■日経平均は半年ぶり21000円割れ
前週の日経平均は4週連続の下落となった。2月28日のNYダウは一時1000ドル超下落したものの、パウエルFRB(連邦準備理事会)議長の声明を受けた後に大きく下げ幅を縮めた。週初2日の日経平均も「潤沢な資金供給と金融市場の安定確保に努める」とした日銀総裁の談話をきっかけに、朝安からプラスに転じたが、北朝鮮による飛翔体発射が伝わり、後場は伸び悩んだ。主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議が新型肺炎への対応を巡り、電話会議を開催と報じられ協調緩和への期待から2日のNYダウは1日の上げ幅としては過去最大となる1293.96ドル高を記録。しかし、3日の東京市場はG7の電話会議が「具体的な政策対応は盛り込まれない」と伝わると売り優勢となり、日経平均は朝高からマイナスに転じてこの日の安値圏で大引けた。FRBが全会一致で主要政策金利を0.5%ポイント引き下げる緊急利下げを実施したことを受けて、3日のNYダウは一時上昇したが、新型コロナウイルスの問題解決は金融政策だけでは不十分との見方などから反落に転じた。4日の日経平均も米株安の流れを引き継ぎスタートしたものの、米大統領選の民主党候補指名争いで中道派のバイデン氏が複数の州を制したと伝わると上昇に転じた。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大に対する懸念も根強く上げ幅は大引けにかけて縮小した。世界各国の中央銀行や政府が景気刺激策を導入するとの期待が先行するなか、4日のNYダウは上げ幅として過去2番目となる1173.45ドル高と急反発。この米国株高を好感して5日の日経平均も続伸した。新型コロナウイルスに対する治療薬を開発すると発表した武田薬品<4502>が3%高になった。ただ、新型肺炎の世界的な感染拡大を受けた経済減速懸念は根強く、買い一巡後は上値の重さも意識された。米カリフォルニア州知事が非常事態宣言を発動するなど、新型コロナウイルスの感染拡大を嫌気して5日のNYダウは大幅に反落。6日の東京市場も米国における感染拡大ペースの加速で、景気・経済および企業業績に悪影響を与えるとの懸念が増して売りが先行した。1ドル=105円台に進んだ為替の円高もマイナス視され、一段安で始まった日経平均はその後、全面安の中で下げ幅を広げ、大引けベースで昨年9月4日以来の21000円割れとなった。
■メジャーSQを控えてボラティリティ高まる
今週の日経平均は、13日のメジャーSQを控えてボラティリティの高い展開が予想される。FRB(連邦準備理事会)が緊急利下げを実施したが、米国では追加利下げの期待が浮上している。これを受けて為替相場は1ドル=105円台への円高が進行して、日経平均の下支え機能が一つ後退した形となった。また、安倍首相が2月26日に国民に要請した2週間のイベント自粛の期限は11日にあたるが、ひとまずこれは2週間程度の延長を株式市場では読み込んでいるとみられる。企業業績への影響が表面化するのは先だが、為替の円高傾向とともに日経平均の上値を重くしている。米国では新型コロナウイルスの感染拡大から、世界経済のリセッション(景気後退)が意識され始めていることから、NYダウが一段安となれば日経平均も2万円を挟んでの攻防になる可能性もある。一方で、日経平均は昨年5月以来となる4週連続安で3000円強の下げ幅(終値ベース)をみており、相応の自律反発が生じてもおかしくない状況ではある。打つ手が狭まっているとされる日本の金融政策だが、翌週18日から19日かけて開催される日銀金融政策決定会合でETF(上場投資信託)の買い上げ枠の増額などの刺激策が一部で期待されており、この思惑が全般相場の深押しにブレーキをかける材料として働いている。また、人気SUV(スポーツ多目的車)の「RAV4」を生産するトヨタ自動車<7203>の中国・長春工場が9日から通常生産の体制に戻るなど、部分的ながらも「脱・新型コロナウイルス」の動きが出始めている。こうしたなか、引き続き新型コロナウイルス関連のニュースフローを中心に日経平均は上下に振らされることになることが見込まれる。さらに、今週は10日に2月工作機械受注、中国2月生産者物価・消費者物価、11日に米2月消費者物価と日米中で主要経済指標の発表が波乱材料として働く可能性もある。
■感染対策関連と5G関連を物色
物色的には13日のメジャーSQを控えて主力大型株に手掛けにくさが意識されるなか、個別材料株物色の展開が主体となってこよう。治療薬開発など新型肺炎関連のほか、東証2部のアルチザネットワークス<6778>の決算発表とノキア社からの受注ニュースをきっかけに5G(第5世代移動通信システム)の業績インパクトが改めて注目されて物色のすそ野が広がる期待がある。
■メジャーSQ、中国2月消費者物価、米2月消費者物価
主な国内経済関連スケジュールは、9日に1月国際収支、10-12月期GDP改定値、2月景気ウォッチャー調査、10日に2月マネーストック、2月工作機械受注、12日に2月国内企業物価指数、1-3月期景気予測調査、2月都心オフィス空室率、13日にメジャーSQ、1月第三次産業活動指数の発表が予定されている。一方、米国など海外主要スケジュールでは、10日に中国2月生産者物価・消費者物価、11日に米2月消費者物価、米2月財政収支、12日にECB定例理事会、ラガルドECB総裁会見、米2月生産者物価、13日に米2月輸出入物価、米3月ミシガン大学消費者マインド指数が予定されている。
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前週の日経平均は4週連続の下落となった。2月28日のNYダウは一時1000ドル超下落したものの、パウエルFRB(連邦準備理事会)議長の声明を受けた後に大きく下げ幅を縮めた。週初2日の日経平均も「潤沢な資金供給と金融市場の安定確保に努める」とした日銀総裁の談話をきっかけに、朝安からプラスに転じたが、北朝鮮による飛翔体発射が伝わり、後場は伸び悩んだ。主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議が新型肺炎への対応を巡り、電話会議を開催と報じられ協調緩和への期待から2日のNYダウは1日の上げ幅としては過去最大となる1293.96ドル高を記録。しかし、3日の東京市場はG7の電話会議が「具体的な政策対応は盛り込まれない」と伝わると売り優勢となり、日経平均は朝高からマイナスに転じてこの日の安値圏で大引けた。FRBが全会一致で主要政策金利を0.5%ポイント引き下げる緊急利下げを実施したことを受けて、3日のNYダウは一時上昇したが、新型コロナウイルスの問題解決は金融政策だけでは不十分との見方などから反落に転じた。4日の日経平均も米株安の流れを引き継ぎスタートしたものの、米大統領選の民主党候補指名争いで中道派のバイデン氏が複数の州を制したと伝わると上昇に転じた。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大に対する懸念も根強く上げ幅は大引けにかけて縮小した。世界各国の中央銀行や政府が景気刺激策を導入するとの期待が先行するなか、4日のNYダウは上げ幅として過去2番目となる1173.45ドル高と急反発。この米国株高を好感して5日の日経平均も続伸した。新型コロナウイルスに対する治療薬を開発すると発表した武田薬品<4502>が3%高になった。ただ、新型肺炎の世界的な感染拡大を受けた経済減速懸念は根強く、買い一巡後は上値の重さも意識された。米カリフォルニア州知事が非常事態宣言を発動するなど、新型コロナウイルスの感染拡大を嫌気して5日のNYダウは大幅に反落。6日の東京市場も米国における感染拡大ペースの加速で、景気・経済および企業業績に悪影響を与えるとの懸念が増して売りが先行した。1ドル=105円台に進んだ為替の円高もマイナス視され、一段安で始まった日経平均はその後、全面安の中で下げ幅を広げ、大引けベースで昨年9月4日以来の21000円割れとなった。
■メジャーSQを控えてボラティリティ高まる
今週の日経平均は、13日のメジャーSQを控えてボラティリティの高い展開が予想される。FRB(連邦準備理事会)が緊急利下げを実施したが、米国では追加利下げの期待が浮上している。これを受けて為替相場は1ドル=105円台への円高が進行して、日経平均の下支え機能が一つ後退した形となった。また、安倍首相が2月26日に国民に要請した2週間のイベント自粛の期限は11日にあたるが、ひとまずこれは2週間程度の延長を株式市場では読み込んでいるとみられる。企業業績への影響が表面化するのは先だが、為替の円高傾向とともに日経平均の上値を重くしている。米国では新型コロナウイルスの感染拡大から、世界経済のリセッション(景気後退)が意識され始めていることから、NYダウが一段安となれば日経平均も2万円を挟んでの攻防になる可能性もある。一方で、日経平均は昨年5月以来となる4週連続安で3000円強の下げ幅(終値ベース)をみており、相応の自律反発が生じてもおかしくない状況ではある。打つ手が狭まっているとされる日本の金融政策だが、翌週18日から19日かけて開催される日銀金融政策決定会合でETF(上場投資信託)の買い上げ枠の増額などの刺激策が一部で期待されており、この思惑が全般相場の深押しにブレーキをかける材料として働いている。また、人気SUV(スポーツ多目的車)の「RAV4」を生産するトヨタ自動車<7203>の中国・長春工場が9日から通常生産の体制に戻るなど、部分的ながらも「脱・新型コロナウイルス」の動きが出始めている。こうしたなか、引き続き新型コロナウイルス関連のニュースフローを中心に日経平均は上下に振らされることになることが見込まれる。さらに、今週は10日に2月工作機械受注、中国2月生産者物価・消費者物価、11日に米2月消費者物価と日米中で主要経済指標の発表が波乱材料として働く可能性もある。
■感染対策関連と5G関連を物色
物色的には13日のメジャーSQを控えて主力大型株に手掛けにくさが意識されるなか、個別材料株物色の展開が主体となってこよう。治療薬開発など新型肺炎関連のほか、東証2部のアルチザネットワークス<6778>の決算発表とノキア社からの受注ニュースをきっかけに5G(第5世代移動通信システム)の業績インパクトが改めて注目されて物色のすそ野が広がる期待がある。
■メジャーSQ、中国2月消費者物価、米2月消費者物価
主な国内経済関連スケジュールは、9日に1月国際収支、10-12月期GDP改定値、2月景気ウォッチャー調査、10日に2月マネーストック、2月工作機械受注、12日に2月国内企業物価指数、1-3月期景気予測調査、2月都心オフィス空室率、13日にメジャーSQ、1月第三次産業活動指数の発表が予定されている。一方、米国など海外主要スケジュールでは、10日に中国2月生産者物価・消費者物価、11日に米2月消費者物価、米2月財政収支、12日にECB定例理事会、ラガルドECB総裁会見、米2月生産者物価、13日に米2月輸出入物価、米3月ミシガン大学消費者マインド指数が予定されている。
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関連銘柄
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(11:30)
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6778
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(11:30)
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7203
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3,208.0
(11:30)
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+66.0
(+2.10%)
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