対中国の制裁関税は「利下げ」への思惑も?

著者:平野朋之
投稿:2019/05/13 11:50

今週のドル円戦略


■先週は、トランプ大統領によるツイッター劇場を皮切りに市場が困惑する展開となりました。
更に週末は、予定通り中国に対して輸入新2000億ドル相当に対して、輸入関税として10%から25%へ引き上げました。
しかし、協議に関しては今後、北京で開催することを合意したことで一旦、買戻しが入り109円後半で終了しています。

■さて、ついに米中貿易戦争が再開され、今週も株式市場を横目に重い展開を予想しています。
今回の追加関税に関しては事前に予告していたことや今後も協議を継続することへの楽観論が働いたこともあり、急落を免れているのではないか思っています。

米国側としてもこのタイミングで制裁関税を課すのは「リスク」と誰もが思うのが常識です。
来年の大統領選を前に、本来なら国民が優遇する政策を出すのが普通です。

しかし、全く真逆の政策をこのタイミングで出したのはなぜなのか・・

報道等でも報じられていますが、この制裁関税で得た資金は米国農家への補助金として利用するとトランプ大統領は発言しています。
それだけのために果たしてそんなことを行うとも考えづらいと思っています。


■では、なぜなのか・・

それは現在のFRBの金融政策の見直しをさせるための手段ではないかと考えています。

現状のFRBの金融政策は金融正常化とインフレ防止を狙った利上げを行っています。
この政策に関して不満をぶつけているのがトランプ大統領です。

本来ならトランプ大統領自身がFRBに対して「利下げしろ」と支持を出したいくらいの状況なのですが、それが出来ず、現在ではツイッターを利用して口先介入が限界といったところです。

■もし、追加関税の影響で国内消費が鈍ることがあれば、FRBの金融政策も「利下げ」を意識し始めるといった作戦なのではないかとみています。

少々憶測過ぎるのではないかと思いますが、現状メディアでもでていない話なだけに・・
つまり、「利下げ」をさせたいがために今回の制裁関税をしたとの報道もあります。

利下げを行うことで、国民全体的に消費も戻り株高、大統領選前に票獲得を得やすいといった一石二鳥の作戦といった感じだとみています。

しかし、利下げの話が現実味を帯びてくるようであれば、高金利通貨の米ドルの修正も時期尚早なのではないかとみています。


■最後に、ドル円です。

日足チャートは完全に112円のダブルトップ形成になっています。109.70円のネックラインを一時下抜けているので、多少の戻りはあったとしても、戻りはしっかりと売りを入れるイメージです。その戻りは水平線で110.30~40苑をイメージして指値売りで攻めてみたいと思っています。
平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想