■11月19日(月)■結局、米中貿易問題に収斂する市場

著者:堀篤
投稿:2018/11/19 08:45

年末までに24000円を突破することも考えられる日経平均

■景気減速が予想以上になった世界経済

世界経済に減速感が強まっている。
日本のGDP成長率は、7月~9月、−1.2%(実質、年率)と、大方の予想の下限である−1%を超えるマイナス成長となったが、欧州経済をけん引するドイツも、同じ時期、−0.8%と、マイナス成長を記録した。
OPEC月報による予想でも、2019年世界経済の成長率は、2018年の3.7%から3.5%へ減速するとして、前回の予想(3.6%)よりも下方へ修正された。
日本では、今回の7月~9月の景気減速は、震災などの自然災害の影響が大きいと思われているが、その陰に隠れ、米中の貿易摩擦問題のサプライサイクルの影響が大きくなっているとすると、問題は短期的には解決できる話ではない。
次回、10月~12月の成長率は、災害要因の剥落により回復するだろう、というのが多数説だが、もし、これを否定するような先行指標が増えれば、株式市場にも影響するだろう。
一方、米国中国などの世界経済は、明らかに、米中貿易摩擦問題の影響を受けつつある。
アップル株の急落がその象徴となり、不安定な動きが続いている。

日経平均は21000円~23000円の動き

一方、先週末から、明るい兆しが見え始めてきた。
米中が貿易問題で歩み寄りの姿勢を見せてきた、という先週末の報道がその一つだ。根本的な問題である米中貿易問題が緩和の方向へ向かえば、市場は大きく戻す可能性もある。米国機関投資家の予想では、もう少し大統領選が近づかなければ、トランプ氏は本格的には動かない、と言われているが、それでもタイミングは重要だ。この機会を逃せば大きな政治的ポイントを逃すと思えば、トランプ氏は揺さぶりをかけながら、緊張緩和に動く可能性はある。11月末のG20に期待が集まれば、市場への影響は大きい。
また、FRB議長のパウエル氏、副議長のクラリダ氏は、来年の金融政策について見直しを示唆する発言をしたと言われている。米国の金融引締めのペース(来年3回の引上げ)が見直される動きになれば、これもまた、大きな材料となる。
この二つの材料が表面化すれば、株価は再び、上昇波動に乗るだろう。年末までに24000円を突破することも考えられる。それまでは、日経平均は、ひとまず23000円近辺までの戻りを試すことになるだろう。
ここでは、今年最後の相場展開のために、非常に重要な局面を迎えたといって良いだろう。
堀篤
日本マネジコ、東京スコットマネジメント代表取締役
配信元: 達人の予想