S&P500月例レポート(2019年5月配信)<前編>

S&P500月例レポートでは、S&P500の値動きから米国マーケットの動向を解説します。市場全体のトレンドだけではなく、業種、さらには個別銘柄レベルでの分析を行い、米国マーケットの現状を掘り下げて説明します。

THE S&P500 MARKET:2019年4月
企業決算発表 - 下方修正されていた事前予想を上回り、株価を押し上げ

 2019年の株式市場は、年初4カ月間に19.07%上昇したドラマチックな1987年以来となる最高のスタート(1-4月の上昇率は17.51%)。

 S&P500指数が前回最高値から更新に要した日数は、2016年7月の417日に次ぐ215日となりました。あえて、2007年10月から2013年3月までの1,997日、ましてや1929年9月7日から1954年9月22日までの9,146日については言及しませんが…。とにもかくにも、S&P500指数は4月に入って再び終値ベースと日中ベースの最高値を更新しました。月末までに最高値を4回更新し、そのうち3回は月末3日間連続の更新でした。

 具体的に日を追って列挙すると、まず4月23日(火曜日)に、2018年9月20日に記録した2,930.75を更新する2,933.68で取引を終えましたが、その3日後の26日(金曜日)に再び更新して2,939.88となりました。翌週の月曜日(29日)には日中の最高値となる2,949.52(前回の日中最高値は2018年9月21日の2,940.91)を付け、終値でも2,943.03で更新しました。そして「Win-Win相場のような」4月の株式市場は30日に、2,945.83を付けて4回目となる終値ベースの高値更新を演じて1カ月を締め括りましたが、この日は日中ベースの高値更新とはなりませんでした。また、前回の月末最高値は2017年11月30日の2,647.60でした。この結果、2016年11月のトランプ大統領誕生の選挙から通算して90回目から93回目となる史上最高値の更新が4月に実現し、足元の上昇局面が公式に過去最長の強気相場であることが確認されました。

 ちなみに、今回の強気相場は2009年3月9日から始まり、上昇率は335%に達しました(配当込みのトータルリターンは438%)。S&P500指数の年初からの上昇率は17.51%(配当込みのトータルリターンは18.25%)となり、ブラックマンデーが起こった1987年の年初4カ月間の上昇率19.07%に次ぐ上げ幅となりました。なお、1987年は10月19日に株式市場が20.47%の下げを記録してインデックス史上で最悪の日となり、通年の上昇率は2.07%で終わりました。今回の最高値の更新によって、2018年9月の高値から12月の底値までの20%の下落分を回復したことになります。正確に言えば、19.78%の下落であるため「公式に」弱気相場と認められる20%には僅かに及びませんでしたが、日中ベースで見ると、間違いなく20%下落しました。直近底値の2018年12月24日(2,351.10)からの上昇率は25.30%、年初来では17.51%となり、(息の長い)強気相場が続きました。

 高値更新に関しては、有り体に言えば、昨年9月に付けた前回最高値まで戻した(2018年第4四半期に14%下落し、年初から17%上昇した)に過ぎないとも言えます。前回の高値に比べると0.51%の上昇と、ほぼ横ばい圏です。一方で、個別銘柄の値動きはばらつきが大きく、銘柄選択が重要な相場となりました。505銘柄のうち252銘柄が値上がりし(平均上昇率は12.28%)、このうち10%以上上昇したのが135銘柄、20%以上上昇したのは44銘柄でした。他方、値下がりしたのは505銘柄中252銘柄(上昇した銘柄数と同じ)となり(平均下落率は13.10%)、このうち136銘柄が10%以上、また56銘柄が20%以上下落しました。要するに、株式市場全体として見れば値動きは横ばいだったものの(前回高値からの上昇率は0.51%)、この間に半数以上の銘柄(53.7%)が10%以上変動し、19.8%の銘柄が20%以上変動しました。これは個別銘柄を物色する投資家にとっては夢(あるいは悪夢)のような相場でした。

 2019年に入ってからの相場回復の一因としては、またしても企業決算が挙げられます。下方修正されていた事前予想を上回る第1四半期の決算発表が続いたことが株式市場の下支えとなり、高値更新へとつながりました。2018年第4四半期と同様に、「期待値が低かったとはいえ、事前予想を上回ったことに変わりはない」という市場の見方がバリュエーションをサポートしました。足元では良好なバリュエーションも、今後は試される展開が続くことになるでしょう。現時点での12カ月先営業利益に基づくPER(19.3倍)は、過去平均(18.8倍)を僅かに上回っています。また、2019年の利益成長率に基づいたPERも17.8倍と、過去平均を若干上回っています(通常は17倍台前半のレンジ)。

 5月を展望すると、小売セクターの決算内容から「消費者が何にいくら消費しているか」について有益な情報が得られるはずです。政治に関連するイベントも続きます。トランプ大統領の納税申告書の提出を求めた議会下院の召喚状に対する回答期限が5月6日に迫る中、大統領側の弁護士がすでに訴訟に向けて動き始めています。とはいえ、これまでのところ政治的な動きが株価に影響を及ぼしているのはヘルスケア関連銘柄に限定されています。国民の間で、医薬品の価格規制や「メディケア・フォー・オール(国民皆健康保険制度)」の法制化を求める声が高まっていることが背景にあります。5月18日にはトランプ政権が自動車輸入に関税をかけるかどうかを決定する期限を迎えます。加えて、(長らく待たれている)米中間の通商合意の発表を巡るニュースも、新聞紙面を賑わせ、市場では材料視されています。

 過去の実績を見ると、4月は63.7%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は4.19%、下落した月の平均下落率は3.82%、全体の平均騰落率は1.28%の上昇となっています。来る5月は、58.2%の確率で上昇しており、上昇した月の平均上昇率は3.15%、下落した月の平均下落率は4.63%、全体の平均騰落率は0.10%の下落となっています。今後のFOMCのスケジュールは、4月30日-5月1日、6月18日-19日、7月30日-31日、9月17日-18日、10月29日-30日、12月10日-11日、2020年は1月28日-29日となっています。

●主なポイント

 ○S&P500指数は2018年9月20日に付けた前回最高値(2,930.75)を更新しました。4月中に終値ベースの最高値を4回(最後の更新は30日の2,945.83)、日中ベースの最高値(2,949.52)を1回更新しました。この結果、前回高値からの20%の下落分(日中ベースでの下落率。終値での下落率は正確には19.78%となり、公式に弱気相場と認められる20%の下落には僅かに及びませんでした)を取り戻しました。

 ○市場では銘柄間の値動きに大きなばらつきが見られました。135銘柄が10%以上、44銘柄が20%以上値上がりした一方で、136銘柄が10%以上、また56銘柄が20%以上下落しました。

  ・要するに、市場全体として見ると株価は横ばいでした(前回最高値からの上昇率は0.51%)が、53.7%の銘柄の株価が10%以上変動し、19.8%の銘柄の株価が20%以上変動する相場となり、個別銘柄を物色する投資家にとっては夢(あるいは悪夢)のような相場でした。

 ○企業決算がまたしても相場の牽引役となりました。下方修正されていた事前予想を上回る決算発表が相場を下支え、最高値更新へと導きました。2018年第4四半期と同様に、「期待値が低かったとはいえ、事前予想を上回ったことに変わりはない」という市場の見方がバリュエーションをサポートしました。現在は良好と言えるバリュエーションですが、3月時点での12カ月先営業利益に基づくPERは19.3倍と過去平均と比較して若干割高です。2019年の利益成長率に基づいたPERも17.8倍と過去平均を上回っています。

 ○4月のS&P500指数は、3月末の2,834.40から3.93%上昇(配当込みのトータルリターンはプラス4.05%)して2,945.83で取引を終え、終値ベースの最高値を記録しました。3月は1.79%の上昇(同プラス1.94%)でした。年初来では17.51%上昇(同プラス18.25%)、過去1年間の上昇率は11.25%(同プラス13.49%)と2桁台に戻しました。ダウ・ジョーンズ工業株価平均(ダウ平均)は2万6,592.91ドルで4月の取引を終え、3月末の2万5,928.68から2.56%上昇しました(配当込みのトータルリターンはプラス2.66%)。3月は2.41%の上昇(同プラス2.59%)、年初来では14.00%上昇(同プラス14.79%)、過去1年間では10.06%上昇(同プラス12.63%)しました。

  ・足元の強気相場は公式に過去最長を更新し(終値での最高値も更新)、2009年3月9日の強気相場開始以降の上昇率は335%、配当込みのトータルリターンは438%となりました(年率換算ではそれぞれ15.61%、18.05%)。

 ○2019年第1四半期の利益予想は十分に引き下げられていた模様で(2018年末から7.1%下方修正)、発表を終えた289社の73.0%(過去の実績を見ると67%)に当たる211社で利益が予想を上回り、売上高に関しては284社の57.0%に相当する162社が予想を上回りました。第1四半期の営業利益は前期比6.1%増、前年同期比1.8%増と推測されます。2019年予想は年初時点から3.9%引き下げられています。上半期の引き下げ幅の方がより大きく(予想は常に期待を反映します)、2020年予想はわずかに引き下げられています(統計的に無視できる0.3%の下方修正)。2019年は前年比で8.9%増、2020年は前年比12.5%増となる見通しです(2019年と2020年の2年間では2018年から22.5%増)。

 ○1年後の目標値は、S&P500指数が3,172(現在値から7.7%上昇、3月末時点の目標値は3,108)、ダウ平均は2万8,610ドルとなっています(同7.6%上昇、同2万8,512ドル)。

<中編>に続く
 


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