ムサシ Research Memo(3):デジタルアーカイブシステム“RoDA”を差別化の武器に成長加速を目指す

配信元:フィスコ
投稿:2020/01/15 15:33
■中期成長戦略と進捗状況

2. メディアコンバート事業の進捗状況
ムサシ<7521>はメディアコンバート事業において、特殊なデジタル化技術を持つ会社からデジタルアーカイブ事業を譲り受けた。これにより、独自のデジタルアーカイブシステム「RoDA」をリリースした。このシステムはスキャナーやデジタルカメラで作成された高精細画像を、美しい画質のまま効率的に圧縮・保存・利用することを可能にする技術だ。

デジタルカメラなどの性能向上により、美術品や文化遺産を高精細画像にすることは容易になっているがそれらをインターネット上で効率的に利用するのは必ずしも簡単ではない。高精細画像を圧縮・保存・利用するための国際規格としてJPEG2000があるが、問題はこの規格に沿って画像の処理を行おうとすると、非常に動作が重くなって実用性が著しく損なわれる点にある。RoDAはこの点を解決した新技術だ。

RoDAの効果としては、大きく2つ挙げることが出来る。1つは他社との差別化だ。JPEG2000の規格を利用しようとする際は、RoDA技術を有する同社はほとんどのケースで検討対象に入ることとなり、そのうちのかなりの割合がRoDAを採用することになると期待される。第2はメディアコンバート事業にとって新市場が創出されることだ。図書館・公文書館の文書や美術館・博物館の収蔵品の画像について、JPEG2000規格でのデジタル化を強力に推進することが可能となった。これらの収益貢献が顕著なものとなるまでには多少時間を要しようが、貴重な文化財の保存・保管に貢献するのみならず、一般市民がそうした貴重な文化財や美術品等にオリジナルに近い状態で接する機会を増やすことは社会的要請でもあるため、各種施設側にポジティブに受け入れられるものと期待される。

メディアコンバート事業全体の進捗状況としては、ここ数年売上高が30億円台半ばで横ばい圏での推移が続いている。これは官公需の大型案件の受注が伸びないことが主因だ。その背景としては文書デジタル化予算が頭打ちになっていることと、同社が採算性重視の姿勢を貫いていることがある。一方民需については、同社の技術優位性や機密保持性などを生かした提案営業により、順調な拡大が続いている。こうした状況にあるため、売上高は横ばいが続いているものの、利益は着実に稼ぐことが出来ている模様だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)


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