今週の米ドル/円予想 FOMCでハト派に変化!(2/4週)

著者:山口哲也
投稿:2019/02/04 12:08

【先週のドル/円の動向と今週の主要イベント】

今週の主要経済指標
先週の米ドル/円は変わらず。週初109.575で寄り付いた米ドル/円は、米株式の下落やハト派的なFOMCの結果を受けて一時108.490まで下落する局面もありました。週末にかけて米経済指標が市場予想より強かったことでドルが幅広い通貨に対して買われ、米ドル/円は109.50前後まで回復いたしました。終値は109.515。
注目されていたFOMCでは、利上げ停止が示唆されました。特にこの利上げ停止については、声明文とパウエル議長の会見において、中国経済や米中通商協議、イギリスのEU離脱などについて不透明感があり、これらの結果がはっきりするまでは我慢するといった内容になっており、当面の利上げは見送られることとなりそうです。
また、バランスシートの縮小についても声明文が発表されており、これもマーケットにとってバランスシートの縮小停止をイメージさせるものと読み取られていますが、内容的には、バランスシート縮小についてのこれまでのレビューで縮小を停止するものではありません。

また、週末に発表された雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比30.4万人増(予想:同16.5万人増)、失業率が4.0%(予想:3.9%)、平均時給が前月比で0.1%増(予想:同0.3%)、前年比で3.2%増(予想:同3.2%)と特に非農業部門雇用者数がポジティブサプライズとして受け止められました。
その後、発表されたISM製造業景気指数は56.6(予想:54.0)と前月の54.1(これも上方修正され54.3)を上回る結果となりました。
なお、今週の主要経済指標は以下のとおりですが、トランプ大統領の一般教書演説が2月5日(日本時間6日11時)にあり、国境の壁について非常事態宣言を発動するかどうかに注目です。それ以外では、日本時間7日9時にパウエルFRB議長の発言があるほか、日米の企業決算も相次ぐため、これらの結果にも注意が必要です。

【米ドル/円(TFX)週足 チャート】

【米ドル/円(TFX)週足 チャート】
米ドル/円の週足チャートです。
先週の米ドル/円も引き続き52週移動平均線にも届かずといった状況です。中短期の移動平均線は下降基調で、短期線(13週)が中期線(26週)を下回っており、弱い印象となります。中短期の移動平均線と長期移動平均線との値幅が縮小しつつあるも未だ広いため、当面はスピード調整(もみあいかやや上値を試す展開)の動きになり易いものと思われますが、引き続き買いは様子見。戻り売りを考えたいところです。

【米ドル/円(TFX)日足 チャート】

【米ドル/円(TFX)日足 チャート】
米ドル/円の日足チャートです。
先週は一時転換線を割り込み、基準線に下支えされる形となりましたが、再度、転換線を上回る展開となりました。
日足ベースで短期的に見ると転換線が上昇しており、中期を示す基準線も現在は下向きなものの、今週横ばいから上向きに変化すると見込まれるため、短期目線では細かい値幅を狙った押し目買いという戦略も有効かもしれません。
ただし、長期的には一目の雲が右肩下がりで、日々線が200日移動平均線の下側に位置しているため、一目の雲を日々線が終値ベースで上回り、遅行スパンも日々線、転換線、基準線を上回るまでは中長期的には戻り売りスタンスは変わらずとなります。
当面のレジスタンスは直近の高値となる110円丁度、サポートは転換線の位置する109.245、その下が基準線の位置する108.50前後で、これを下回るようであれば追随売りと見ています。

このコメントはテクニカルアナリスト山口の個人的な見解で、内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもありません。ご理解のほどよろしくお願いいたします。
山口哲也
フジトミ証券株式会社 チーフ・テクニカルアナリスト
配信元: 達人の予想