■丸運<9067>の業績動向
2019年3月期第2四半期累計(4月−9月)決算は、営業収益が前年同期比4.2%増の24,913百万円、営業利益は同32.5%増の469百万円、経常利益は同29.6%増の531百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同34.2%増の333百万円となった。
セグメント別では、主力の貨物輸送と流通貨物が減収、そのほかの部門が増収を確保している。利益面を見ると、 潤滑油・化成品、石油輸送、国際貨物が好調だったものの、貨物輸送は減益、流通貨物は赤字に転落した。全体としては、一般の貨物のマイナスを石油関連のセグメントで補ったと言えそうだ。利益面で目立つのは、前年上半期は赤字だった石油輸送が黒字に転じた一方、国際貨物の経常利益は148百万円と前年同期比で78%増益と高い伸びを示した。
貨物輸送が苦戦した理由として、自然災害の影響が挙げられている。今年は、西日本の豪雨、大阪北部と北海道の地震と大災害が相次いだが、なかでも西日本の豪雨はJR山陽本線が約100日間ストップしたことで、同社の鉄道輸送が大打撃を受けた。貨物フェリーなど代替輸送を行いながらも、上半期の平均輸送力は8割減となり、これだけで利益ベースで40百万円強の影響が出たという。
さらに、流通貨物では、昨年は大豊作で収益に貢献したタマネギの輸送が、今年は一転して不作となったほか、輸入ブロッコリーの輸送が国産品の豊作によって、価格面で優位に立てなくなったために減少。これらによって赤字転落を余儀なくされた。今後は、天候の影響を抑えるため、加工業務に力を注ぐ。当セグメントでは今後、スーパー、コンビニ関連ビジネスが拡大する方向にあり、同社では神奈川流通センターの増強を図るなど、このセグメントの巻き返しの態勢を整えている。
他方、石油輸送と潤滑油・化成品輸送については、これまで懸案となっていた運賃改定が浸透し、利益アップに寄与した。特に、石油輸送については、外注費がかからないため、前年同期の25百万円の赤字から162百万円の黒字と利益面での改善が著しい。ただ、今季は暖冬が予想される点が気がかりだ。気温が1度上下すると石油需要は0.6%変動すると言われるだけに、冬場の気温が不安材料となる。
また、国際貨物は好調そのもの。昨年は、一部の輸送で特需的な要因があり、その反動が心配されながら、自動車材料用のアルミ、銅の輸送が順調に拡大している。アルミ製品については、足元だけではなく、電気自動車向け用途にアルミ生産のインフラが整っていない中国向けの輸送が今後も伸びるとみられている。中国の倉庫が現状では満床状態にあるとされ、今後も日系の完成品工場などを中心に、攻勢を活発化させる考えだ。
利益面においては、前述した石油輸送、潤滑油・化成品のみならず、貨物輸送についても価格改定が浸透しており、これが総じて利益を押し上げる要因となっている。半面、上半期は軽油の値上がりがマイナス材料となった。計画では、1リットル当たり10円の上昇を見込んでいたものの、実際には18円上昇。これらが運賃に転嫁できるかどうかが下半期の課題となる。
2019年3月期の通期予想は、営業収益が前期比4.1%増の51,900百万円、営業利益が同9.8%増の1,300百万円、経常利益が同6.7%増の1,400百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同53.1%増の1,280百万円が見込まれている。営業収益は50,600百万円から上方修正、営業利益が1,308百万円から若干の下方修正、親会社株主に帰属する当期純利益は963百万円から上方修正された。親会社株主に帰属する当期純利益が大幅に増額されたのは、遊休資産売却を計画していることが要因となる。
全体としては、自然災害の影響や軽油価格の上昇などのマイナス要因を、価格改定効果でカバーし切れない貨物輸送、流通貨物の利益減を、価格改定効果が大きく寄与する石油輸送と潤滑油・化成品、電子部品材料の航空輸送増と中国事業が好調な国際貨物でカバーする格好だ。
一方、財務体質も改善に向かっている。同社はここ数年で、有利子負債の削減に努め、2015年3月期末現在で6,070百万円あった有利子負債は5,000百万円を切る水準まで減少。さらに、第2四半期段階で、短期借入金が前期末の1,875百万円から1,796百万円に、同じく長期借入金が2,449百万円から2,020百万円にそれぞれ減少するなど、返済を進めている。その結果、第2四半期現在で、自己資本比率は前期末の57.1%から59.3%に上昇した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
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2019年3月期第2四半期累計(4月−9月)決算は、営業収益が前年同期比4.2%増の24,913百万円、営業利益は同32.5%増の469百万円、経常利益は同29.6%増の531百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同34.2%増の333百万円となった。
セグメント別では、主力の貨物輸送と流通貨物が減収、そのほかの部門が増収を確保している。利益面を見ると、 潤滑油・化成品、石油輸送、国際貨物が好調だったものの、貨物輸送は減益、流通貨物は赤字に転落した。全体としては、一般の貨物のマイナスを石油関連のセグメントで補ったと言えそうだ。利益面で目立つのは、前年上半期は赤字だった石油輸送が黒字に転じた一方、国際貨物の経常利益は148百万円と前年同期比で78%増益と高い伸びを示した。
貨物輸送が苦戦した理由として、自然災害の影響が挙げられている。今年は、西日本の豪雨、大阪北部と北海道の地震と大災害が相次いだが、なかでも西日本の豪雨はJR山陽本線が約100日間ストップしたことで、同社の鉄道輸送が大打撃を受けた。貨物フェリーなど代替輸送を行いながらも、上半期の平均輸送力は8割減となり、これだけで利益ベースで40百万円強の影響が出たという。
さらに、流通貨物では、昨年は大豊作で収益に貢献したタマネギの輸送が、今年は一転して不作となったほか、輸入ブロッコリーの輸送が国産品の豊作によって、価格面で優位に立てなくなったために減少。これらによって赤字転落を余儀なくされた。今後は、天候の影響を抑えるため、加工業務に力を注ぐ。当セグメントでは今後、スーパー、コンビニ関連ビジネスが拡大する方向にあり、同社では神奈川流通センターの増強を図るなど、このセグメントの巻き返しの態勢を整えている。
他方、石油輸送と潤滑油・化成品輸送については、これまで懸案となっていた運賃改定が浸透し、利益アップに寄与した。特に、石油輸送については、外注費がかからないため、前年同期の25百万円の赤字から162百万円の黒字と利益面での改善が著しい。ただ、今季は暖冬が予想される点が気がかりだ。気温が1度上下すると石油需要は0.6%変動すると言われるだけに、冬場の気温が不安材料となる。
また、国際貨物は好調そのもの。昨年は、一部の輸送で特需的な要因があり、その反動が心配されながら、自動車材料用のアルミ、銅の輸送が順調に拡大している。アルミ製品については、足元だけではなく、電気自動車向け用途にアルミ生産のインフラが整っていない中国向けの輸送が今後も伸びるとみられている。中国の倉庫が現状では満床状態にあるとされ、今後も日系の完成品工場などを中心に、攻勢を活発化させる考えだ。
利益面においては、前述した石油輸送、潤滑油・化成品のみならず、貨物輸送についても価格改定が浸透しており、これが総じて利益を押し上げる要因となっている。半面、上半期は軽油の値上がりがマイナス材料となった。計画では、1リットル当たり10円の上昇を見込んでいたものの、実際には18円上昇。これらが運賃に転嫁できるかどうかが下半期の課題となる。
2019年3月期の通期予想は、営業収益が前期比4.1%増の51,900百万円、営業利益が同9.8%増の1,300百万円、経常利益が同6.7%増の1,400百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同53.1%増の1,280百万円が見込まれている。営業収益は50,600百万円から上方修正、営業利益が1,308百万円から若干の下方修正、親会社株主に帰属する当期純利益は963百万円から上方修正された。親会社株主に帰属する当期純利益が大幅に増額されたのは、遊休資産売却を計画していることが要因となる。
全体としては、自然災害の影響や軽油価格の上昇などのマイナス要因を、価格改定効果でカバーし切れない貨物輸送、流通貨物の利益減を、価格改定効果が大きく寄与する石油輸送と潤滑油・化成品、電子部品材料の航空輸送増と中国事業が好調な国際貨物でカバーする格好だ。
一方、財務体質も改善に向かっている。同社はここ数年で、有利子負債の削減に努め、2015年3月期末現在で6,070百万円あった有利子負債は5,000百万円を切る水準まで減少。さらに、第2四半期段階で、短期借入金が前期末の1,875百万円から1,796百万円に、同じく長期借入金が2,449百万円から2,020百万円にそれぞれ減少するなど、返済を進めている。その結果、第2四半期現在で、自己資本比率は前期末の57.1%から59.3%に上昇した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
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