再び「最終関門」を巡る攻防戦 - ドル円

著者:武市佳史
投稿:2019/11/05 10:46

◆「米経済悪化懸念」「米中通商懸念」は共に後退 - 108円後半へ押し戻される

※ご注意:予想期間は11月6日と表示されていますが、本日(11月5日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


にわかに台頭した「米中通商協議」「米景気悪化」に対する“悲観論”は、共に後退しました。

まず注目の米雇用統計は“好内容”とまではいえないものの、“そこそこ”の数値は維持しました。
その後に発表されたISM製造業PMIも“事前予想は下回った”ものの、“前月分は上回った”ことから、過度な“悲観論”は後退していきました。

一方で『中国ファーウェイ向けの部品供給ライセンスを間もなく発行予定』『月内に米国で署名する計画』との報道から、「米中通商協議」に対する懸念も大きく巻き戻されています。
NYダウが史上最高値を更新する中“リスク選好姿勢”に振れており、ドル円は“108.646円”へと巻き戻されています。

◆“もう一段、上値を試す”は十分に考えられるが…?

東京市場が“連休中”であったことを考えれば、「(米中絡みのリスク選好は)まだ消化し切れていない」という向きは存在すると見るのが自然です。
このため“もう一段、上値を試す”といった展開は、十分に考えられるところです。
しかし仮に「第1段階の署名」が行われても、「第2段階合意へのハードルは高い」と見ざるを得ないことを考えれば、「このままリスク選好姿勢に傾く」といった展開は甚だ疑問といわざるを得ないところがあります。

テクニカル的に見ると、再び「最終関門(200日移動平均線)」が行方を遮っている格好となります。
“突っかける場面”はあるかもしれませんが、“明確な突破”に向けては「もう一つ、二つの後押しが欲しいところ」…。
「そうは崩れない」を示現した直後ですので“下値は堅い”と考えますが、本日に関しては“上値も押さえられる”と見ておくべきかもしれません。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:109.315(8/1高値、10/30高値、50週移動平均線)
上値4:109.222(ピボットハイブレイクアウト)
上値3:109.028(200日移動平均線、大台)
上値2:108.897(10/31高値、+1σ、ピボット2ndレジスタンス)
上値1:108.750(10/30~11/1の61.8%戻し、ピボット1stレジスタンス)
前営業日終値:108.571(日足・一目均衡表転換線)
下値1:108.505(20日移動平均線)
下値2:108.421(月足・一目均衡表転換線)
下値3:108.284(ピボット1stサポート)
下値4:108.179(11/4安値)
下値5:108.000(大台、-1σ、ピボット2ndサポート)
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想