下攻め失敗で次の展開は?=外為どっとコム総研 神田卓也

著者:神田卓也
投稿:2019/06/10 15:01

下攻め失敗で次の展開は?

【基調】
 下値確認

【目先の注目材料】
 ・米長期金利、主要国株価
     
【本文】
先週見られたドル/円の下攻めは、目先的に失敗に終わった可能性が高そうだ。
米5月雇用統計は予想値に比べれば冴えない結果であったが、非農業部門雇用者数の3カ月平均は15.1万人増に持ち直したほか、失業率はほぼ50年ぶりの低水準にとどまっている。
賃金の伸び(平均時給)も、やや鈍化したとはいえ前年比で3%台をキープしており、2%前後のインフレ率を大幅に上回る水準にある。
米連邦準備制度理事会(FRB)が、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げに動く可能性はきわめて低い。
雇用統計発表後にドル/円が下値支持線の107.80円台で下げ止まったのも頷ける動きであろう。
そうした中、本日のドル/円は、週末に米国がメキシコ関税の発動を見送った事から108円台後半へ上昇している。
欧米市場がこの材料を未消化である事を考えれば、再び108円割れに向けて下落する公算は小さいだろう。
もっとも、7月以降の米利下げ観測は根強く残っており、109円台への復帰も容易ではなさそうだ。
目先的には108円台の値固めの局面に入ったと見るのが妥当かもしれない。
ただ、昨今の米利下げ観測の高まりで短期筋のポジションはドルショートに傾いていると推測されるため、もし109円台に乗せれば損失確定のドル買いを巻き込んで上げ足を速める事も考えられる。
ドル/円相場については、ひとまず下方向よりも上方向を警戒すべき流れであろう。
神田卓也
株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長
配信元: 達人の予想