「レンジ上限」を明確に越え切れるか…!?

著者:武市佳史
投稿:2019/09/06 10:52

◆“リスク回避の巻き戻し”が加速 - 107円回復

※ご注意:予想期間は9月7日と表示されていますが、本日(9月6日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


「香港懸念」「Brexit懸念」に続き、昨日はさらに「いくつかの懸念」が後退しました。

まず『米中は10月初めの通商協議開催で合意』との報から、「米中通商懸念」が後退しました。
大した材料とはいえない(あくまで開催合意であり、内容合意ではない。しかも当初予定より先延ばし開催…)ものの、“リスク回避の巻き戻し”として反応したマーケットはドル円を“106.70円水準”へと押し上げました。

そして『製造業の50割れ』から警戒感の広がっていた「ISM非製造業景況指数」でしたが、“前月・事前予想を大きく上回った(56.4)”ことが明らかになると、「米景気後退懸念」も緩みました。
米10年国債利回りは“1.59%台”へ反発、NYダウも“480ドル超”の急伸を一時見せる中、ドル円は“107.224円”へと駆け上がっていきました。

◆しかし問題はここから…?

「イメージは下方向(リスク回避)」へと如何に傾斜していたかが窺える動きといえますが、問題はここからです。
わずかながらも昨日は“8/5高値(107.089円)”を上回りましたが、“107円ライン”は「米中通商懸念」から急落した「8/1以降のレンジ上限」として機能している節が見られるからです。
まだ“完全突破”とはいい難いだけに、これを“突破し切れるか?”が目先のポイントということになってきます。

こうした中、本日は注目の「米雇用統計」が予定されています。
「製造業にダメージ」が見られたものの、旺盛な消費を背景に「非製造業は堅調」が窺えた米経済ですが、その消費を支えているのは「好調な雇用情勢」といえます。
好内容ともなれば「米景気後退」が“もう一段の緩和”が期待される反面、悪化すれば“蒸し返される”…?

曲がりなりにも“107円台”を回復した格好ですので、“8/1~8/26の61.8%戻し(107.454円)”を経て“日足・一目均衡表先行スパン下限(107.911円)”に向けた一段高を期待していますが、「結果次第」という点には留意しておきたいところです。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

注:普段より値幅を拡大しています。

108.000(大台)
107.911(日足・一目均衡表先行スパン下限)
107.731(ピボット2ndレジスタンス)
上値5:107.564(8/2高値)
上値4:107.454(8/1~8/26の61.8%戻し)
上値3:107.338(ピボット1stレジスタンス)
上値2:107.224(9/5高値)
上値1:107.142(+2σ、50日移動平均線)
前営業日終値:106.945(週足・一目均衡表転換線、大台)
下値1:106.657(9/3~9/5の38.2%押し、+1σ)
下値2:106.483(9/3~9/5の50%押し)
下値3:106.407(日足・一目均衡表転換線、ピボット1stサポート)
下値4:106.324(9/5安値、9/3~9/5の61.8%押し)
下値5:106.162(8/26~9/5の38.2%押し、20日移動平均線)
106.004(日足・一目均衡表基準線、大台)
105.931(ピボット2ndサポート)
105.829(9/4安値、8/26~9/5の50%押し)

11:22 ドル円 抵抗・支持ライン追加
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想