[資源・新興国通貨11/19-23の展望] 22日に南アフリカ中銀が政策金利を発表。市場の見方は分かれる

著者:八代 和也
投稿:2018/11/16 16:08

豪ドル

豪ドルは今週(11月12日の週)、対米ドルや対円で反発しました。クドロー米NEC(国家経済会議)委員長が13日、「米国と中国は通商問題についての協議を再開した」と語ったことで、両国の貿易摩擦が緩和するとの期待が高まり、豪ドルの支援材料となりました。中国は豪州最大の輸出先です。

豪州の10月雇用統計の強い結果も、豪ドルにとって好材料でした。雇用統計では、雇用者数が前月比3.28万人増と、市場の予想(2.00万人)以上に増加し、失業率は5.0%と、市場予想(5.1%へ悪化)に反して、6年半ぶりの低水準を記録した9月から変わりませんでした。

来週(11月19日の週)は、20日にRBA(豪中銀)議事録が公表されます。議事録で金融政策の先行きについて新たな材料が提供されれば、豪ドルが反応する可能性はあるものの、新たな材料が提供される可能性は低そうです。その場合、豪ドルは米中貿易摩擦に関するニュースや、主要国株価の変動に影響を受けやすい地合いになりそうです。米中貿易摩擦をめぐる懸念が一段と和らぐ、あるいは主要国株価が上昇を続けた場合、豪ドルは上値を試す展開になる可能性があります。

NZドル

NZドルは今週(11月12日の週)、対米ドルで3カ月半ぶり、対円で約5カ月ぶりの高値を記録しました。豪ドルと同様に、米国と中国の貿易摩擦緩和への期待がNZドルの支援材料となりました。

来週(11月19日の週)は、20日に乳製品電子オークション(GDT)が開催されます。乳製品はNZ最大の輸出品であるため、その価格動向はNZドル相場に影響を与えることがあります。ただ、足もとの市場は乳製品価格の動向にそれほど目を向けていないようです。そのため、乳製品価格が大きく変動しない限り、NZドルの反応は限定的になりそうです。GDTが相場材料にならなければ、NZドルは豪ドルと同様に、米中貿易摩擦に関するニュースや、主要国株価の変動に影響を受けやすい地合いになりそうです。

カナダドル

今週(11月12日の週)のカナダドルは、軟調な展開でした。供給過剰の懸念を背景に、米WTI先物(原油価格)が13日に約1年ぶりの安値を記録。原油はカナダの主力輸出品であるため、原油安がカナダドルの重石になりました。

カナダドルは引き続き、原油価格の変動の影響を受けやすい地合いになりそうです。原油価格が下落を続ける場合、カナダドルは上値が一段と重くなる可能性があります。カナダの経済指標は、23日に10月消費者物価指数と9月小売売上高が発表されます。

トルコリラ

トルコリラは15日に対米ドルや対円で急伸しました。「米国がギュレン師を国外退去させる方法を模索している」との報道が要因です。トルコ政府はギュレン師を2016年のクーデター未遂事件の首謀者と断定して身柄の引き渡しを求めていますが、米政府はそれを拒否してきました。

トルコリラが先月(10月)から今月初めにかけて上昇した背景には、米国とトルコの関係改善への期待がありました。前述の報道の真偽は定かではありませんが、仮に報道が事実ならば、両国の関係改善期待は一段と高まる可能性があります。トルコリラについては、ギュレン師をめぐる報道など、米国とトルコの今後の関係に影響する可能性があるニュースに要注意です。

南アフリカランド

SARB(南アフリカ中銀)が11月22日に政策金利を発表します。市場の見方は“据え置き”“0.25%の利上げ”で分かれており、そのため政策金利がいずれの結果になったとしても、南アフリカランド(以下、ランド)が反応する可能性があります。

利上げが決定されれば、ランドには上昇圧力が加わりそうです。一方、政策金利が据え置かれれば、ランドには下押し圧力が加わりそうです。ただし、据え置かれたとしても、今後の状況次第で来年1月の次回会合での利上げ観測が高まれば、ランドは反発する可能性があります。
八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想