネットセキュリティ企業”としての基盤を確立した。海外展開においては、E-Guardian Philippines Inc.(2017年設立)が拡大中。直近ではクラウド型セキュリティサービスの(株)グレスアベイルを子会社化(2019年)、(株)サイバー・コミュニケーションズとネット広告関連業務BPOを行う合弁会社設立(2020年)など、新分野を強化している。現在はグループ会社5社、国内外15都市に24拠点を持ち、1,591名の従業員(うち臨時従業員数1,222名)を抱える企業グループとなっている。2016年9月に東証1部に昇格した。
1. 事業概要
売上高の主力はソーシャルサポート業務とゲームサポート業務であり、2業務で全社売上高の7割以上(73.3%)を構成する。同社の強みは、「人」が運用ノウハウやデータを蓄積し、それを活用して独自開発した「AI・システム」により運用を効率化することで、低コストで高品質なサービスを提供するところにある。結果として高い収益性(2019年9月期の売上高営業利益率は17.9%)が実現される。
2. 業績動向
2020年9月期第2四半期の連結業績は、売上高が前期比16.2%増の3,738百万円、営業利益が同9.6%増の631百万円、経常利益が同7.7%増の646百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同9.6%増の431百万円と当初計画を上回る増収増益となった。売上面で成長をけん引したのは、ソーシャルサポート業務。ソーシャルサポート業務では、キャッシュレス決済関連の加盟店審査や不正取引の監視、シェアリングサービス関連の本人確認や不正取引の監視、エデュテック(教育のデジタル化)関連での業務代行などが伸びに貢献した。
利益面では、売上高営業利益率で16.9%と高水準を維持。2020年4月に新宿サテライトセンター及び広島センター(いずれも最大100名超が稼働)を開設し、サイバーセキュリティ事業でも開発投資を行うなど、一時的な費用負担は大きかったが、増収効果で吸収し、前年同期比10%近い営業増益を達成した。
2020年9月期通期の連結業績予想は、売上高が前期比13.2%増の7,400百万円、営業利益が同2.9%増の1,201百万円、経常利益が同1.6%増の1,221百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同1.2%増の850百万円と引き続き2ケタの増収及び着実な増益を予想する。新型コロナウイルス感染拡大(以下、新型コロナウイルス)の影響など波乱要因もあるものの、期初の予想を据え置いている。同社の事業を取り巻く市場環境は全体として良好だ。新型コロナウイルスの影響も、“巣ごもり消費”の増大という、同社の各事業にとって基本的にプラスに働いている。全体として、インターネットを不安やストレスなく使いたいというエンドニーズ、顧客企業の働き方改革によるBPOニーズは高まっており、総合ネットセキュリティ企業である同社の活躍の場も増えていると推察される。通期の売上高計画に対する第2四半期進捗率は50.5%(前期実績は49.2%)と前年同期を上回る。営業利益に関しては第2四半期進捗率が52.6%(前期は49.3%)と、上期に2拠点新設やサイバーセキュリティ分野での開発投資を行っている中でも順調。同社はこれまで拠点新設後に収益性を上げる傾向にあり、また例年下期が上期を上回る傾向にある。弊社では、大きな波乱がなければ、売上高計画の達成はもちろん、利益計画を超えてくる可能性が高いと考えている。
3. 成長戦略
同社は2020年4月、電通グループ<4324>の(株)サイバー・コミュニケーションズとの合弁により、広告・マーケティングに特化したビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)事業を展開する新会社(株)ビズテーラー・パートナーズを設立した。サイバー・コミュニケーションズは日本のインターネット広告が誕生した1996年に設立。デジタルマーケティング全般のサービスを展開、数百の媒体社・広告会社との取引とともに、業界をけん引する存在。この新会社設立は、同社が長年培ってきた、広告入稿・審査から広告監視業務までの多岐にわたる「人とシステム」によるBPO業務ノウハウと、サイバー・コミュニケーションズが持つデジタル広告のオペレーションのノウハウを融合させ、広告・マーケティング領域BPOのトータルソリューションを展開することが目的である。新会社の成長が期待されるとともに、運営に関してはイー・ガーディアンが実務を担当することが予想され、同社のアド・プロセス業務の成長に寄与することが期待される。
■Key Points
・ソーシャルサポート(監視・カスタマーサポート等)、ゲームサポートが主力。「AIと人」による低コスト・高品質サービスが強み
・2020年9月期第2四半期はソーシャルサポート業務がけん引し増収。2拠点新設やサイバーセキュリティ事業の投資を吸収し増益を達成
・電通グループのサイバー・コミュニケーションズと広告関連業務BPOの合弁会社を設立。サイバーセキュリティ分野では日本初のAI利用コンテナ型WAF※「GUARDIAX」をリリース
・7期連続増配中。2020年9月期の配当予想は未定も、利益予想達成なら増配も期待
※WAF:Web Application Firewall
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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イー・ガーディアン<6050>は、eコマース(EC)やSNS、ソーシャルゲームの運営者向けに監視や顧客サポートなどを中心に、サイバーセキュリティからデバッグ、運用までをワンストップで提供する総合ネットセキュリティ企業である。1998年にコンテンツプロバイダとして誕生し、インターネット業界の創成期に様々な新事業を手掛けるなかで2005年に掲示板投稿監視事業に一本化し、イー・ガーディアン株式会社に商号変更した。2010年に東証マザーズに上場してからは、人材派遣業、デバッグ事業、ネットセキュリティコンサルティング事業、クラウド型サイバーセキュリティ事業等をM&Aで獲得し、“総合ネットセキュリティ企業”としての基盤を確立した。海外展開においては、E-Guardian Philippines Inc.(2017年設立)が拡大中。直近ではクラウド型セキュリティサービスの(株)グレスアベイルを子会社化(2019年)、(株)サイバー・コミュニケーションズとネット広告関連業務BPOを行う合弁会社設立(2020年)など、新分野を強化している。現在はグループ会社5社、国内外15都市に24拠点を持ち、1,591名の従業員(うち臨時従業員数1,222名)を抱える企業グループとなっている。2016年9月に東証1部に昇格した。
1. 事業概要
売上高の主力はソーシャルサポート業務とゲームサポート業務であり、2業務で全社売上高の7割以上(73.3%)を構成する。同社の強みは、「人」が運用ノウハウやデータを蓄積し、それを活用して独自開発した「AI・システム」により運用を効率化することで、低コストで高品質なサービスを提供するところにある。結果として高い収益性(2019年9月期の売上高営業利益率は17.9%)が実現される。
2. 業績動向
2020年9月期第2四半期の連結業績は、売上高が前期比16.2%増の3,738百万円、営業利益が同9.6%増の631百万円、経常利益が同7.7%増の646百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同9.6%増の431百万円と当初計画を上回る増収増益となった。売上面で成長をけん引したのは、ソーシャルサポート業務。ソーシャルサポート業務では、キャッシュレス決済関連の加盟店審査や不正取引の監視、シェアリングサービス関連の本人確認や不正取引の監視、エデュテック(教育のデジタル化)関連での業務代行などが伸びに貢献した。
利益面では、売上高営業利益率で16.9%と高水準を維持。2020年4月に新宿サテライトセンター及び広島センター(いずれも最大100名超が稼働)を開設し、サイバーセキュリティ事業でも開発投資を行うなど、一時的な費用負担は大きかったが、増収効果で吸収し、前年同期比10%近い営業増益を達成した。
2020年9月期通期の連結業績予想は、売上高が前期比13.2%増の7,400百万円、営業利益が同2.9%増の1,201百万円、経常利益が同1.6%増の1,221百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同1.2%増の850百万円と引き続き2ケタの増収及び着実な増益を予想する。新型コロナウイルス感染拡大(以下、新型コロナウイルス)の影響など波乱要因もあるものの、期初の予想を据え置いている。同社の事業を取り巻く市場環境は全体として良好だ。新型コロナウイルスの影響も、“巣ごもり消費”の増大という、同社の各事業にとって基本的にプラスに働いている。全体として、インターネットを不安やストレスなく使いたいというエンドニーズ、顧客企業の働き方改革によるBPOニーズは高まっており、総合ネットセキュリティ企業である同社の活躍の場も増えていると推察される。通期の売上高計画に対する第2四半期進捗率は50.5%(前期実績は49.2%)と前年同期を上回る。営業利益に関しては第2四半期進捗率が52.6%(前期は49.3%)と、上期に2拠点新設やサイバーセキュリティ分野での開発投資を行っている中でも順調。同社はこれまで拠点新設後に収益性を上げる傾向にあり、また例年下期が上期を上回る傾向にある。弊社では、大きな波乱がなければ、売上高計画の達成はもちろん、利益計画を超えてくる可能性が高いと考えている。
3. 成長戦略
同社は2020年4月、電通グループ<4324>の(株)サイバー・コミュニケーションズとの合弁により、広告・マーケティングに特化したビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)事業を展開する新会社(株)ビズテーラー・パートナーズを設立した。サイバー・コミュニケーションズは日本のインターネット広告が誕生した1996年に設立。デジタルマーケティング全般のサービスを展開、数百の媒体社・広告会社との取引とともに、業界をけん引する存在。この新会社設立は、同社が長年培ってきた、広告入稿・審査から広告監視業務までの多岐にわたる「人とシステム」によるBPO業務ノウハウと、サイバー・コミュニケーションズが持つデジタル広告のオペレーションのノウハウを融合させ、広告・マーケティング領域BPOのトータルソリューションを展開することが目的である。新会社の成長が期待されるとともに、運営に関してはイー・ガーディアンが実務を担当することが予想され、同社のアド・プロセス業務の成長に寄与することが期待される。
■Key Points
・ソーシャルサポート(監視・カスタマーサポート等)、ゲームサポートが主力。「AIと人」による低コスト・高品質サービスが強み
・2020年9月期第2四半期はソーシャルサポート業務がけん引し増収。2拠点新設やサイバーセキュリティ事業の投資を吸収し増益を達成
・電通グループのサイバー・コミュニケーションズと広告関連業務BPOの合弁会社を設立。サイバーセキュリティ分野では日本初のAI利用コンテナ型WAF※「GUARDIAX」をリリース
・7期連続増配中。2020年9月期の配当予想は未定も、利益予想達成なら増配も期待
※WAF:Web Application Firewall
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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