■要約
昭栄薬品<3537>は主として植物由来の天然油脂を原料とするオレオケミカルを得意分野とする化学品商社である。オレオケミカルと、それを原料とする中間製品の界面活性剤が主力商品。化学品事業のほかに日用品事業と土木建設資材事業を展開し、海外事業にも注力している。
1. オレオケミカルと界面活性剤の2つの領域で存在感を発揮する化学品商社
オレオケミカルは天然油脂を原料とする化学産業で、原油を原料とするペトロケミカルに比べて人体や環境に優しい点が特長だ。オレオケミカルは様々な産業で幅広く利用されている界面活性剤の主原料でもある。同社は、このオレオケミカルチェーンに特化した化学品商社で、高い専門性に基づく知見と情報力に強みを持っている。オレオケミカルについては花王<4452>がリーディングカンパニーであるが、同社は花王の主要代理店であり、オレオケミカルの分野ではトップの取扱量を誇っている。同社側から見た場合、仕入先の内訳では、花王が約40%を占めて最大仕入先となっている。
2. 中長期成長戦略では、海外事業の拡大をメインの成長エンジンとして期待
同社は中長期成長戦略として、事業間シナジー・国内外間シナジーの追求と、集中型市場深耕モデルの追求の2つの軸による成長を目指している。特に期待がかかるのは国内外間シナジーすなわち海外事業の拡充だ。同社は中国とタイに現地法人を有しており、海外の日系企業に化学品を供給するほか、海外で調達した化学品を国内に輸入することもしている。同社は計数目標として国内売上高200億円超、海外売上高比率10%超(具体的には、連結売上高230億円で、うち25億円~30億円を海外売上高が占めるイメージ)の早期達成を目指している。海外商材の取扱いは、国内市場とは異なり同社が価格決定権を得られるため、利益率の改善にも貢献すると期待される。
3. 2020年3月期は化学品事業を始め3セグメントの収益拡大で増収増益を予想
同社の2019年3月期は、売上高20,110百万円(前期比0.4%減)、営業利益273百万円(同18.2%減)と減収減益で着地した。主力の化学品事業において、原料のパーム油の相場下落の影響で製品価格が低水準で推移したことや、中国の環境規制強化で一部商材の供給不足が生じたことで売上高が減収となり、販管費の増加をカバーできず営業減益となった。2020年3月期は、堅調な需要に支えられた販売数量の増加や海外商材の強化・拡販などにより化学品事業の増収を予想するほか、日用品事業、土木建設資材事業でも新アイテム・新規商品の開発・拡販に取り組む方針で、これらの結果として前期比増収増益の達成を目指している。
■Key Points
・オレオケミカル特化型の専門商社ならではの情報力が最大の強み
・環境への意識も高く、RSPOに加盟を果たし、RSPO認証品の取扱が可能
・海外からの化学品の輸入拡大などを通じて、売上の増加と利益率の改善を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
<SF>
昭栄薬品<3537>は主として植物由来の天然油脂を原料とするオレオケミカルを得意分野とする化学品商社である。オレオケミカルと、それを原料とする中間製品の界面活性剤が主力商品。化学品事業のほかに日用品事業と土木建設資材事業を展開し、海外事業にも注力している。
1. オレオケミカルと界面活性剤の2つの領域で存在感を発揮する化学品商社
オレオケミカルは天然油脂を原料とする化学産業で、原油を原料とするペトロケミカルに比べて人体や環境に優しい点が特長だ。オレオケミカルは様々な産業で幅広く利用されている界面活性剤の主原料でもある。同社は、このオレオケミカルチェーンに特化した化学品商社で、高い専門性に基づく知見と情報力に強みを持っている。オレオケミカルについては花王<4452>がリーディングカンパニーであるが、同社は花王の主要代理店であり、オレオケミカルの分野ではトップの取扱量を誇っている。同社側から見た場合、仕入先の内訳では、花王が約40%を占めて最大仕入先となっている。
2. 中長期成長戦略では、海外事業の拡大をメインの成長エンジンとして期待
同社は中長期成長戦略として、事業間シナジー・国内外間シナジーの追求と、集中型市場深耕モデルの追求の2つの軸による成長を目指している。特に期待がかかるのは国内外間シナジーすなわち海外事業の拡充だ。同社は中国とタイに現地法人を有しており、海外の日系企業に化学品を供給するほか、海外で調達した化学品を国内に輸入することもしている。同社は計数目標として国内売上高200億円超、海外売上高比率10%超(具体的には、連結売上高230億円で、うち25億円~30億円を海外売上高が占めるイメージ)の早期達成を目指している。海外商材の取扱いは、国内市場とは異なり同社が価格決定権を得られるため、利益率の改善にも貢献すると期待される。
3. 2020年3月期は化学品事業を始め3セグメントの収益拡大で増収増益を予想
同社の2019年3月期は、売上高20,110百万円(前期比0.4%減)、営業利益273百万円(同18.2%減)と減収減益で着地した。主力の化学品事業において、原料のパーム油の相場下落の影響で製品価格が低水準で推移したことや、中国の環境規制強化で一部商材の供給不足が生じたことで売上高が減収となり、販管費の増加をカバーできず営業減益となった。2020年3月期は、堅調な需要に支えられた販売数量の増加や海外商材の強化・拡販などにより化学品事業の増収を予想するほか、日用品事業、土木建設資材事業でも新アイテム・新規商品の開発・拡販に取り組む方針で、これらの結果として前期比増収増益の達成を目指している。
■Key Points
・オレオケミカル特化型の専門商社ならではの情報力が最大の強み
・環境への意識も高く、RSPOに加盟を果たし、RSPO認証品の取扱が可能
・海外からの化学品の輸入拡大などを通じて、売上の増加と利益率の改善を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
<SF>
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