クイック Research Memo(5):2020年3月期第2四半期は10期連続増収増益、過去最高益更新

配信元:フィスコ
投稿:2019/12/09 15:05
■業績動向

1. 2020年3月期第2四半期の業績動向
クイック<4318>の2020年3月期第2四半期の業績は、売上高10,864百万円(前年同期比9.3%増)、営業利益2,305百万円(同14.3%増)、経常利益2,321百万円(同14.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益1,552百万円(同12.2%増)となった。売上高、利益ともに期初計画を若干上回って推移、第2四半期において10期連続の増収増益、過去最高を更新した。

事業環境は、企業収益が底堅く推移し、雇用や個人消費も改善が続いているものの、2019年10月の消費税増税による国内消費への影響や米中貿易摩擦問題の長期化、中国経済の減速、英国のEU離脱問題など世界的な景気減速への懸念が増している。一方国内雇用情勢は、少子高齢化による労働力や生産年齢人口の減少といった構造的要因により、様々な分野で人手不足が深刻化している。2019年9月の有効求人倍率(季節調整値)は1.57倍、完全失業率(季節調整値)も2.4%と、雇用関連指標は引き続き企業の人手不足感を反映した結果になっている。一方で、世界的な景気減速への懸念から、雇用情勢についても一部にやや慎重な見方が広がっている。このような事業環境の中、同社は、専門職紹介、自社システム開発という差別化されたサービスと機能を磨き上げるとともに、海外展開やスマートフォンアプリの強化など新たな注力分野の開拓やサービスの拡充、グループ内での連携強化などを図り、好業績を達成することができた。


人材紹介が好業績をけん引
2. 2020年3月期第2四半期の事業別業績動向
事業別の業績は、人材サービス事業が売上高7,322百万円(前年同期比14.1%増)、営業利益2,130百万円(同13.5%増)、リクルーティング事業が売上高1,689百万円(同3.1%減)、営業利益410百万円(同16.2%増)、情報出版事業が売上高999百万円(同8.6%増)、営業利益74百万円(同93.1%増)、その他が売上高851百万円(同0.4%減)、営業利益は87百万円(同30.4%減)となった。なお、その他を構成するネット関連事業は売上高366百万円、営業利益97百万円、海外事業は売上高485百万円、営業損失10百万円だった。

人材サービス事業では、人材紹介において、建設・土木分野における施工管理技術者の紹介が好調だったほか、米中貿易摩擦問題を受けて電機産業など一部に採用に慎重な企業が見られたものの、企業を絞り込んで営業を強化するなどの取り組みが奏功し、自動車産業など一般企業向け専門職・技術職の紹介は順調に拡大した。また、病院や介護施設などを対象とした看護師紹介は、競合他社との競争が激化するなか、きめ細かな登録者対応や効果的なプロモーションなどにより堅調に推移した。人材派遣・紹介予定派遣・業務請負等も、登録者獲得競争が激化する看護師派遣・保育士派遣、IT・Web関連職種などの分野で順調に推移した。リクルーティング事業では、2021年3月卒業予定の大学生をターゲットとしたインターンシップサイトへの広告やイベントの取扱いなどが好調、正社員及びアルバイト・パートの中途採用求人広告の取り扱いも底堅く推移した。なお、自社企画商品や2019年3月期に取扱いを本格的に開始したIndeedは顧客企業に好評で伸長したが、派遣登録の一部メディアで2018年12月より契約形態が代理店形態から販売委託形態に変更されたため、売上計上が取扱高から取扱手数料へと変更になり減収要因となった(粗利は順調に拡大)。

情報出版事業では、主力の各種・各地の情報誌はほぼ横ばいだったが、IndeedなどWeb関連の取扱高が拡大した。メディア以外では、折り込みチラシのポスティングサービス及び転職・家づくり・ブライダルのコンシェルジュサービス「ココカラ。」が好調だった。その他のネット関連事業では一部サービスが低調だったものの、人事情報ポータルサイト「日本の人事部」の広告収入が堅調に推移した。海外事業では、各地で現地日系企業中心に人材紹介や人事コンサルサービスが順調に拡大した。なお、ブレグジットを控える英国では、英国から欧州への人材紹介は順調だったが、英国国内での人材紹介や人材派遣が伸び悩んだ。なお、海外子会社の営業支援を行う(株)クイック・グローバルでは現地社員の研修や営業支援体制の拡充を進めているためやや費用先行となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)


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