イベントあれど、相場は動かず?!

著者:比嘉洋
投稿:2019/10/09 13:21

●駆け引き続くも、結果は先送りか?

今週の注目点は10~11日に開催される米中閣僚級会議。中国当局者がワシントンに到着するのを見計らってか、米政府が中国当局者へのビザ発給を制限すると発表、その前には監視カメラメーカーなどをブラックリストに載せるなど(中国サイドからは「こう、ご期待」とのメッセージ)、すでに駆け引きが行われています。2大国の覇権争いゆえ、双方の突っ込みどころを見つけてはお互いに牽制し合う格好となっていますが、この辺りのやり取りを見ても、今回もうまくまとまるとは考えにくいと言わざるを得ません。巻き込まれる市場関係者からも「たまったものじゃない」との声が聞かれています。やはり、リスクオフに片足を突っ込んだ状況であることに変わりがないと言えそうです。実需動向は、106円台では輸入による買い、107円台ミドルアッパーでは輸出の円転フローが相当数設定されているようですから、ドル円は依然として106~109円のレンジ相場が続くものと見ております。

●先手を打った?パウエル議長

ドル円(日足)2019/6/12~2019/10/9
昨日の講演で、パウエル議長は「準備金供給を時間をかけて増やす措置を近く発表する」と表明しました。短期金融市場での金利急騰といった混乱を回避するための措置であり、量的緩和とは異なるものであると釘を刺しています。今後の金融政策については、米金融当局が3回の利下げによって景気拡大を持続させるのに成功した90年代の2つの例を取り上げたことからも、年内あと1回の利下げを想定しているのかもしれません。ただ、こちらについては既に市場は織り込み済みであり、市場に与える影響は軽微なものとなりました。現在の市場、利下げ、緩和強化の観測は、景気刺激に繋がりやすいと考えられており、ドルにとってプラスに働き、サポート要因となりそうです。

先週の当欄でお伝えしましたが、本当にドル円は年末まで方向感の出ない展開が続くのでは?との見方を一層強めております。
比嘉洋
マネースクエア シニアコンサルタント
配信元: 達人の予想