[資源・新興国通貨2/4-8の展望] 中銀イベントが豪ドルの動向を決める!?

著者:八代 和也
投稿:2019/02/01 14:34

豪ドル

来週(2/4の週)は、RBA(豪中銀)の政策会合が2月5日、ロウRBA総裁の講演が6日、RBAの金融政策報告の公表が8日にあります。それらが豪ドルの動向を決める可能性もあります。

RBA当局者は、金融政策の次の一手は利下げよりも利上げの可能性が高いとの見方を示しています。一方、RBAの見方とは異なり、市場にはRBAが年内に利下げするとの観測もあります。

政策会合時の声明などが、RBAの見方が変化したと市場が解釈する内容になれば、豪ドルには下落圧力が加わる可能性があります。一方、次の一手は利上げの可能性が高いとするRBAの見方に変化はないと市場が判断した場合、豪ドルは上昇しそうです。

NZドル

NZの2018年10-12月期の雇用統計が2月7日に発表されます。それが来週(2/4の週)のNZドルの独自材料になりそうです。

市場では、RBNZ(NZ中銀)の次の一手は利下げとの観測もあります。雇用統計が軟調な結果になれば、利下げ観測が強まり、NZドルが下落する可能性があります。雇用統計の市場予想は、失業率が4.1%、就業者数が前期比+0.3%、前年比+2.6%です(2/1時点)。

カナダドル

カナダドルは今週(1/28の週)、対米ドルで約2カ月半ぶり、対円で約1カ月ぶりの高値を記録しました。米FRBの利上げ休止示唆によって米ドルが全般的に下落したことや原油価格の上昇が、カナダドルの追い風となりました。原油価格の代表的な指標である米WTI先物は今週、一時約2カ月ぶりの高値をつけました。

来週(2/4の週)のカナダドルは、原油価格の動向のほか、カナダの1月雇用統計(2/8)が材料になりそうです。市場では、BOC(カナダ中銀)が年内に追加利上げを行うとの観測があり、雇用統計が堅調な結果になれば、追加利上げの観測が高まる可能性があります。BOCの追加利上げ観測が高まることは、カナダドルにとってプラス材料です。

トルコリラ

トルコリラは今週(1/28の週)、対米ドルで約2カ月ぶり、対円で約5週間ぶりの高値を記録しました。米ドルが全般的に下落したことに加え、TCMB(トルコ中銀)の四半期インフレ報告やチェティンカヤ総裁の発言が、トルコリラの支援材料となりました。TCMBは1月30日、インフレ報告を公表し、2019年のインフレ率見通しを昨年10月時点の+15.2%から+14.6%へと下方修正。チェティンカヤ総裁は同日、「インフレの低下が確信できるまで引き締め的な金融政策スタンスを維持する」としたうえで、「必要なら、追加の引き締めを行う」と語りました。

市場では、CPI (消費者物価指数)上昇率の鈍化を背景に、TCMBが早期に利下げを行うとの見方が根強くあります。その中で、チェティンカヤ総裁がその観測を後退させる発言をしたことは、トルコリラにとってプラス材料と考えられます。

トルコの1月CPIが2月4日に発表されます。CPI上昇率が市場予想の前年比+20.18%を大幅に下回る結果になれば、市場ではTCMBの早期利下げ観測が再び高まる可能性もあります。その場合、トルコリラは上値が重い展開になりそうです。

南アフリカランド

南アフリカランドは今週(1/28の週)、対米ドルで約6カ月ぶり、対円で約2カ月ぶりの高値を記録しました。米FRBが利上げ休止を示唆した影響を受け、米ドルが全般的に下落したことで、南アフリカランドは対米ドルで上昇。対円は対米ドルの上昇にけん引されました。

来週(2/4の週)は、南アフリカの主要経済指標発表がないため、南アフリカランドは国外要因の影響を受けやすいとみられます。米ドルは上値が重い状況が続くとみられ、南アフリカランドは対米ドルで一段と上昇する可能性があります。対円については、米ドル/円が下落した場合、上値が重くなるかもしれません。
八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想