感染拡大の程度をみながら、2万円を前に一進一退へ

著者:出島 昇
投稿:2020/04/20 19:36

先週は、週前半で4月のSQ値を上回ったことで週末は2万円に接近して引ける

 先週の日経平均の動きは、感染拡大の見通しが落ち着いてきたとの見方になれば、19000円台での値固めになるが、そうでなければもみあいとなって4月のSQ値19577円が目先の上値ゾーンになってくるとし、一方で需給からみれば4月の第1週(3月30日~4月3日)までは、8週連続の売り越しとなっているものの、売り越し幅が大幅縮小となっていることで、海外投資家の売り圧力がかなり弱まり、米国株が感染拡大のピークアウトの動きが続き、経済対策で株価が上昇を続けることができれば、大幅上昇の可能性もあるとしました。

 結果的には、週始めは19014円まで下げるものの、翌日は△662円の19705円まで上昇して、SQ値の19577円を上にぬけたので期待がもてる形となりました。その後、2日続落するものの、週末の17日(金)はトランプ大統領の米経済活動再開指針を受けて△607円の19897円で引けました。

 13日(月)は、コロナ感染拡大懸念が根強い中で米株先物安を受けて▲186円の19312円で寄り付き、後場には円高基調もあって一段安となり、▲484円の19014円まで下げて▲455円の19043円で引けました。

 14日(火)は、前日のNYダウは大幅安だったものの、前日の大幅下落の反動や先物主導の買いもあって△106円の19150円で寄り付き、先物主導で上昇して△662円の19705円まで上昇して、終値は△595円の19638円と大幅反発となりました。

 15日(水)は、円高進行で利益確定売りが先行し、一時上げる場面もありましたが、先物売りで再度、軟化し▲88円の19550円と反落しました。

 16日(木)は、前日の米国市場が経済指標の悪化や金融機関の大幅減益決算で3指標が大幅下落し、これを受けて日経平均は主力株中心に売られ▲259円の19290円と続落しました。

 週末の日本市場は、朝方にトランプ大統領が、経済活動をウイルスの感染が少ない地域から再開することを認める指針を発表したことで、日本市場の引け後のアメリカ株高が期待され、先物買いで一段高となり、△631円の19922円まで上昇して、△607円の19897円と1ヶ月半ぶりの高値水準となりました。

 17日(金)の米国市場は、トランプ大統領が感染の少ない地域から経済活動を再開するとの指針を出したことや、ギリアド・サイエンシズの抗ウイルス薬「レムデシビル」の薬効が確認されたと報じられたことで、NYダウは△704ドルの24242ドルと3月10日以来の24000ドル回復となりました。為替はやや円高に進んだことや前日の米国株の上昇を先取りしていたため、シカゴ日経先物は▲95円の19605円でした。

感染拡大の程度をみながら、2万円を前に一進一退へ

 先週は、トランプ大統領の段階的な経済活動の再開指針の発表や、治療薬の進展期待や中国経済の正常化への方向から当面のチャート上の上限としていた2万円に接近しました。

 今週は、米株式がさらなる上昇があるのか、又、国内での感染拡大のペースがどうなるのかみながら、2万円水準を上値に一進一退の動きとなりそうです。

 上値は、1月17日の高値(24115円)から3月19日の安値(16358円)までの下げの半値戻し20233円があり、先週末のNYダウは半値戻しの23890ドルを突破して引けていますので、米株の上昇が続けば可能性はあります。しかし、先週末の日経平均は踏み上げによる上昇との見方や騰落レシオが過熱感を示す120%に近づく114%となっていますので、2万円近辺での一進一退の動きとなりそうです。緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大されたことで、感染抑制の効果が期待される一方で、地方の経済活動は一段と停滞する可能性は高いので、目先、株価が上昇しても景気後退からいずれ戻り売りとなってきそうです。

 本日20日(月)は、先週末の大幅上昇の反動や戻り待ちの売りで、▲207円の19689円で寄り付き、一時▲285円の19611円まで下落し、売り一巡後は下げ幅を縮小する場面もありましたが、時間外での米株先物が下落し、後場は再び下げ幅を拡大し、▲228円の19669円で引けました。出来高、売買代金ともに低水準で売買代金は1週間ぶりに1兆9650億円と2兆円を割り込みました。

出島式ズバ株投資情報ブログ
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(指標)日経平均

 先週の予測では、7日に緊急事態宣言が発令されたあと感染拡大の抑制に効果がでるのかどうかが注目されるとしました。

 株価がさらに上昇するためには、4月SQ値の19577円を早い段階で上にぬけるかどうかがポイントとしました。

 結果的に、13日(月)に19014円まで下げたあと、14日(火)は、トランプ大統領の経済活動再開の指針を受けて先物主導で一段高となり、△662円の19705円と4月SQ値を突破しました。その後、2日続落後の週末に再度トランプ大統領が感染の少ない地域から経済活動を再開するという指針を受け△631円の19922円の高値をつけました。

 先週は、米国株の上昇や中国経済が正常化へ向かう動きもあって、当面のチャートの上限2万円に接近してきました。ここから2万円突破という見方もありますが、先週は予想外の上昇で踏み上げられた側面もあるとみられています。あえて2万円を超す場合は1月17日の高値から3月17日の安値までの下げ幅の半値戻しが20233円となりますので、先週末のNYダウが半値戻しの23890ドルを超えていますので可能性は考えらます。騰落レシオも過熱感を示す120%まであと少しの114%となっていますので、2万円水準で一進一退も考えらます。
 

 

(指標)NYダウ

 先週の予測では、感染拡大がピークアウトしてきたとのトランプ大統領の発言を受けて、一時24008ドルまで上昇したことで、ここからは上値は重いとしました。

 結局、24000ドルを上値にしてもみあい23095ドルまで下げましたが、半導体関連株が底堅く、死亡者もアタマ打ちという発表もあったことで、戻りを試し週末はギリアド・サイエンシズの抗ウイルス薬の薬効が確認されたり、トランプ大統領が段階的に経済活動の再開を進める指針を示したことで24264ドルまで上昇して△704ドルの24242ドルで引けました。

 今週は、トランプ大統領が被害の少ない地域から徐々に経済活動を再開する期待が高まり、治療薬に進展がみられたことから相場のサポート要因になります。しかし、経済封鎖による経済への影響が未知であることから景気や企業業績が想定以上の悪化となる場合に注意が必要です。目先は期待で上昇しても感染拡大が目に見えて減少しない限り消費は回復せず、景気後退は長期化することになりますので、戻れば戻るほど反動が大きくなる可能性があります。
 

 

(指標)ドル/円

 先週の予測では、ドル・円は底堅いという見方が多いが、米国経済は悪化していることから、すぐに景気回復に向かう可能性は少なく、ドル買いが大きく広がることはないとしました。

 結局、2020年の景気は大幅に縮小するとの見方が強まり、週始めの4月13日(月)は107円台半ばまで反落し、その後、トランプ大統領の米国経済の再開指針の表明を受けて、4月16日には108円台まで買われたものの、米国経済の回復力に懐疑的見方があり、週末はドルが売られ107.56円で引けました。

 今週は、トランプ大統領の経済活動の再開指針の期待からドル買いの支援材料となり、FRBによる資金供給措置を背景としたドル売りが後退することで、足元はドル買いの地合が強まることになります。しかし、中長期的には景気回復は長期化する見通しのため、ドル買いには限界がありドル・円は下げ渋りの動きとなりそうです。
 

 

配信元: みんかぶ株式コラム