[資源・新興国通貨1/21-25の展望] トルコリラは中銀声明が目先の支援材料。ただし、懸念材料もあり
豪ドル
中国の劉鶴副首相が通商協議のため30-31日に訪米します。劉鶴副首相の訪米に向けて、市場では米中貿易摩擦緩和への期待が高まる可能性があります。また、市場では中国の景気対策期待もあります。豪州は中国を最大の貿易相手とするため、米中貿易摩擦や中国の景気対策への期待が一段と高まれば、豪ドルは堅調に推移する可能性があります。また、主要国の株価にも目を向ける必要があります。足もとで落ち着きを取り戻しつつある主要国の株価に再び大きな変動がみられた場合、豪ドルが反応する可能性があります(豪ドルは投資家のリスク意識の変化に反応しやすいため)。
豪州の2018年12月の雇用統計が1月24日に発表されます。ただ、豪ドルは豪経済指標への反応は一時的に終わる状況が続いてきました。今回も同様の可能性があります。
NZドル
NZの2018年10-12月期CPI(消費者物価指数)が1月23日に発表されます。その結果がNZドルの動向に影響を与える可能性があります。
7-9月期CPIは前年比+1.9%と、RBNZ(NZ中銀)のインフレ目標中央値である+2%を下回りました。RBNZは2018年11月の金融政策報告で10-12月期のCPI上昇率を+2.0%と予想したものの、その後の原油安の影響によって+2.0%を下振れそうです。
市場ではRBNZ(NZ中銀)の次の一手は利下げとの観測もあります。CPIが市場予想の前年比+1.8%を下回れば、利下げ観測は一段と強まるとみられます。その場合、NZドルに下落圧力が加わりそうです。
カナダドル
BOC(カナダ中銀)は1月9日の会合で政策金利を据え置いたものの、声明で追加利上げを示唆しました。米FRB(連邦準備理事会)の利上げ休止観測が市場で強まるなか、BOCの利上げが継続される可能性があることは、カナダドルにとってプラス材料と考えられます。また、原油価格が足もとで反発しており、そのことも資源国通貨であるカナダドルにとって追い風です。
来週(1/21の週)のカナダドルは、原油価格の動向のほか、カナダの2018年12月CPI(消費者物価指数。1/18発表)や同11月小売売上高(1/23)が材料になりそうです。CPIや小売売上高が市場の利上げ観測を補強する結果になれば、カナダドルが上昇する可能性があります。
トルコリラ
TCMB(トルコ中銀)は1月16日、政策金利を24.00%に据え置くことを決定。声明では、2018年12月の前回会合時と同様に、「インフレ見通しが大幅に改善するまで、引き締め的な金融政策スタンスを維持する」と表明し、「必要に応じてさらなる金融引き締めを行う」との方針を示しました。市場ではTCMBが早期に利下げを行うとの見方が根強くあり、今回の声明で政策スタンスの変更が示唆されるとの観測もありました。これまでの政策スタンスが維持されたことは、トルコリラにとってプラス材料と考えられます。
ただし、トルコでは3月31日に統一地方選が実施される予定であり、市場はエルドアン大統領が今後、TCMBに対して利下げ圧力を一段と強めることを懸念しています。また、シリア情勢にも注意が必要です。エルドアン大統領の発言やシリア情勢次第では、トルコリラに下落圧力が加わる可能性もあります。
南アフリカランド
SARB(南アフリカ中銀)は1月17日、政策金利を6.75%に据え置くことを決定。据え置きは、市場予想通りです。
SARBは今回、以下のように、インフレ見通しを下方修正しました。
( )は2018年11月時点の見通し
・2018年:平均+4.6%(+4.7%)
・2019年:同+4.8%(+5.5%)
・2020年:同+5.3%(+5.4%)
また、クガニャゴSARB総裁は会合後の会見で、「インフレ見通しへの全体的なリスクはやや上向き」との見方を示しながらも、「短期のインフレ見通しは改善がみられる」と語り、政策金利を当面据え置くことを示唆しました。
市場では、SARBが5月に追加利上げに踏み切るとの観測がありますが、インフレ見通しの下方修正やクガニャゴ総裁の発言によって、5月利上げ観測は後退するとみられます。南アフリカランドは目先、自力では上昇しにくいと考えられます。南アフリカランドが上昇するには、リスク回避の動きが弱まる(米中貿易摩擦緩和への期待が高まる、主要国株価が上昇するなど)必要がありそうです。
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