7日の緊急事態宣言が感染拡大を抑えるかどうかに注目

著者:出島 昇
投稿:2020/04/13 19:19

先週の日経平均は、戻りのあと下へとしたが、NYダウにつられ戻りを試し続ける

 先週の予測では、目先はリバウンドはあっても荒い動きで下へ向かうとしましたが、NYダウの大幅上昇が続き、日経平均もつれ高して4日続伸のあと一服して週末もプラスで引けました。週始めの17802円を安値に週末は19500円の高値をつけましたので、1週間で約1700円の上昇となります。

 4月6日(月)は、前週末の米国市場で3月の雇用統計が2009年以来の大幅な悪化となったことで、NYダウは▲360ドルの21052ドルと反落したものの、日経平均は円安方向にふれていたことで、△37円の17857円で寄り付き、トランプ大統領がNY州の感染者がピークを迎える可能性があると述べたことで、前引けは△429円の18249円と大幅続伸となりました。さらに後場にはこう着状態のあと先物に断続的に買いが入って△852円の18672円まで上昇して△756円の18576円で引けました。

 7日(火)は、日本市場は前日の米国市場でコロナ感染者数の伸びが鈍化したことを好感し、NYダウは△1627ドルの22679ドルと大幅高となったことで、日経平均も前日の大幅高にかかわらず、この日は△373円の18950円と3日続伸となりました。

 8日(水)は、前日の米国市場が3指標の小幅反落を受け、日経平均は前場は△97円の19047円まで上昇したあと、手掛かり材料に乏しく一時▲210円まで下げて、もみあい商状が続いたが、先物に断続的な買いが入ったことで、前引けは△89円の19039円でした。しかし後場になると時間外の米株価先物が上昇したことを受け、買い優勢の展開となり、△504円の19454円まで上昇して、終値は△403円の19353円と4日続伸となりました。

 9日(木)は、前日の米国市場は民主党のサンダースが大統領選からの撤退を正式表明し、また感染者の増加ペースが鈍化したことでNYダウは△779ドルの23433ドルと23000ドルを回復したものの、日経平均は翌日がSQ清算日ということもあり様子見となって▲7円の19345円と5日ぶりの小反落となりました。

 10日(金)は、前日の米国市場は、FRBが積極的な流動性計画を示したことを好感し、△285ドルの23719ドルと続伸となったことで、日経平均は△154円の19500円で寄り付き、ここをピークに▲109円の19235円まで下落するものの、後場になると日銀のETF買い観測から上げ幅を拡大し、△152円の19498円と反発して引けました。

 この日の4月SQ値は19577円でしたので、現物の終値である19498円を上回り、幻のSQとなっています。19577円を一気に超えることができなければ下方に向かう可能性がります。10日(金)の米国市場はグッドフライデーで休場でした。

7日の緊急事態宣言が感染拡大を抑えるかどうかに注目

 先週は欧米で感染拡大がピークアウトしたようだとの見方から株式市場は大幅上昇となり、国内株式も先物主導で大幅高となりましたが、国内の現時点での感染拡大は増加を続けているため、今週は緊急事態宣言のあとで感染拡大の結果がどうなるのか注目となります。先週の日経平均は19500円まで上昇(終値19498円)しており、このまま19500円台での値固めができるかどうかは感染拡大の動きがどうなるかによります。ハッキリと感染拡大が止まってきたとの見通しができれば19000円台での値固めとなりますが、ハッキリしないようなら19000円をはさんだもみあいになる可能性があります。その場合は、先週末の4月SQ値19577円を終値が19498円と下回っていますので、SQ値を突破できなければ、この19577円水準が目先の上値のフシとなってきます。さらにこの場合は、3月25日に19564円の高値をつけていますので、当面の2番天井形成ということになって調整が長引くことになります。

 需給からみみると、4月の第1週(3月30日~4月3日)まで現物と先物が8週連続の売り越しとなっていますが、この週は現物ベースの売り越しが大幅縮小していますので、この流れが続くと海外投資家の売り圧力が弱まり19000円台での値固めの可能性もあります。あとは米国株式が感染拡大のピークアウト後の動きと、経済対策で株価が上昇を続けることができるかどうかによります。

 本日は、先週末の米国市場が休場だったことで、▲186円の19312円とマイナスで寄り付き、その後もマイナス圏で推移し、後場もジリ安となって大引けは▲455円の19043円と大幅下落となりました。4月のSQ値19577円が幻のSQ値となっており、上値の重い展開となりました。

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(指標)日経平均

 先週の予測では、前週に引き続き下ぶれしやすい動きを想定しました。しかし、米国株式がコロナ感染者の増加が鈍化したデータが出たことで大幅上昇し、NYダウは△1627ドルの22679ドルとなり、日経平均もつ高する動きとなりました。緊急事態宣言がなされたことでアク抜け感もあり、週末の4月10日(金)は△152円の19498円となりました。1週間で1700円の上昇でした。ただし、この日の4月SQ値は19577円で終値で上回ることができませんでしたので幻のSQとなっていますので、19577円を早い段階で上回らないと上値のフシとなってしまいます。

 今週は、7日に発令された緊急事態宣言が感染拡大の抑制に効果が出るのかどうかが焦点となります。欧米では感染拡大はピークアウトしたとの見方が出ていますが、日本の状況は現時点では毎日感染者が増加しています。国内の感染状況が「オーバーシュート」に向かわないことが確認されれば、相場は戻りを続ける可能性がありますが、拡大が続くようだと失望売りが出てくることになります。先週末は4月SQ値19577円を切って終値19498円と下回って幻のSQとなっていますので、早い段階で19577円を突破できなければ、この水準が上値のフシとなってしまいます。
 

 

(指標)NYダウ

 先週の予測では、景気悪化の長期化が広がっているため、当面の経済指標の悪化や企業収益の悪化懸念から下値を模索する可能性もあることを想定しました。

 しかし、予測とは全く逆の動きとなりました。現在の相場は新型コロナの不透明さが根底にありますが、先週は感染者の伸びが鈍化しているとの見方から大きな反発となりました。ホプキンス大の集計では、週始めの4月6日(月)の時点で3日の3万2100人、4日の3万3260人、5日の2万8200人と減少しています。

 これを受けて、NYダウは△1627ドルの22679ドルの急騰となりました。その後も上昇が続き、9日(木)は一時24008ドルと24000ドル台をつけ、終値は△285ドルの23719ドルとなっています。

 感染症対策本部の感染症の専門家が現時点での死亡者予想数をこれまでの10~20万人を6万人に下方修正し、トランプ大統領は「トンネルの出口が見えてきた」と言及したことで、先週のNYダウは一時24008ドルまで戻しました。早ければ5月頃には経済活動の再開への期待も出ており、相場をサポートする要因となりますが、政府のリップサービスの側面もあり、又、4-6月期の雇用や経済指標は過去最悪となることが確実なので楽観しすぎは危険です。チャートからは目先は24000ドル台からは上値は重くなりそうです。
 

 

(指標)ドル/円

 先週の予測では、米国での感染拡大の状況をみながら、ドル・円はもみあいを想定しました。

 週始めは、コロナ感染者数の伸びが鈍化したことを好感し、NYダウは△1627ドルの22679ドルと大幅高となり、ドルも109.37円まで買われました。その後はもみあいとなり、108~109円の中での動きが続きました。

 結局は米国経済の先行き不安でドルは伸び悩みました。

 今週のドル・円は、底堅い動きの見方が多いようです。欧米諸国では、新型コロナの感染拡大はピークアウトの兆しが出ているとの発表が見られる一方で、日本では感染拡大が現時点では止まらない状況となっており、ドル買い・円売りに繋がる可能性があります。又、FRBの新たな緩和策もあり、3月に大きく下げた米国株式が反転していることから、ドル買いが観測されています。ただし、米国経済は悪化していることから、すぐに景気回復に向かう可能性は少なく、ドル買いが大きく広がることはないと思われます。
 

 

配信元: みんかぶ株式コラム