UMN Research Memo(1):塩野義製薬とのプロジェクトを前倒し、2019年12月期上方修正目指す

配信元:フィスコ
投稿:2019/03/11 15:01
■要約

UMNファーマ<4585>は、インフルエンザ等の感染症予防ワクチンの開発を進めるバイオベンチャー。次世代バイオ医薬品自社開発事業とバイオ医薬品等受託製造事業を展開する。2017年10月に塩野義製薬<4507>と資本業務提携契約を締結し、感染症領域での予防ワクチン開発に向けた基盤技術整備及び開発候補品の基礎的研究を推進中。

1. 2018年12月期業績概要
2018年12月期の業績は、売上高で前期比0.4%減の103百万円、営業損失で606百万円(前期は498百万円の損失)となった。売上高は塩野義製薬との資本業務提携においてあらかじめ半年ごとに設定された研究成果の達成状況に応じて発生する提携第1フェーズの開発マイルストーンフィー100百万円を予定どおり計上し、ほぼ会社計画どおりに着地した。一方、第1フェーズの研究開発では、次世代ロジカルワクチン※の創製に向けた基盤技術整備並びに開発候補品の基礎的研究を進めており、研究開発費は469百万円と前期比で90百万円増加し、営業損失の拡大要因となった。なお、特別損失として秋田工場用地の減損損失80百万円、及びジカウイルスワクチン開発のためのコンソーシアムからの脱退に伴う事業整理損失36百万円を計上し、当期純損失は728百万円(前期は159百万円の損失)となっている。

※次世代ロジカルワクチンとは、同社が今まで蓄積してきたワクチン開発のノウハウ・技術を活用して、ヒト用感染症予防ワクチンを始めとする次世代バイオ医薬品の原薬となる組換えタンパク抗原の製造技術、アジュバント(ワクチン等の有効性を高めるための医薬品添加物)技術及び製剤/ドラッグ・デリバリー技術を統合したワクチンの開発コンセプトを指し、既存品に対して高い有効性、高生産性を実現するワクチンとなる。


2. 2019年12月期業績見通し
2019年12月期業績は売上高で前期比3.5%減の100百万円、営業損失で887百万円(前期は606百万円の損失)を計画している。売上高については塩野義製薬との提携第1フェーズにかかる開発マイルストーン達成による売上100百万円を見込む。また、秋田工場を中心とする試験製造、開発候補品の製造プロセス確立を中心に研究開発費は前期比268百万円増加の737百万円を計画しており、営業損失は前期からやや拡大する見通しとなっている。ただ、提携第1フェーズの研究開発が順調に進んでいることから、2019年12月期中での提携第2フェーズの合意実現を目指している。第2フェーズでは、開発候補品のなかから開発品を選定し、非臨床試験から上市までの開発を共同で進めていくフェーズとなる。具体的な開発品目数や契約内容は未定だが、第2フェーズに入った段階でマイルストーンフィーが得られることから、業績は会社計画を上回るものと予想される。

3. 財務戦略について
2018年12月期末の現金及び預金は1,018百万円となっており、2019年12月期までの事業資金については確保済みとなっている。純資産については382百万円となっており期中に債務超過に転じる可能性はあるものの、塩野義製薬が保有している転換社債715百万円(240万株、転換価格298円)の転換を実現することで、2019年12月期末は200百万円程度の純資産を維持できる見通しだ。また、提携第2フェーズの合意が実現できれば純資産額もさらに増える可能性がある。

■Key Points
・感染症予防ワクチンの開発を進めるバイオベンチャーで、塩野義製薬と資本業務提携を2017年に締結
・2019年12月期を本格開発初年度と位置付け経営資源の強化や研究開発人材の強化・育成に取り組んでいく
・2019年12月期までの事業資金は確保、2020年12月期以降は提携第2フェーズへの移行を前提に塩野義製薬から拠出される見通し

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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配信元: フィスコ

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