■サンワテクノス<8137>の中期経営計画の進捗状況
3. 『グローバル事業を拡大し市場の需要をサポートする』の進捗状況
このテーマにおいては、2019年8月にベトナム・ホーチミン市に事業拠点を開設したことが挙げられる。ベトナムには2013年に北部主要都市のハノイに事業所を開設したが、ここ数年、中国の人件費高騰や政治リスクの高まりなどからベトナムに工場を移転あるいは新設する動きがエレクトロニクス産業を中心に活発化しており、こうした需要を取り込むため、今回、南部主要都市のホーチミンに2拠点目を開設し、販売体制の強化を図った。具体的な活動としては、日系企業のサポートや優良ローカル企業・商材の発掘、ASEAN地域への販路拡大などに取り組むと見られ、これらに加えてグローバルSCMソリューション事業での受注獲得も期待される。
また、グローバル事業を拡大していくためには海外現地社員をマネジメント人材として育成・登用し、組織力を強化していくことも重点施策として取り組んでいる。現在、海外26拠点の事業所はすべて日本人が駐在してマネジメントを行っている。ただ、連結従業員数が約1千名規模に拡大し、このうち外国籍が400名規模(うち、約半分は中国)と人材のグローバル化が進むなかで、マネジメント人材についてもグローバル化することが組織力の強化につながると見ている。マネジメントスキルを持つ人材を外部招聘するのはコスト的に高いため、グループ内で育成していく方針であり、幹部候補生について日本での研修を開始している。マネジメント人材のグローバル化が進めば、現在、売上構成比で10%程度(中国市場では約35%)にとどまっている外資系企業の顧客開拓も進み、海外売上高も一段と拡大していくものと弊社では予想している。
SCMの整流化による付加価値創出と新規事業の創出に取り組む
4. 『新事業領域へ挑戦し持続的成長を加速する』の進捗状況
これについては前述したとおり、2019年4月からWMSの運用を開始しており、物流品質の向上やトレーサビリティの強化、物流コストの可視化、生産性向上に取り組んでいる。その効果も在庫の削減や物流費の軽減、リードタイムの短縮などとなって既に顕在化し始めており、同社では2021年3月期以降も改善効果が続くと見ている。このうち、物流コストを可視化することのメリットについて簡単に説明すると、以下のとおりとなる。例えば、100万円の仕入商品を120万円で販売し、売上総利益20万円を得る受注案件でも、物流費が30万円掛かっていれば赤字案件となる。従来はこうした物流コストを案件ごとに把握できないという課題があったが、WMSの導入によって案件ごとに物流コストが可視化できるため、こうした赤字案件については、仕入単価を下げるか物流コストを引き下げる方法を検討し、利益化していくことが可能となる。こうした取り組みを継続していくことで収益性の向上につなげていく。
そのほか、イントラプレナー(社内起業家)制度を導入し、毎年2~3件のペースで新事業にも取り組んでいる。2017年度に女性の活躍の場促進の取り組みの一環として、エコ・ニューライフサポート事業部を発足した。同事業部では生活関連市場をターゲットに、AED(自動体外式除細動器)やLED照明器具の販売を行っており、規模は小さいながらも年々売上を伸ばしている。直近では2020年4月に会社の定款を一部変更し、電気機械、機械器具、計測器、医療機器の販売業に新たにレンタル業を追加している。血管年齢測定器を老人ホーム向けにレンタルサービスするほか、UV殺菌の空気清浄機をビジネスホテル向けに提供する予定としている。生活領域においても将来的にはロボットが普及する可能性があり、その時に備えて顧客基盤を今のうちに構築する機会と捉えることもできる。そのほかにも、M&Aでシナジーが期待できる案件があれば検討を進めていく方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
3. 『グローバル事業を拡大し市場の需要をサポートする』の進捗状況
このテーマにおいては、2019年8月にベトナム・ホーチミン市に事業拠点を開設したことが挙げられる。ベトナムには2013年に北部主要都市のハノイに事業所を開設したが、ここ数年、中国の人件費高騰や政治リスクの高まりなどからベトナムに工場を移転あるいは新設する動きがエレクトロニクス産業を中心に活発化しており、こうした需要を取り込むため、今回、南部主要都市のホーチミンに2拠点目を開設し、販売体制の強化を図った。具体的な活動としては、日系企業のサポートや優良ローカル企業・商材の発掘、ASEAN地域への販路拡大などに取り組むと見られ、これらに加えてグローバルSCMソリューション事業での受注獲得も期待される。
また、グローバル事業を拡大していくためには海外現地社員をマネジメント人材として育成・登用し、組織力を強化していくことも重点施策として取り組んでいる。現在、海外26拠点の事業所はすべて日本人が駐在してマネジメントを行っている。ただ、連結従業員数が約1千名規模に拡大し、このうち外国籍が400名規模(うち、約半分は中国)と人材のグローバル化が進むなかで、マネジメント人材についてもグローバル化することが組織力の強化につながると見ている。マネジメントスキルを持つ人材を外部招聘するのはコスト的に高いため、グループ内で育成していく方針であり、幹部候補生について日本での研修を開始している。マネジメント人材のグローバル化が進めば、現在、売上構成比で10%程度(中国市場では約35%)にとどまっている外資系企業の顧客開拓も進み、海外売上高も一段と拡大していくものと弊社では予想している。
SCMの整流化による付加価値創出と新規事業の創出に取り組む
4. 『新事業領域へ挑戦し持続的成長を加速する』の進捗状況
これについては前述したとおり、2019年4月からWMSの運用を開始しており、物流品質の向上やトレーサビリティの強化、物流コストの可視化、生産性向上に取り組んでいる。その効果も在庫の削減や物流費の軽減、リードタイムの短縮などとなって既に顕在化し始めており、同社では2021年3月期以降も改善効果が続くと見ている。このうち、物流コストを可視化することのメリットについて簡単に説明すると、以下のとおりとなる。例えば、100万円の仕入商品を120万円で販売し、売上総利益20万円を得る受注案件でも、物流費が30万円掛かっていれば赤字案件となる。従来はこうした物流コストを案件ごとに把握できないという課題があったが、WMSの導入によって案件ごとに物流コストが可視化できるため、こうした赤字案件については、仕入単価を下げるか物流コストを引き下げる方法を検討し、利益化していくことが可能となる。こうした取り組みを継続していくことで収益性の向上につなげていく。
そのほか、イントラプレナー(社内起業家)制度を導入し、毎年2~3件のペースで新事業にも取り組んでいる。2017年度に女性の活躍の場促進の取り組みの一環として、エコ・ニューライフサポート事業部を発足した。同事業部では生活関連市場をターゲットに、AED(自動体外式除細動器)やLED照明器具の販売を行っており、規模は小さいながらも年々売上を伸ばしている。直近では2020年4月に会社の定款を一部変更し、電気機械、機械器具、計測器、医療機器の販売業に新たにレンタル業を追加している。血管年齢測定器を老人ホーム向けにレンタルサービスするほか、UV殺菌の空気清浄機をビジネスホテル向けに提供する予定としている。生活領域においても将来的にはロボットが普及する可能性があり、その時に備えて顧客基盤を今のうちに構築する機会と捉えることもできる。そのほかにも、M&Aでシナジーが期待できる案件があれば検討を進めていく方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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