突破するには「もう一つポジティブが必要」…!? - ドル円

著者:武市佳史
投稿:2019/10/16 10:31

◆さらなる“リスク選好⇒巻き戻し” - 108円後半へ続伸

※ご注意:予想期間は10月17日と表示されていますが、本日(10月16日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


「合意なきBrexit懸念」は昨日も後退し、“リスク回避の巻き戻し”は継続しました。
「好内容の米企業決算」を背景に、“株高(NYダウは230ドル超の続伸)”も後押しとなった印象があります。
このためドル円は“先週末高値(108.622円)”を上回り、“108.897円”へと上値を伸ばしています。

一方“次なる上値メド(200日移動平均線:昨日は109.063円)”を窺うには至っておらず、手前の“大台ライン(109.00円)”にも到達しておりません。
このため“堅調推移”は続いているが、“上値の重さ”も相変わらずといった様相ともいえます。

◆ただし現時点の“楽観”は「届かなかった際の懸念」を促す…?

想定以上に“楽観(期待感増大)”へと傾斜してしまった格好といえますが、しかし昨日も記したように、現時点での傾斜は「いささか疑問が生じる」と見ざるを得ないところがあります。
「EU首脳会議(英-EU間の合意)」は依然として“不透明”であり、仮に合意されても「英議会が承認しない可能性」は残存します。
“第1段階合意に過ぎない”という「米中通商協議」の弱みを踏まえれば、決して「“楽観”に傾斜できる状況ではない」ともいえるからです。

もちろんマーケットは“流れ(思惑)”が中心ですので、このまま“200日移動平均線(本日は109.068円)”を窺わないとは限りません。
しかし“楽観”に傾斜している現状を踏まえれば、「このまま突破といったシナリオは描きづらい」、逆に「届かなかった際は要注意」といわざるを得ないところもあります。

基本的には「堅調推移は続く」と見ていますが、少々警戒をしつつ、ことの成り行きを見守りたいところです。
新たなポジティブが跳び出すのを、期待しながら…。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:109.620(5/31高値)
上値4:109.547(50週移動平均線、月足・一目均衡表基準線)
上値3:109.315(8/1高値、ピボット2ndレジスタンス)
上値2:109.114(ピボット1stレジスタンス、200日移動平均線)
上値1:109.000(大台)
前営業日終値:108.851
下値1:108.606(+2σ)
下値2:108.421(週足・一目均衡表基準線、月足・一目均衡表転換線、ピボット1stサポート
下値3:108.339(+1σ)
下値4:108.154(10/15安値)
下値5:108.034(10/14安値、10/3~10/15の38.2%押し、大台)
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想