~超硬小径エンドミルで業界No.1、開発センターの新設で次に備える~
・2020年3月期の上期が終わったところで通期見通しを下方修正した。中国での自動車減産が波及している。米中ハイテク摩擦は予断を許さないが、一本調子で悪化するわけではない。5Gは来期以降に本格化してくる。この下期がボトムとなろう。
・自動車関連では、LEDライトの普及にみられるデザイン性の向上や、ADAS(先進運転支援システム)の拡がりが精密工具の需要に結びついている。5G関連もすでに試作から製品化の段階にあり、新しい精密加工の分野が本格化しよう。5Gは、スマホはもちろん、IoTを通して社会インフラに波及していくので、今後への期待は大きい。
・前期まで5期連続の過去最高利益となったが、今期は売上が伸びない中で、コスト負担が増す。新たな開発センターを建設、タングステンなどの原材料アップ、2020年1月の当社主催の大掛かりな展示会などによって、2020年3月期は減益となろう。
・プライベートな展示会(「NS TOOL プライベートショウ2020」)では、当社の超硬工具の用途開発を機械メーカーと一緒になって顧客に提示する。新開発センターでも、実際の加工ができるように機械を揃え、次のニーズを開発に活かしていく。
・開発センター(投資額13億円)は、仙台工場の敷地で11月に完成予定である。精密加工に必須の先端的な免震・制震構造を取り入れた。精密電子デバイスの新分野は、当社の工具需要に一段と結びつくので、次の新工場に対応する必要もあろう。内部資金で十分充当できるので、タイミングを見ながら先行することになろう。
・後藤社長の経営哲学は、利益率重視で規模は追わない。顧客が新製品の加工方法を開発している段階から関わっていく。業界トップのCBN(立方晶窒化ホウ素)素材を利用した高付加価値小径エンドミルは、内外とも用途が広がっている。次のPCD(ダイヤモンド焼結体)素材を利用したエンドミルも、鏡面加工の分野などで市場開拓が始まっている。
・今期は減益ながら、新規市場の広がりで、高水準の業績を確保することはでき、来期は増益に転換しよう。グローバルな競争力は高まっている。株価は割安ゾーンにあるので、ニッチな市場で高収益を実現する企業として引き続き注目したい。
目 次
1.特色 超硬小径エンドミルで業界トップ
2.強み 一貫した集中と差異化で攻める
3.中期経営戦略 さらなる小径化・長寿命化を進め、内外の新市場を開拓
4.当面の業績 調整局面ながら新規重要の寄与もあり、減益を乗り切ろう
5.企業評価 競争力の強化で先行し、高収益を継続
企業レーティング | A |
---|---|
株価 (2019年11月11日) |
2283円 |
時価総額 | 286億円 (12.5百万株) |
PBR | 2.06倍 |
ROE | 10.4% |
PER | 19.6倍 |
配当利回り | 2.0% |
総資産 | 15754百万円 |
純資産 | 14033百万円 |
自己資本比率 | 88.3% |
BPS | 1112.5円 |
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | 配当 |
---|---|---|---|---|---|---|
2012.3 | 5781 | 962 | 1032 | 535 | 43.0 | 8.75 |
2013.3 | 5997 | 921 | 951 | 527 | 42.2 | 9.75 |
2014.3 | 6418 | 1069 | 1107 | 694 | 55.6 | 15.0 |
2015.3 | 7402 | 1481 | 1534 | 973 | 77.9 | 20.0 |
2016.3 | 8382 | 1914 | 1954 | 1342 | 107.4 | 25.0 |
2017.3 | 8825 | 2013 | 2026 | 1420 | 113.6 | 40.0 |
2018.3 | 9767 | 2685 | 2733 | 1903 | 152.2 | 45.0 |
2019.3 | 10476 | 2879 | 2894 | 1970 | 157.6 | 45.0 |
2020.3(予) | 9590 | 2150 | 2160 | 1460 | 116.8 | 45.0 |
2021.3(予) | 10000 | 2300 | 2300 | 1570 | 130.5 | 45.0 |
(2019.9ベース)
(注)ROE、PER、配当利回りは今期予想ベース。2012年10月に1:2、2014年10月に1:2、2017年1月に1:2の株式分割を実施。2016.3期以前のEPS、配当は修正ベース。2014.3期は60周年記念配(5円相当)、2017.3期は2部上場記念配(5円)、2018.3期は1部上場記念配(5円)を含む。
企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。
レポート全文はこちらから
http://www.belletk.com/niltusinnkougu201911.pdf
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銘柄 | 株価 | 前日比 |
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