■12月25日(火)■世界の市場は、下落の一線を越えるかどうか

著者:堀篤
投稿:2018/12/25 09:50

今の市場環境には隠し好材料はない。

日経平均は一旦戻りのあとがポイントに

日経平均株価は週明け、試練を迎える。
先週指摘した下値メドの20,347円を割り込んだ(20,007円)後、終値では20166円まで戻って終わったことから考えると、日経平均はここで一旦底値を打ったと判断するのが普通の考え方だったが、事態は悲観的な方向へ大きく動きつつある。FRBとトランプ政権の確執、という要因がドル下落へと投資家を向けさせつつある今、楽観的な見方は禁物になった。
 20000円を割る日経平均は、心肺停止の患者のようなもので、20000円という水準に戻るまでの時間が長ければ長いほど、後遺症に悩まされることになる。したがって、年内に20000円台をキープ出来なければ、市場をめぐる心理的な影響は大きいだろう。それを考えれば、週明け火曜日、日経平均はどこで辛抱することができるか、注目の動きになる。
とはいえ、NY市場はまだ混乱の渦中だが、東京市場は一足先に底値感がでる可能性がある。ただし、その浮上は一時的なものだろう。20000円割れ後の戻りである程度利益を取ることができるなら、そこで一度、リスク回避の動きをしておくのが妥当だと思われる。

■海外市場はより不安定に

東京市場は、ソフトバンク上場という需給悪化問題を通過し、とりあえず、最悪の状況を抜けつつあると思われるが、海外市場は不透明要因に事欠かない。
特に、クリスマス休暇前後の米国市場には危険性が高い。リーマンショック以来の週間下落率を記録した後に、休暇前のポジションを積極的にとるほど、今の市場環境には隠し好材料はない。
それどころか、米国では、中間選挙で上院がネジレ状態になっていることから、議会で予算が通らず、政府機関の閉鎖が常態になりつつある。また、トランプ氏側近と言われるマティス氏の2月国防長官退任が発表され、さらにはトランプ氏がパウエルFRB議長の解任を検討していると報じられた。
こういった状況で、ホワイトハウスが今後、冷静で正しい判断をし続けることができるかどうか、という懸念に、市場はリスクを感じ始めている。
トランプ氏の悲劇は、自身も株価を上げようという思いでツイッターをしていることだ。しかし、彼は市場が何を求めているかがわかっていないので、逆効果を生んでしまう。
堀篤
日本マネジコ、東京スコットマネジメント代表取締役
配信元: 達人の予想