ランサーズ、3Qも黒字で売上高・売上総利益共に堅調な成長 クライアント獲得に向け積極投資
会社概要
秋好陽介氏:ランサーズの秋好と申します。本日はお忙しいなか、ランサーズの決算発表説明会にお越しいただきまして、誠にありがとうございます。
さっそく決算発表を説明したいのですが、当社はまだ上場して数ヶ月しか経っていませんし、今日初めてお会いする方々も非常に多いと思っていますので、最初にぜひ、なぜランサーズを創業したのか、当社は社会に対して何をしたいのかを簡単に説明してから業績等の説明に移ります。
昨今はITセクターのベンチャー企業が非常に多く上場していますが、それらの会社さまの創業時期より少し前の2008年に創業しています。
私自身が大学生の時に、ランサーズで支援しているフリーランスという働き方をしていました。当時、2003年ぐらいから、私は大学に行きながらフリーランスとして大阪で働いていました。
その時に、「インターネットがあれば大阪の高槻市のような山々に囲まれた場所でも働けるんだ」ということを強く実感して、インターネットの世界に非常に興味を持ってニフティという会社に就職しました。
しかし、大手企業はなかなか個人に対して発注できないという現実を目の当たりにしました。そこで、私が昔使っていたようなインターネットを通して働くプラットフォームをつくり、セキュリティ上の問題で大手企業が(個人に対して)発注できないという問題も払拭できれば、働き方が変わるのではないかと思って(ランサーズを)起業したのが2008年です。
2008年当時からずっと、ミッションである「個のエンパワーメント」を掲げています。インターネットの可能性は、まさに個人が本来持っているものをエンパワーメントするというところにあると思っています。
その「個のエンパワーメント」のなかにもいろいろなエンパワーメントがあると思います。教育や学びなど、働くこと以外もあると思うのですが、やはり人生にとって、寝る時間を除くと、働くことは個人にとって非常に大きいものだと思っています。人類はこれまでもこれからも、どれだけIT、IoT、AI、ロボットが発達しても、働くことを通して個人として成長していくと思います。それは、100年後も200年後も変わらないと思っています。
そのため、この「働く」というところに軸足を置いて、「テクノロジーで誰もが自分らしく働ける社会をつくる」というビジョンを掲げています。
「ランサーズはどのような会社ですか」と質問されることもよくありますが、社員に「なぜこの会社に入ったの」と聞くと、間違いなくビジョンに共感していて、「ランサーズが目指すような働き方をつくりたいからこの会社にいるのです」と言うというのは、なかなか他社さまにはない特徴かなと思っています。
実際にそのビジョンを実現するための「Lancers Way」という(目標があり)、私の名札の裏にも書いてあります。
これを実現するために、いろいろな価値観はあるのですが、ランサーズ人としては、このような価値観で働いて、社会に価値提供をしていこうということを決めています。
この1枚のパワポでは表しきれませんが、日々のいろいろな仕組み……例えば朝会のスピーチ、人事評価の仕組みなどに理念を持って経営しています。
「個のエンパワーメント」というミッションと「テクノロジーで誰もが自分らしく働ける社会をつくる」というビジョンを掲げ、2008年から経営しています。
現在社員は200人前後います。当社の特徴として、フリーランスの方に仕事を提供するプラットフォームを運営しているので、月によって人数が変わるのですが、12月の実績では約800人のフリーランスの方に当社ランサーズ株式会社の仕事を依頼しています。
例えば、私の秘書は、タイのバンコクにいるフリーランスの方にお願いしています。また、この決算説明資料自体も、フリーランスの方につくっていただいています。十分に能力が高い方がたくさんいるので、IRでつくる資料もフリーランスの方につくっていただくなど、一緒に事業を行っています。
事業概要
当社の事業をすごく簡単に説明すると、オンライン上で企業と個人をマッチングして、いつでもどこでも時間と場所にとらわれずに働けるというサービスを運営しています。35万社以上の企業と、100万人を超えるフリーランスの方をオンラインでマッチングするプラットフォームを運営しています。
ビジネスモデル
このプラットフォーム上ではクラウドソーシングという匿名で仕事をお願いするスタイルと、オンラインスタッフィングという企業が特定の個人に対してオンラインで仕事を依頼するというスタイルがあるのですが、「Lancers」の場合は約9割の仕事がオンラインスタッフィングになっています。
270種類以上の仕事の依頼・受注が可能
では実際にどのような仕事が流通しているのかと申しますと、システム開発やクリエイティブ、記事の作成といった仕事が非常に大部分を占めるのですが、昨今とくに伸びているのが、一番下のバックオフィスという仕事です。
私の秘書やIRの資料作成もまさにそうですし、企業のなかで管理部や事業企画が担当するような仕事がオンライン化していっているというのが、この1、2年の特徴だと考えています。
東京のクライアントと地方のランサーをマッチング
現在はよく東京一極集中と言われますが、「Lancers」のサービスのなかではまったく逆のことが起こっています。先ほど発注(クライアント)企業の登録が35万社以上と申しましたが、60パーセントぐらいが東京の企業です。一方、100万人を超える受注者の方は、75パーセント以上が地方のユーザーです。
つまり、東京の仕事が地方に流れているということが「Lancers」のプラットフォームのなかで起こっているということです。
ランサーズで活躍するランサーの事例①
具体例があるとわかりやすいと思い、とっとこランサーさまという「Lancers」を活用いただいているユーザーをご紹介します。
ランサーズで活躍するランサーの事例②
2015年にネットのニュースでランサーズを知っていただき、当時はITとは全然違う仕事をされてらっしゃったのですが、「自分にもできるのではないか」と登録されたところ、およそ半年ほどで会社の収入を超えるほどの報酬をランサーズで獲得し「ランサーズ1本でやった方がいいのではないか」と思われたそうです。
ランサーズ1本になって、みるみる収入が100万円を超え、ランサーズ以外の報酬も得て月収430万円ほどの報酬を得て、今では独立されて月商1,200万円ほどのビジネスをされるようなWebメディアの運営をされているユーザーさまがいらっしゃいます。
何が言いたいかと申しますと、ランサーズが目指す「誰もが自分らしく働く」とは、報酬が高くなればいいというわけではありません。
彼は本来そのような生活をしたかったのですが、関西にお住まいで機会がなかなかなかったところに、ランサーズのプラットフォームがありました。今この瞬間ランサーズで報酬を得ているわけではないのですが、「個のエンパワーメント」の可能性として、ランサーズとしては理想的なユーザーさまです。
このように、ライターの仕事だけではなく、あらゆる仕事でとっとこランサーさまのように自分らしく働いていただき、報酬を稼いていただける状態にしたいと考えています。
日本のフリーランス市場を取り巻く環境
2008年に創業した時は、働き方改革やテレワークなどはほとんどありませんでした。
1年前、2019年に急激に変わってきたのは、国、企業、個人のそれぞれに価値観の変容があったからだと思っています。
ご存知のとおり、政府に関しては兼業や副業、働き方改革を促進しています。
東証一部上場企業で、3年から4年前に副業を解禁していた企業は20パーセントぐらいです。今年に入って50パーセントを超える企業が副業を解禁しているということは、すごく大きな変化だと感じています。東証一部企業の社員の50パーセントが流動化するというような捉え方もできると思っています。
そして何より、個人として副業を具体的に検討している、もしくは副業に興味があると思っていらっしゃる方が70パーセントを超えています。今までの、1社に勤めて一生終身雇用が当たり前だったという状況から、大きく変わってきているのが直近のトレンドだなと感じています。
日本のフリーランス市場
労働人口が減っているなかでフリーランス人口は増えてはいるのですが、とくにフリーランスのマーケットで伸びているのが副業・複業です。経済規模として、とくに濃い青のところが副業のフリーランスの規模です。
ランサーズ が急成長したタイミングは、2011年の震災時でした。震災後、都会で被災されて帰れないという状況で、どこで働くか、誰と働くかという点に非常に注目いただき、当時は会員数が300パーセントほど伸びました。
大変不幸なことではあるし、早く収束して欲しいとは思うのですが、新型コロナによって、ランサーズも含めいろいろな企業さまが在宅勤務を推奨しています。
東京オリンピックも背景にありますし、強制的にでも在宅勤務することによって、意外と(在宅勤務を導入)できるのではないかと気づかれる機運がますます高まると思っています。
ランサーズとしては、今後はしっかりとトレンドを下支えしていきたいと考えています。少し長くなりましたが、会社概要の説明は以上です。ここからは業績説明、そして直近の取り組みのお話をします。
企業価値の源泉とKPI
小沼志緒氏:CFOの小沼です。私からは第3四半期の業績を報告します。まずはじめに、このあと業績のご報告のなかで出てくる指標の関係図についてご説明します。
ランサーズはプラットフォーム事業を運営しています。したがって、当社のプラットフォームをお客さまにいかにお使いいただけたかを流通総額、そして流通総額にテイクレート(手数料率)を掛けた売上総利益を最大化することを、経営重要指標(KPI:業績評価指標)として置いています。
また、流通総額の要素であるクライアント数とクライアント単価を主要KPIとしてそれぞれ伸ばしていくことに注力しています。
2020年3月期第3四半期 サマリー
そのなかで、2020年3月期の第3四半期におけるポイントは4点ございます。まず1点目、売上高、売上総利益、流通総額のそれぞれの成長率についてです。
このあともご説明しますが、当社としては成長率約30パーセントを目指しています。この第3四半期についても堅調に推移していて、流通総額は前年同期比プラス26パーセント、売上高が前年同期比プラス37パーセント、売上総利益が前年同期比プラス21パーセント成長しています。
2点目です。このあと販管費の詳細もご説明しますが、当社は非常に筋肉質な体質になっており、第3四半期単体について4,400万円の黒字化を達成しています。
第2四半期単体においても5,000万円の利益を出しており、継続的に利益を出せる体質になってきたことがポイントです。
3点目は、主要KPIのクライアント単価が堅調に伸びていて、流通総額の成長を牽引している点です。
最後に、 第4四半期において、当社としては成長を加速させるべく、更なる投資をしたいと考えています。
詳細についてご説明します。
業績の推移 (連結)
過去5年間、並びに今期進捗している期におけるそれぞれの流通総額、売上高、売上総利益の推移です。
先ほど申し上げたとおり、30パーセント程度成長していますし、今後も継続的に行っていきたいと考えています。
2020年3月期第3四半期業績(累計)
13ページをご覧ください。2020年3月期第3四半期の累計実績です。①で囲っている部分が、先ほど申し上げた流通総額・売上高・売上総利益のそれぞれの成長率です。また、②のポイントを見ていただければと思いますが、通期の業績に対して非常に順調に推移しています。
当社の特徴として、とくに3月に売上高が非常に伸びる傾向があり、例年でいうと、だいたい通期業績に対して30パーセント程度を第4四半期の実績が占めています。今年も同じようなトレンドで推移する見込みですので、業績については順調に推移していると考えています。
一方、販管費を見ていただくと、63パーセントの進捗率になっています。こちらはこの後ご説明しますが、第4四半期で再び投資することにより販管費が増える予定になっているため、予定どおり進捗しているとご理解ください。
2020年3月期第3四半期業績(単四半期)
また、より理解していただくために、第3四半期3ヶ月間の単体の実績についてもこちらでまとめています。とくに①にご注目いただければと思いますが、成長率で申し上げますと、累計で見るよりもこちらの単体の実績を見ていただいた方が、成長率としては高いところが見て取れるかと思います。
流通総額が前年同期比プラス27.5パーセント、売上高が前年同期比プラス45.3パーセント、売上総利益が前年同期比プラス31.6パーセントと、順調に推移しています。また、トップラインは非常に伸びているのですが、販管費を見ていただくと前年対比で0.8パーセントの増加に留まっております。
こちらは冒頭で申し上げましたとおり、当社として非常に筋肉質な体質づくりに取り組んでいて、コストコントロールをしていることから、きちんと黒字化を達成できたと考えております。
流通総額の推移 (連結)
過去約3年間における四半期単体での業績の推移をまとめています。簡単にお伝えします。こちらは流通総額です。第3四半期累計で、26パーセント成長しています。
売上高の推移(連結)
売上高は37パーセント成長しています。先ほどお伝えしたとおり、第4四半期において売上高が構造的に伸びるところが特徴としてあると思っています。
売上総利益の推移(連結)
売上総利益で見ても同じような構図で、21パーセントの増加となっています。
販管費の推移(連結)
続きまして、18ページは販管費の推移です。特徴としては、当期の第1四半期に広告宣伝費を非常に踏み込みまして、結果として6億5,000万円程度まで増加しているのですが、その後はコストをかなり絞ったこともあって元どおりの水準まで落ちています。
売上総利益と営業利益の推移 (連結)
その結果として、営業利益については2期連続で黒字を確保できており、利益を出せるフェーズになってきています。
クライアント数・クライアント単価の増加
最後に、主要KPIの推移です。クライアント数とクライアント単価をKPIとしてそれぞれ伸ばしていく方針であることをお話ししたと思います。
クライアント単価は年間におけるクライアント1社あたりの流通総額から計算しているのですが、第3四半期末時点において、前期の取引額を超える水準までクライアント単価が伸びているところを見て取れるかと思います。
今期の戦略として、クライアント単価をとくに注力して伸ばしてきており、それが奏功した結果だと思っています。(クライアント単価を)よりいっそう伸ばしていくことで、流通総額全体を押し上げていくことを考えています。
簡単でしたが、業績のポイントは以上です。それでは、直近の取り組みについて取締役の曽根からお話しします。
直近の取り組み
曽根秀晶氏:みなさまこんにちは、取締役の曽根です。私から、直近の取り組みに関してご説明します。よろしくお願いします。
この四半期の取り組みは大きく3つあります。通期計画の達成に向けて、先ほど小沼から重要な指標としてクライアント数・クライアント単価、それを下支えする信頼ランサー数が中長期の競争優位の源泉という話をしました。
クライアント数についてです。クライアントの獲得に向けて、直近の流入の拡大と合わせて、今後はクライアント獲得のために積極投資をしていきます。これが1点目です。
2点目です。クライアント単価・クライアントARPUの拡大に向けて、戦略的に非常に重要な商品となる「Lancers Enterprise」という商品の拡販に、営業人員のセールスの拡大も含めて注力しています。
3つ目です。プラットフォームの健全性や、当社が「ランサー」と呼んでいるフリーランスの方個人の信頼化・見える化を進めていくために中長期的に取り組みます。
それぞれについて、簡単にご説明します。
広告宣伝費の推移(連結)
まず、1点目です。クライアント数の拡大に向けた取り組みについてです。
広告宣伝費を中心とした投資を、直近に拡大してきています。見てお分かりのとおり、2020年3月期には第1四半期にクライアントさま向けの認知の拡大に向けた大きな投資を行いました。これによって当社の認知度は非常に拡大し、第2四半期以降も認知の拡大によって流入が順調に着実に増加しています。
第3四半期で上場した効果もあり、さらに認知・流入が拡大しているため、次なるフェーズとして、認知が上がった状態で実際にアクションを起こし、コンバージョンされて実際に発注につながるようなクライアントの獲得に向けた動きに対し、当社としては積極的に投資を行っていきたいと考えています。
第4四半期のプロモーション方針
24ページはクライアントのマーケティングのパネルです。よくAISASと呼ばれる認知・Attention、興味・Interest、検索・Search、行動・Actionについて、これまではAction(認知)について、どちらかと言うと検索・リスティング広告を継続してきたのですが、第1四半期で認知拡大に大きな投資を行いました。
そのなかで、第4四半期には、クライアントのファネルをしっかりとつなげるような、興味・関心を持ったクライアントに対ししっかりとターゲットを絞って検索の行動に転換させるような取り組みへ投資していきたいと思います。
あわせて、検索によって実際に「Lancers」のサイトに訪問して来てくださったクライアントさまからしっかりとご発注いただくというアクションが非常に重要だと考えています。
単なるマーケティングの活動とあわせ、マーケティング施策で流入してきたお客さまの発注をサポートして、インサイドセールスというかたちで発注の転換を行います。当社は、しっかりと金額につながるサポートを第4四半期に非常に強化しています。
まとめますと、クライアントの獲得に向けて認知を拡大した状態でターゲットを絞ってしっかりと検索を促し、検索でいらっしゃったお客さまに対して発注を促す初回のサポートをしっかりと強化しています。以上はクライアント数に関する取り組みです。
Lancers Enterpriseに注力
2点目です。クライアント単価(クライアントARPU)の拡大に向けて、従来の商品に比べてARPUやLife Time Valueの大きい「Lancers Enterprise」を、戦略的な注力商品として拡販しています。
これまでのランサーズの既存の商品は、どうしても、どちらかと言うと中小企業やベンチャー企業からのご利用が多かったです。
そうではなく、より大手企業さまにご活用いただけるよう、単なるフリーランス個人の発注・調達だけではなくて、調達の先にある活用や一元的な管理までend to endで提供できるシステムを内包した「Lancers Enterprise」というサービスを提供し、ARPUを拡大していきたいと考えています。
Lancers Enterpriseのモデル
「Lancers Enterprise」の特徴をご説明します。5つ特徴があります。まず1番と2番の「タレントプールを構築」「即時発注の実現」というところについてです。
これまで、クライアントさま・企業さまにとって採用や派遣といった人材の調達にどうしても数ヶ月少かかっていたところに対して、当社のこのサービスでは社外のフリーランス人材を社内の人材のようにクラウドのマイチームとして社外に作り、数日以内に発注できるような仕組みを構築しています。
これによって、今まで人材調達・人材採用が困難だったクライアントさまから非常に好評をいただいています。
続いて「セキュリティー強化」「発注・承認の一元管理機能」についてです。これまでは人材調達の部分で評価・フィードバックをいただいていたのですが、大企業のみなさまからすると「個人に直接発注する上で、内部統制やコンプライアンスの課題を突破するのがなかなか難しい」というフィードバックをいただいていました。
それを解決するために、当社で複数の部門をまたぐかたちで人材・人員をしっかりと一元管理して、しっかりとフローに沿ったかたちでマネジメントできる機能を内包することで、これまでなかなかご発注いただけなかった大手のSI企業さまや大手の広告代理店さまから受注をいただけるようになりました。
最後は「発注をサポート」というところについてです。「社外人材の活用が重要なのはわかったが、使い勝手やリテラシーの問題で導入が難しい」というお客さまに対して、「派遣デスク」のように「フリーランスデスク」というイメージで専任・専属のアカウントのセールス担当を付けます。
企業さまにしっかりと導入し、他部門に展開して、その後、発注までつなげるよう一気通貫でサポートしています。これによって、一番重要な指標である1企業あたりの流通金額を拡大していく取り組みにつながっていると考えています。
海外にUpwork Global Inc.というフリーランスのプラットフォーム最大手のグローバル企業さまがいます。Upwork Global Inc.もEnterprise領域の取り組みを非常に強化していますが、当社も「Lancers Enterprise」への取り組みをとおしてARPUを上げつつ成長を加速していきたいと考えています。
ランサー(ユーザー)向け各種施策
3つ目です。より中長期的に考えたときに当社の競争優位の原泉になる「信頼ランサー」と呼んでいるフリーランスの品質や、そのフリーランスを含むプラットフォームの健全化、品質の向上に対する取り組みをご紹介します。AとBがプラットフォームの品質を改善する、プロダクトの改善に関する施策で、CとDが「信頼ランサー」というフリーランス個人向けの取り組みを加速するためのアライアンスです。A・B・C・Dの順に簡単にご説明します。
ユーザー様へ3つのお約束
1つ目は「ユーザー様へ3つのお約束」です。12月16日は当社の上場の日であり、同時に当社がサービスをリリースした記念日であるため「フリーランスの日」と設定しているのですが、その日にプラットフォームの健全化を図っていくための約束を宣言しました。
当社は2016年にも安全安心の品質宣言をしているのですが、より一層当社が社会のインフラ、社会の公器として「個のエンパワーメント」を行ううえで最低限重要になってくるような、例えば悪質な行動をするユーザーに対してしっかりと通報がなされるような仕組みを導入したり、そこのモニタリングを強化します。
しっかりとプラットフォームの健全性が維持されていくような取り組みを宣言しています。
認定クライアント制度の導入
Bとして、認定クライアント制度導入をご紹介します。
当社では認証、認定というかたちで優良フリーランスの方々をランクごとにしっかりと可視化して、そのような方々に優先的に仕事がちゃんと依頼されるよう仕組みを作ってきており、それによって流通が拡大して中長期の競争優位になっています。
一方で企業側はどうなのかという点で課題を感じていました。例えば依頼のガイドラインを制定する、優良な依頼にはランク制度をつけるというようなことはしました。
さらに、依頼する企業へのしっかりとした認証を行い、どのようなクライアントなのかしっかりと可視化し、そのクライアントさまがしっかりとした要件と優良な価格で発注しているかランク付けして、優良クライアントさまに対してはフリーランスからいい提案がたくさんいくような制度を導入しています。
具体的には、依頼の金額がしっかりと合って、キャンセルせず、適正な価格で発注いただけているような企業さまを優先的に表示するような仕組みを導入しました。競合との差別化を含めて、ユーザーさまから非常に好評をいただいています。
リース株式会社と業務提携
続いてアライアンスの取り組みを2つご紹介します。こちらはフリーランス向けの「smeta」という与信サービスを提供しているリース株式会社さまとの提携の案件です。
「Freelance Basics」は「フリーランスに会社機能を」というコンセプトを持っており、労務であれば健康診断、経理であれば請求書、法務であれば契約書のレビューというような、会社であれば普通に存在する機能を、当社がいろいろなサービスと連携することでフリーランスの個人に対してご提供するというサービスをずっと提供してきています。
メニュー拡大として、フリーランスのみなさまは住宅について課題を感じていらっしゃるところがあったため、与信をサポートするかたちで「smeta」を提供しているリース株式会社さまと提携してフリーランスに対する提供価値の拡大を図っています。
アドビ システムズ 株式会社と提携
こちらはAdobeさまとの提携です。Adobeさまは「Photoshop」「Illustrator」というクリエイティブソリューションをご提供されています。
当社のフリーランスのユーザーさまのなかにはクリエイターさまが多く含まれています。このクリエイターさまに対して、教育の機会やスキルを上げるような取り組みがなかなか十分にできておらず、これまで行ってきたものをさらに拡大していきたいと考えています。
Adobeさまと連携して2019年8月に「Photoshop」のクリエイティブスキルを拡大に取り組んだところ、1000名が10時間で応募し募集締め切りとなって非常に好評をいただきました。
Adobeさまからももっと取り組みを拡大したいと(打診されました)。今後はこれを4000名の規模にして提供するスキルの幅も広げるかたちで、スキル向上の施策の第2弾を展開しています。
2020年3月開催 Lancer of the Year
以上が直近の取り組みです。最後のトピックとして、3月15日に当社が開催する「Lancer of the Year」というイベントに関して簡単にご説明します。
こちらはフリーランスのみなさまを表彰するアワード、祭典です。2015年より始め、今年で6年目になります。今回は1000名を超える来場を予定しています。6回目なのですが、たくさんの企業さまから協賛をいただき、大規模にスケールアップするかたちで開催します。
なぜこの発表をわざわざ最後に持ってきたかと申しますと、冒頭に秋好からもありましたが、当社のビジョンやミッションに対して非常に共感したステークホルダー……当社自身もそうですし、お客さまや、広くはみなさまもそうだと思いますが、それらを非常に真摯に受け止めて、その取り組みを進めていきたいと思っています。
フリーランスの方々は、自分自身が市場に直接向き合って生きていらっしゃいますし、働いていらっしゃいます。そのように先端的な働き方をしていらっしゃるフリーランスの方々を、最前線のワークスタイルを実践して体現されている方々として表彰するという取り組みを2015年から始めています。
私自身も2015年の第1回開催から企画段階で関わらせていただき、私個人としてもランサーズがなぜここにあるのか、ランサーズは何を社会に対して提供しているのかというのを実感、体験できる原点になっているようなイベントになっています。
このようなサービスをとおして、収益はもちろん、収益以上に中長期的に社会に対して当社がどういった価値を提供しているのか、ランサー中心主義というかたちで「Lancers Way」にも書かせていただいていますが、社会に対して価値を提供していることを当社としても外に伝えていきたいと考えています。
当社からの発表は以上です。ご清聴、どうもありがとうございました。
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