■業績動向
1. 2019年9月期の業績概要
(1) 損益状況
アイナボホールディングス<7539>の2019年9月期の連結業績は、売上高69,584百万円(前期比10.1%増)、営業利益2,164百万円(同41.9%増)、経常利益2,400百万円(同40.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,454百万円(同30.7%増)となった。増収分のうち、約3,700百万円は新規連結子会社によるもので、実質の増収分は約2,600百万円(前期比4%増)であった。戸建住宅事業、大型物件事業ともに増収を確保したことに加え、売上総利益率が0.5ポイント改善し、一方で販管費を予算内(新規連結子会社による増加分以外は微増)に抑えることができたため営業利益は大幅増益となった。ただし、前期の水準が低かったことも増益率が高くなった理由の1つだ。セグメント別の利益は、戸建住宅事業は前期比33.6%増、大型物件事業は同51.9%増となり、両事業で増益を確保した。
営業利益の増減を分析すると、増益要因としては、増収によるプラス効果385百万円、売上総利益率改善(0.5ポイントアップ)による増加が341百万円、新規連結子会社(株式会社今村)による増加が102百万円、一方でマイナス要因としては販管費の増加による影響が190百万円であった。その結果、営業利益は前期比で638百万円増加した。
(2) セグメント別状況
セグメント別及びサブセグメント別状況は以下のようであった。
a) 戸建住宅事業
戸建住宅事業の売上高は60,843百万円(前期比7.5%増)、セグメント利益は2,913百万円(同33.6%増)となった。サブセグメント別の売上高は、外壁工事が14,167百万円(同3.5%減)、住設工事が18,128百万円(同4.2%減)、建材販売が14,558百万円(同25.0%増)、住設販売が13,988百万円(同23.3%増)となった。
外壁工事と住設工事の売上高が前期比で減少しているが、これは2018年1月からのシステム変更に伴い、それまで工事を伴う現場に納入していた商品販売は工事セグメントに含まれていたものを、建材販売や住設販売へ組み替えたことによる。減収となったのは、この組み替えの影響によるもので、内容が悪かったわけではない。また利益面では、前期は新システムへの移行に伴い仕入れ面で原価管理が徹底できなかったことなどから売上総利益率が低下したが、この影響は完全に消失し、売上総利益率は改善した。また経費面でも、物流や廃棄コストの上昇があったが、いずれも想定内であった。一方で予算化していた人材採用が遅れたことなどから経費は予算内に収まり、新規連結子会社分を除けば、微増となった。その結果、セグメント営業利益は前期比33.6%増となった。
b) 大型物件事業
大型物件事業の売上高は8,741百万円(前期比32.4%増)、セグメント利益は566百万円(同51.9%増)となった。サブセグメント別売上高では、タイル販売・工事が4,059百万円(同61.9%増)、住設販売・工事が4,682百万円(同14.3%増)となった。セグメント利益が増加したのは、主にタイル工事や官公庁向け空調設備工事などが好調であったことに加え、前年上期に発生した不採算工事が消失した影響による。
(3) 事業会社別業績
各事業会社の業績は、すべての会社が期初の予想を上回る結果となった。
(4) 重点課題の達成状況
同社が「重点課題」とした各課題の達成状況は以下のようであった。年度によって浮き沈みが激しいアルティス以外は前期比で増収を達成した。アルティスについては、2020年春に分社化することを計画している。新規顧客開拓は件数、金額ともに前期比で減少したが、水準としては問題がない。ZEH/ゼロエネ/認定住宅の件数は依然として低いが、これらの施工を確実に行うにはかなりレベルの高い職人が必要であり、実行するのは容易ではない。この現実を行政・業界ともに理解し始めており、今後は指針や市場そのものが変わってくる可能性がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<MH>
1. 2019年9月期の業績概要
(1) 損益状況
アイナボホールディングス<7539>の2019年9月期の連結業績は、売上高69,584百万円(前期比10.1%増)、営業利益2,164百万円(同41.9%増)、経常利益2,400百万円(同40.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,454百万円(同30.7%増)となった。増収分のうち、約3,700百万円は新規連結子会社によるもので、実質の増収分は約2,600百万円(前期比4%増)であった。戸建住宅事業、大型物件事業ともに増収を確保したことに加え、売上総利益率が0.5ポイント改善し、一方で販管費を予算内(新規連結子会社による増加分以外は微増)に抑えることができたため営業利益は大幅増益となった。ただし、前期の水準が低かったことも増益率が高くなった理由の1つだ。セグメント別の利益は、戸建住宅事業は前期比33.6%増、大型物件事業は同51.9%増となり、両事業で増益を確保した。
営業利益の増減を分析すると、増益要因としては、増収によるプラス効果385百万円、売上総利益率改善(0.5ポイントアップ)による増加が341百万円、新規連結子会社(株式会社今村)による増加が102百万円、一方でマイナス要因としては販管費の増加による影響が190百万円であった。その結果、営業利益は前期比で638百万円増加した。
(2) セグメント別状況
セグメント別及びサブセグメント別状況は以下のようであった。
a) 戸建住宅事業
戸建住宅事業の売上高は60,843百万円(前期比7.5%増)、セグメント利益は2,913百万円(同33.6%増)となった。サブセグメント別の売上高は、外壁工事が14,167百万円(同3.5%減)、住設工事が18,128百万円(同4.2%減)、建材販売が14,558百万円(同25.0%増)、住設販売が13,988百万円(同23.3%増)となった。
外壁工事と住設工事の売上高が前期比で減少しているが、これは2018年1月からのシステム変更に伴い、それまで工事を伴う現場に納入していた商品販売は工事セグメントに含まれていたものを、建材販売や住設販売へ組み替えたことによる。減収となったのは、この組み替えの影響によるもので、内容が悪かったわけではない。また利益面では、前期は新システムへの移行に伴い仕入れ面で原価管理が徹底できなかったことなどから売上総利益率が低下したが、この影響は完全に消失し、売上総利益率は改善した。また経費面でも、物流や廃棄コストの上昇があったが、いずれも想定内であった。一方で予算化していた人材採用が遅れたことなどから経費は予算内に収まり、新規連結子会社分を除けば、微増となった。その結果、セグメント営業利益は前期比33.6%増となった。
b) 大型物件事業
大型物件事業の売上高は8,741百万円(前期比32.4%増)、セグメント利益は566百万円(同51.9%増)となった。サブセグメント別売上高では、タイル販売・工事が4,059百万円(同61.9%増)、住設販売・工事が4,682百万円(同14.3%増)となった。セグメント利益が増加したのは、主にタイル工事や官公庁向け空調設備工事などが好調であったことに加え、前年上期に発生した不採算工事が消失した影響による。
(3) 事業会社別業績
各事業会社の業績は、すべての会社が期初の予想を上回る結果となった。
(4) 重点課題の達成状況
同社が「重点課題」とした各課題の達成状況は以下のようであった。年度によって浮き沈みが激しいアルティス以外は前期比で増収を達成した。アルティスについては、2020年春に分社化することを計画している。新規顧客開拓は件数、金額ともに前期比で減少したが、水準としては問題がない。ZEH/ゼロエネ/認定住宅の件数は依然として低いが、これらの施工を確実に行うにはかなりレベルの高い職人が必要であり、実行するのは容易ではない。この現実を行政・業界ともに理解し始めており、今後は指針や市場そのものが変わってくる可能性がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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