今週も、新型肺炎の感染拡大への警戒感が高まり、23000円台前半でのもみあいへ

著者:出島 昇
投稿:2020/02/17 18:52

先週は、米国市場の3指標は史上最高値更新続くが、日経平均は23600~24000円のもみあい

 先週の予測では、前週の米国市場は楽観論が支配し、4日連続の大幅上昇となり、米株3指標は3日連続の史上最高値更新となりました。しかし、米株式が上昇しても中国に近い日本は楽観論にならず、6日(木)の日経平均は23995円までが精一杯で24000円を突破できませんでした。そのため24000円の回復は難しく、当面は23000~24000円の中でのもみあいが続くとし、その中で先週は、まず下値として25日移動平均線のある23600円台を守れるかどうかに注目としました。

 結果的には、米国市場では3指標は引き続き史上最高値を更新し、12日(水)には、終値ベースでNYダウは29500ドル台に初めてのせました。日経平均は13日(木)には23908円まで上昇したものの、翌日は23603円まで下落し、週の終値は23687円と23600円台を守りました。

 2月10日(月)は、前週末のNYダウが新型肺炎の感染が拡大したことを嫌気し、5日ぶりに▲277ドルの29102ドルと反落となったことで、寄り付きは▲196円の23631円で始まり、▲206円の23621円まで下げて、その後は時間外の米株先物や上海株が底堅い動きとなったことで下げ渋りました、しかし、後場になると翌日の祝日を前に手控えムードが強まり▲142円の23685円で引けました。

 11日(火)は建国記念日で休場でしたが、米国市場ではNYダウは小幅反落、S&Pとナスダックは最高値更新が続きました。

 これを受けて12日(水)の日経平均は、寄り付きは△55円の23741円となり、この日はソフトバンクグループの上昇で日経平均の指数を△183円の23869円まで引き上げました。この△183円の日経平均のうち、ソフトバンクのみで約132円の上昇でした。

 実体はトピックスが▲0.7Pの1718Pで示されるように(値下がり銘柄数が1275銘柄で値上がり銘柄数は796銘柄)とアンバランスとなっていました。

 これはソフトバンク傘下の米携帯通信4位のスプリントと同3位のTモバイルの合併が承認されたためソフトバンクが急騰した結果です。

 13日(木)は、前日のアメリカ市場で新型肺炎の感染者の増加ペースが1月下旬以来の水準へ鈍化してきたことで、楽観論が支配し、NYダウは△275ドルの29551ドルと初めて29500ドル台のせとなり、3指標そろって史上最高値更新が続きましたが、日経平均は、ほとんど影響せず▲33円の23827円と売り優勢の展開でした。

 週末の14日(金)は、前日の米国市場は新型肺炎の感染者が増加したことを嫌気し、NYダウは▲128ドルの29423ドルと反落したことで日経平均は▲113円の23714円で寄り付き、一時▲224円の23603円まで下落し、いったん▲89円の23738円まで持ち直しましたが、大引けにかけて上値が重くなり、▲140円の23687円で引けました。2月SQ値は23744円となって、2月第2週の終値はSQ値を下回って引けました。

 13日(金)のアメリカ市場は、中国で新型肺炎の感染拡大が続く中、企業決算は好調だったものの、1月小売売上高は前月比と変わらずとなって個人消費の減速懸念や3連休を控えた持ち高調製もあり売り圧力が強く始まりました。NYダウは一時140ドルまで下げるものの、ホワイトハウスが株式投資への税優遇策を検討していると伝わると▲25ドルまで下げ幅を縮小し、S&Pやナスダックは小幅ながら史上最高値を更新して引けました。シカゴの日経先物は▲95円の23535円でした。

今週も、新型肺炎の感染拡大への警戒感が高まり、23000円台前半でのもみあいへ

 今週は、土日の連休の間に新型肺炎の感染拡大が継続しており、ニュースは新型肺炎の話題一色となって投資家心理を冷やす状況になってきました。先週末の米国市場でも3指標はしっかりしていましたが、上値の重い展開となっており、日本に停泊中の客船から米国人乗客がチャーター便で米国へ引き取られましたので、米国内のニュースで、この話題が高まれば、米国内で新型肺炎に関する話題が広がり不安感を高め、これまでの楽観論が大きく後退することが考えられます。その結果、米国株式が下落すれば日本株式は米株高に支えられていますので、日本株は下落することになり、まずは23000~24000円の中で、下限での様子見となる可能性があります。17日(月)の朝に発表される昨年10~12月期GDP速報値は、この中には今年になっての新型肺炎の影響は受けていませんので、割り引いて考える必要があります。又、今週は週末から3連休となりますので、特に週後半は様子見が高まります。

 日経平均がしっかりする場合は、SQを通過して需給関係が改善されたこととか、FRBが新型肺炎の景気への悪影響を考えて、早目に利下げの手を打って、NYダウが3万ドルを目指す場合が考えられますので、トランプ大統領やFRB議長の発言があれば注目となります。

 本日の寄り前発表の、昨年10~12月期のGDPの速報値が前期比で-1.6%と予想の0.9%を大きく下回り、▲197円の23489円で寄り付いたあと、一時▲351円の23335円まで下落しました。売り一巡後は上海株やハンセン指数が上昇したことで下げ渋り、23561円まで下げ幅を縮めましたが、後場、再び上値重くなるものの、終盤はやや持ち直し▲164円の23523円で引けました。新型肺炎の収束がいつになるのか判断が難しく、一方で金余りで下げると押し目買いが入るため、もみあい相場が続きそうです。

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(指標)日経平均

 先週の予測では、前週に世界的金融緩和から株価が押し上げられたものの、新型肺炎の感染拡大が治まったわけではなく、世界経済への楽観論と悲観論が入り交じって、日本の場合は23000~24000円の中でのもみあいが当面続くものと思われるとしました。

 結局、中国から遠くの米国では、楽観論から米株式3指標は史上最高値を更新し続けていますが、中国に近い日本は、それに連動せず目先は25日移動平均線のある23600円台を下値に23600~24000円のもみあいで終始し、週の終値は▲140円の23687円でした。

 今週は、先週から新型肺炎拡大懸念が一段と高まっており、その流れの中で拡大への警戒感に応じて株価が下値を試すことになります。基本は23000~24000円の中での動きとしていましたが、先週は23600~24000円の中で23600円台前半の動きとなっており、今週、警戒感がより高まれば23000~24000円の中での前半を試す動きとなる可能性があります。特に米国株が下落したり、本日17日発表の2019年10~12月期GDPが予想を下回ったことで、投資家心理を冷やすことになります。週末から3連休ですので週後半は様子見が続くことになります。
 

 

(指標)NYダウ

 先週の予測では、中国の金融緩和をきっかけにアメリカでは楽観論が支配し、新型肺炎の問題はそれほど重要視されず、3指標は史上最高値更新を続けてきたので、いったん利益確定売りとなるのかどうかとしました。

 結果的には、新型肺炎拡大懸念で、下落する場面がありましたが、好調な決算発表を受けて、3指標の史上最高値更新は止まりませんでした。週末、株価が下げたところではホワイトハウスが株式投資への税優遇策を検討していることが報じられ、NYダウは▲140ドルから▲25ドルまで下げ幅を縮小しました。

 先週は、新型肺炎に対する楽観論が優勢で2月12日には29568ドルと3万ドルの大台まであと432ドルまで迫りました。しかし、新型肺炎の感染拡大が止まらないため、今週は楽観論が後退し、上値が重くなる可能性があります。本日17日(月)はプレジデントデーで休場ですが、休場明けには世界的に感染者が増加している確認もできるので、楽観論は起こりにくいと思われます。但し、19日に1月開催のFOMC議事録が公開されるので、FRBによる今後の景気見通しに何らかの示唆があるかどうかに注目となります。
 

 

(指標)ドル/円

 先週の予測では、中国が感染拡大による経済活動の縮小を抑えるため、大量の資金を市場に提供しました。そのため世界の株式は4日間の大幅反発となり、為替も1ドル=108円台前半から110円までドルが買われました。しかし、目先の材料は織り込んだので110円からの上値は重くなり、新型肺炎の拡大状況をみながらの為替の動きとなりました。

 結果的に新型肺炎の拡大は止まらず、一方でアメリカ経済はしっかりしており、株価は史上最高値更新を続けており、そのため109~110円の中でのこう着状態となっています。

 先週は、アメリカでは新型肺炎の感染が楽観視され、一時109.56円から110.13円までドルが買われましたが、週後半には感染拡大が止まらなかったことで、楽観論が後退し、109.77円で引けました。今週は楽観論が後退し、ドルは上値重く、特に発表される経済指標が予想を下回れば、リスク選好的なドル買いは縮小し売られやすくなります。一方で、トランプ大統領は一段の政策金利の引き下げに言及しているので、感染拡大の懸念が高まればFRBは将来の景気への懸念から予防的な利下げに言及する可能性もあります。
 

 

配信元: みんかぶ株式コラム